「メモを取らない新入社員に不満続出」を考える
<キャリコネニュースが、「新入社員に何を教えてもメモを取ろうとしない」との話題を取り上げています。自分自身も複数の新入社員を指導し、教育する立場であったため、既視感漂う話題です
学校教育の場で教師の板書や話をノートに筆記する習慣が身についているはずの人たちが、なぜか職場ではメモすら取ろうとしないで話を聞き流す光景が当たり前になっており、訝しく思うばかりです
以下、キャリコネニュースの記事から一部を引用します
メモを取らない新入社員に不満続出 一方「マニュアルを作らない企業の怠慢」という声も
仕事の説明をしているのに、メモを取らない新入社員に不満を感じるビジネスパーソンが多くいるようだ。ガールズちゃんねるに10月1日、「新人がメモを取らなかったら注意しますか」というトピックが立った。
トピ主の夫は新入社員の指導をしているそうだが、全くメモを取らず教えたことも覚えられないため頭を抱えているようだ。
「うちの新人もまったくメモとらないうえに無理矢理メモとらせて、メモにある答えを質問しても全然違う答えを返してくる」
「今の子ってメモを取らないよね。『メモ取らなくていいの?』って聞いても『分からなかったらまた聞きます』って言う」
トピ主のエピソードに既視感を覚える人が多く、共感の声が相次いだ。
メモいらずの記憶力を持つ人ならともかく、そうではない人には「メモ取らないの?」と確認することが一般的な対処法だろう。
しかし、「うちの会社に『メモ取れよ』と注意したら『パワハラだ』って言って辞めた新人さんがいる」という書き込みも。一体どんな伝え方をしたのか気になるところではあるが、適切なトーンで伝えたいところだ。どうしてもメモを取らせたいのなら、いっそのこと部署内のルールとして明文化してしまってもいいかも知れない。
(中略)
上司の指導にはメモを取らなくても良い情報は多く、そもそもメモを取らせなければわからないほどの情報であれば、事前にマニュアルを作成しておくべきだ。
また、「メモすることに集中してしまい話の内容が頭に入らない」というコメントも見られた。後日メモを読み返しても書かれている内容が理解できず、もう一度上司に確認したいけど、「この前ちゃんとメモ取ってなかったのか?」と恨み節を言われることを恐れ、結局なにも言い出せない、という経験をした人もいるのではないだろうか。
新入社員にメモを取らせることが目的化している上司も多い。相手の気持ちを鑑みずに自分が知っている情報をただ垂れ流すだけで、理解しにくい説明をしているケースもあるだろう。新入社員がメモを取るかどうかを問題視する前に、指導方法も見直す必要があるだろう。
「マニュアルを用意すべきだ」との指摘は、自分もさんざん新入社員(職員)から言われました。そこには「マニュアルも用意していないのか」という批判的なニュアンスも含まれます
ただ、マニュアルとは言いませんが、事前に仕事をフローチャート化したものを用意してもそれを読まず、理解しようとしない新入社員がいるのも現実です。そもそもマニュアルと現場での仕事を照らし合わせ、咀嚼し、理解する能力そのものが不足しているのではないか、と思うこともしばしばです。
当然ながら、「初めて取り組む仕事なのだから、最初からできるわけがない」との言い分もあるでしょう。「分かるまで何度でも教えるのが当たり前で、それができない指導にこそ欠陥がある」と返ってきそうです
ですが、そうした言い分はすべて受け身の態度であり、「教えられるのが当たり前。教え方が悪い」との弁解が先に立っているところが問題です。
民間企業と公務員では仕事への取組みに大きな違いがあるので、必ずしも同一には語れないのですが、以下説明します
公務員の場合、法に基づく業務の遂行が求められます。その多くは各人の任意の判断(裁量)に委ねられてるのではなく、法令に準拠した適正な処理が求められるのです。そのためには根拠となる法律、施行規則、省令、局長通達といったものを体系的に理解していなければなりません
行政の分野をすべてマニュアル化するとなれば、電話帳より分厚いマニュアルが必要となります。もちろん、個々の業務においては職場で「手引書」のようなものが作成されており、それを見ながら業務を遂行する形になっています
時には「手引書」にないイレギュラーな事態の処理が必要となりますので、各係は準拠すべき法律、施行規則、省令、局長通達を読み込んで、適切な処理方法を見出さなければなりません。上司に相談するなり、上級官庁に照会をかける必要もあります
こうした対応ができてこそ、仕事に取り組めるわけです(だからこそ、新人の時代には死に物狂いで関係法令を読み込み、実務事例集を読み込み、勉強する必要があります。大学受験の数倍勉強しなければなりません)
こうした取り組みのスタイルを自分自身で身に着ける努力をしないと、マニュアルなどあっても役に立ちません。マニュアルで取り上げていない事例には対応できないからです
メモを取るか取らないかは各人の判断でしょうが、仕事に取り組む姿勢そのもの理解し、身に着けることのできない人はスタート時点から置いてけぼりになってしまうのです
民間企業に勤めた新人の場合はどうなのでしょうか。就職した途端に大学受験の数倍も勉強し、死に物狂いで仕事を覚えなければならないという現実を理解できる新入社員はいないのでは、と思います
ゆえに現実とのギャップを、「マニュアルも用意されていない」とか、「教え方が悪いので仕事を理解できない」といった言い訳に置き換えてしまっているように、自分は感じるのです
サラリーマンになったからボチボチ仕事をすればよい、と考えている人や、自己啓発書ばかり読んでいる人には理解できないのでしょうが
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