川崎トンネル殺人 鈴木被告起訴も初公判はまだ
2006年9月23日、川崎市宮前区の武蔵野貨物線の下を通る抜ける市道トンネルで、当時27歳のアルバイト黒沼由理さんが何者かに刺殺される事件がありました。通称「梶ケ谷通り魔事件」とも呼ばれ、神奈川県警が多くの捜査員投入したものの、犯人検挙には至りませんでした
その後、別の女性への殺人未遂で逮捕・服役していた鈴木洋一受刑者が黒沼さん殺害をほのめかす葉書を宮前署に送ったことから、捜査が動き出し、逮捕・起訴に至りました(起訴は2018年3月)
当ブログでは2017年10月にこの事件を取り上げましたが、その後、続報がないため言及しないままになっていました
川崎市内のトンネルで平成18年9月、黒沼由理さん=当時(27)=が刺殺された事件は2日、約11年半の歳月を経て起訴に至った。鈴木洋一被告(37)=殺人罪で起訴=への“疑惑”は早い段階から浮上。自宅からなくなっていた包丁、現場で見つかったたばこの吸い殻、本人の性的嗜好に至るまで「全ての情報が鈴木被告の関与を示していた」(捜査関係者)。関係者は「ようやくここまできた」と率直な心境を吐露する。
捜査関係者によると、鈴木被告は事件前、通信販売で6本入りの包丁セットを購入。自宅からは4本しか見つからず、なくなっていた2本のうち1本の菜切り包丁の刃渡りと、黒沼さんの遺体の傷の深さを調べたところ、ほぼ一致した。監察医からも「矛盾がない」との意見が出されていたという。
凶器は結局、最後まで見つからなかったが、ほかにも疑惑は数多くあった。
鈴木被告が吸った疑いのあるたばこの吸い殻が、事件現場のトンネルの出入り口近くの側溝から見つかった。劣化が激しく、成分鑑定でDNA型などの検出には至らなかったが、当時、捜査本部は黒沼さん事件の約半年後にトンネル近くで起きた別の殺人未遂事件で鈴木被告を任意で取り調べた際、同じ銘柄のたばこを愛用していることを確認していた。
アリバイも崩れていた。鈴木被告は事件当日の行動について、「会社でミーティングがあった」と説明。だが、同僚への聞き取りから、その時間帯にミーティングは行われていなかったことが確認された。
また、知人らの証言から「セミロングでスレンダーな女性」が鈴木被告の好みであることも判明。黒沼さんの特徴と合致するうえ、別の殺人未遂事件の被害者も同様の女性だったことで、捜査本部は「2つの事件の共通項の一つ。連続通り魔の疑いを、より濃くするものだ」と判断していた。
さらに、「夜中、トンネル脇にただずんでいる男を見た」という目撃証言も複数寄せられた。証言を基に作成した似顔絵は、目などの特徴が鈴木被告に酷似していた。
だが、決定的な物証はなく、鈴木被告の自供なども得られないまま、殺人未遂事件で懲役10年の実刑判決が確定。栃木県内の刑務所で服役していた鈴木被告から、黒沼さんの殺害をほのめかす手紙が県警に届いた28年1月まで、時計の針は止まったままだった。
当時を知る捜査関係者は「逮捕状は99パーセント取れると思っていたが、届かなかった。時間がかかってしまい、遺族に申し訳ない気持ちだ」と打ち明ける。
黒沼さんの両親は代理人を通じ、「娘の無念に報いるためにも裁判で事件の結末を見届けたい」とした上で、「(鈴木被告には)事件に向き合い正直に話をすることを望んでいる」とコメントした。
鈴木被告は捜査本部の任意の取り調べなどに対し、「女性を刺そうと思い、車で付近を走っていた」「携帯電話を見ていた黒沼さんに後ろから静かに近付き、回り込んで2度刺した」などと犯行時の状況を詳細に語った。服役中、命を落としかねない大病を患ったことで贖罪(しょくざい)の念を抱き、全てを打ち明けようと決意したとされる。
(産経新聞の記事から引用)
逮捕から起訴されるまでの間、鈴木被告に対して4か月間もの鑑定留置が行われています。通常、鑑定留置の期間は3か月です。これは逮捕後の取り調べで供述が二転三転し、精神障害が疑われたため、との報道があります。が、具体的にどのように供述がブレたのか、不明です
推察するに、「女性から虐待された経験があり報復のため、女性を狙った」という供述と、「切り裂きジャックに憧れて女性を狙った」という2つの供述があり、脈絡がつかめなかった…のかもしれません
鈴木被告の父親は元タクシー運転手で、しばしば家族に対し暴力をふるっていたと伝えられています
父親からの暴力が鈴木被告の中で、「女性から虐待された」経験へと変換され、被虐体験が女性を殺害しようという動機になったのかどうか?
鈴木被告が理路整然と己の犯行の発端から経緯まで語るとは思われませんので、検察官は起訴状を書くのに苦労しているのでは
起訴から既に1年以上経過していますが、初公判が開かれたとの報道はありません
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