目黒女児虐待死事件を考える 義父に懲役13年の判決
これまで何度か取り上げてきた目黒での幼女虐待死事件(殺人と言い換えた方が適切でしょうが)の判決公判があり、船戸雄大被告に懲役13年の実刑判決が言い渡されています
求刑は懲役18年です。求刑の相場としては妥当でしょう。しかし、裁判官が何をもって5年も割り引き、13年の懲役期間を妥当と考えたのか、自分にはさっぱり理解できません
5歳の女の子相手にオレ様の理屈を振りかざし、全身に170か所もの傷を与えるような虐待(心を折るような暴言はさらにそれを上回る数であったはずです)を繰り返した鬼畜にたったの懲役13年の罰しか与えないのか、と頭がクラクラします
殺人罪で無期懲役にしても不足ではないか、と思ってしまいます
前にも取り上げたように、弁護人は再三、「雄大被告は父親になろうとした」との発言をし、あくまでも結愛ちゃんのことを思って躾をしようとしていたが、方向を誤ってしまったと主張してきました
どこをどう方向を誤ったら全身に170か所もの傷を与え、食事も摂らせず敗血症で死に至らしめる結果になるのかと、その理屈には呆れるほどです。「父親になろうとした」→「躾をした」→「躾が行きすぎて死なせてしまった」という理屈はもちろん雄大被告の言い分であり、弁護人はそのオレ様理屈に沿って弁護活動をしているのでしょうから、そもそものところ雄大被告の言い分自体が大間違いなのです
東京都目黒区で昨年3月、船戸結愛(ゆあ)ちゃん=当時(5)=を虐待して死なせたとして、保護責任者遺棄致死などの罪に問われた父親の雄大被告(34)の裁判員裁判の判決公判が15日、東京地裁で開かれた。守下実裁判長は懲役13年(求刑懲役18年)を言い渡した。
検察側は論告で、結愛ちゃんの食事を制限したほか日常的にベランダに立たせたり暴行したりする過酷な虐待を加え、心臓が止まるまで放置したと指摘。結愛ちゃんが痩せすぎていることを認識しながら、自己保身で医療措置を受けさせなかったと非難していた。
弁護側は、結愛ちゃんの生存を確保するための医療措置が必要だと雄大被告が認識したのは死亡前日で、虐待は「父親であろうとする気持ちがあったため」と主張。「不保護の期間や態様が最も重い部類だとはいえない」として懲役9年が相当と主張していた。
雄大被告は最終意見陳述で「本当に申し訳ありませんでした」と謝罪した。
母親の優里被告(27)は9月17日、同罪で懲役8年の判決を言い渡された。弁護側は判決を不服として控訴している。2人は事件後に離婚した。
起訴状などによると、雄大被告は昨年1月下旬ごろから結愛ちゃんに十分な食事を与えず、シャワーで冷水をかけて顔面を複数回、殴るなど暴行。衰弱していたことを認識しながら、虐待の発覚を恐れて医師の診察を受けさせず、3月2日、肺炎による敗血症で死亡させたなどとしている。
(産経新聞の記事から引用)
最終陳述で雄大被告が口にしたように申し訳ないと思っているなら、懲役13年の判決を受け入れるべきでしょう。が、控訴するかもしれません。弁護人からは「過失の割合が低いのだから懲役10年以下の刑になるだろう」と吹き込まれていた雄大被告にとって、懲役13年は不当な判決に感じるのでしょうから
さて、AbemaTimesの配信記事で、拘置中の雄大被告と何度も面会を重ねたという山梨県立大学間福祉学部学部長の西沢哲教授のコメントとそれを解説する藤井靖明星大学准教授の発言がありますので紹介します
雄大被告と7回面会した弁護側の証人、山梨県立大学人間福祉学部学部長の西沢哲氏は、雄大被告について「自己肯定感が低く他者が自分をどう見ているかに過敏。両親が不仲で父親に対して強い怒りがあり、引っ越しも多かった。会社の中でも不適合感があり、人生の方向性を見失った。自分がどういう人生を歩みたいのかわからなくなり、意味を理想の家族にすることにしたのではないか」と証言している。
また、結愛ちゃんへの虐待が始まったことについては、「(結愛ちゃんへの)無力感が高まっていき、自分の存在感のなさや無力感が強まった。冷酷な犯行に見えるが、実はやろうとしていることがどんどん悪い方向に行く典型例」と述べている。
こうした西沢氏の証言に、臨床心理士で心理カウンセラーも務める明星大学准教授の藤井靖氏は、「周囲に認められた感覚がなく自己肯定感の低さが極まると、人は自分で自分を肯定するしかなくなり、とにかく『自分の行動が正しいんだ』という発想で周りの人と接していく。その心理が子育てにも反映されたということだと思う。虐待の加害者は二面性や複雑性、不安定性をはらんでいることが多く、外面的なことと内面的なもののギャップもあったりする。裁判での言動や護送時の様子なども踏まえると雄大被告自身も自分がなぜこういうことをしてしまったのかが分かっていない可能性がある」とコメント。
また、人をいかに愛するかという“愛着”の観点から、「“安定型”“不安定型”“回避型”の3パターンがある。子どもの虐待の背景には大人の側の愛着形成不全があることが知られていて、恐らく雄大被告自身があまり親からの愛情をうまく受け取れていなかったのだと思う。公判の記録から類推すると、父親が子どもにあまり関心を示さない回避型、そして両親が不仲だったことから、母親が不安定型だったとすると、雄大被告は基本的に子どもに愛情をうまく示せず、また優しいときと厳しいときのギャップが激しかったのではないかと感じる。それが虐待という形で顕在化したのでは」と説明した。
(AbemaTimesの記事から引用)
しばしば起こる義理の父親による連れ子への虐待、殺害といった事件の背景を説明するものとしては、随分と特異な説に感じます
自己肯定感が低いとして、それが虐待に走る力動の源泉なのでしょうか?
西沢教授の説明を聞いても、藤井准教授の説明を聞いても、雄大被告には理解できないのであり、実感はないと思うのですが
自分としては栗原心愛ちゃん殺害事件の勇一郎被告のように、幼女をいたぶることに性的快楽が見出す嗜好が雄大被告の中にもあったのではないかと推測します。上記の2人の心理学者がなぜ、性的欲動に言及しないで「自己肯定感が低い云々」の説明に終始するのか、不思議です
もちろん、すべての連れ子殺しが義理の父親や同棲相手の男の性的な欲動に起因するわけではありません
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