さいたま小4男児殺害事件を考える 単純な動機
さいたま市で小学生の男児が殺害された事件は取り調べが進み、進藤悠介容疑者が犯行のあらましについて語り始めたようです
前回も触れたように、こうした事件では容疑者が犯行の「動機」についてあっけないほどの単純な理由を口にする例があります
長年連れ添ってきた夫婦でトラブルがあり、夫が妻を殺害する事件は、「妻の用意した食事が気に入らなかった」などと理由を述べる、という具合に
ただし、この理由は直接的なきっかけにすぎないのであり、実際には夫婦の間に軋轢や感情的な対立がくすぶり続けていて、「食事」は長年の鬱屈が暴力に変貌する引き金であった可能性が考えられます
今回の事件の場合、進藤悠介容疑者は「実の父親ではない」と被害者からなじられたため、と語っているようです。が、それは暴力が顕現するためのきっかけにすぎず、両者の間に深いわだかまりが存在していたと推測した方が適切でしょう
さいたま市見沼区大谷の教職員住宅で市立小4年、進藤遼佑(りょうすけ)さん(9)の遺体が見つかった事件で、死体遺棄容疑で逮捕された義理の父親の無職、進藤悠介容疑者(32)が「赤白帽子をなくしたことを注意したら『本当の父親じゃないのに』と言われ、頭にきて首を絞めた」との趣旨の供述をしていることが20日、捜査関係者などへの取材で判明した。
進藤容疑者は「延長コードで絞めた」とも供述しているといい、埼玉県警は自宅から延長コードを含む複数のひも状の物を押収。自宅で殺害したとみて、凶器の特定を進める。
捜査関係者によると、進藤容疑者は教員である遼佑さんの母親(42)と今年春に結婚し、母親の連れ子だった遼佑さんと3人で暮らしていた。家族間のトラブルは把握されておらず、県警は、進藤容疑者が突発的に遼佑さんを襲った可能性があるとみている。
県警によると、遼佑さんは17日午後4時ごろ帰宅したが、同6時ごろに母親が帰宅した際にはおらず、自宅にいた進藤容疑者は「英会話塾に行った」と説明した。しかし、午後8時過ぎに塾に行っていなかったことが分かり、母親が110番。18日午前0時40分ごろ、警察官が隣の空き室のメーターボックス内で遺体を発見した。
また遼佑さんの靴は自宅の普段は置いていない場所にあり、塾用のリュックサックは遼佑さんとともにボックス内から見つかった。県警は、遼佑さんが塾に行ったように進藤容疑者が見せかけ、発覚を遅らせようとしたとみている。母親らと一緒に遼佑さんを捜すふりもしていたという。
捜査関係者によると、進藤容疑者は県警の任意の聴取に対し、当初は「私はやっていない」などと事件への関与を否認していた。だが、19日になって遺棄への関与を認め、殺害についてもほのめかす供述を始めたという。
県警は20日、進藤容疑者を送検した。
(毎日新聞の記事から引用)
記事ではわざわざ「家族間のトラブルは把握されておらず」と書いていますが、これは近隣の住民は「怒鳴り合ったり、喧嘩をしているような声は聞いていない」と語っているのを受け売りしているだけであり、新藤容疑者や妻から供述を得た結果ではありません
妻が新藤容疑者と再婚したのは半年前であり、3人が同居して暮らし始めたのはそれからです
再婚当時、新藤容疑者は介護施設に勤務していたとの話もありますが、確認はできません。そして現状は無職で、ぶらぶらしていたわけです
広島出身の新藤容疑者は結婚前、長島姓であり、結婚して妻の籍に入ったのでしょう。東洋大学で社会福祉を学び、その後は介護施設に勤務していたと報じられているものの、年上の妻とどのような形で知り合い、結婚に至ったのか、なぜ離職したのかは不明です
殺害された被害者には兄がいて、そちらは実父に引き取られ暮らしているのだとか
複雑な家庭状況を見れば、「家族間のトラブルは把握されておらず」との見解がいかに浅いものであるかが分かります
憶測でモノを言うべきではないにしても、被害者と義父である容疑者の間にはぎくしゃくしたものがあったと推測され、それを無視してこの事件を語るのは大間違いでしょう
なので、容疑者が語る動機がすべてと決めつけるのは事件の意味を読み誤る危険があり、もっと深く掘り下げて考える必要があります
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