茂原強盗殺人事件を考える 主犯は無期懲役、従犯は?

昨年2月、千葉県茂原市で85歳の女性を殺害し、金を奪ったとして逮捕された3人の少年のその後、と取り上げます
主犯格だった最年長の少年には検察が無期懲役を求刑し、千葉地裁も無期懲役とする判決を言い渡しています
従犯である少年の裁判について、今年5月の千葉日報は以下のように報じています


千葉県茂原市東茂原の住宅で昨年2月、住人の椎野芳子さん=当時(85)=が殺害され現金を奪われた事件で、強盗殺人などの罪に問われた少年3人のうち、当時17歳だった無職の少年(18)は20日、千葉地裁(川田宏一裁判長)で開かれた裁判員裁判の初公判で「2人の少年との間で殺人の共謀はありませんでした」と述べ、殺意を否定した。弁護側も「強盗致死にとどまる」と主張した。
起訴状などによると、当時いずれも18歳だった少年2人と共謀し、昨年2月26日午前1時15分ごろ、住宅に侵入して寝室で椎野さんの首を絞め、この家にあったナイフ(刃渡り約10.5センチ)で喉を3回突き刺すなどして殺害。現金約1万2千円を奪ったとしている。
争点となった殺意について、検察側は冒頭陳述で、被害者が「金は腹の中にある」「殺すなら殺せ」と話したことから、被告少年が土木作業員だった少年に対し「じゃあ、殺す?」と発言したと指摘。土木作業員の少年が首を絞め、その後もう1人の少年に挑発されて殺害を実行し、「被告少年は2人のやり取りを見ていたのに制止しなかった」として、殺人の共謀が成立するとした。
弁護側は、被告少年の発言に他の2人から反応はなかったとし「2人のやり取りをぼうぜんと見ていただけに過ぎない。帰ることを促していた」と殺害への関与を否定。強取した金は1万円だったとした。
また、土木作業員の少年が出廷し、当時の状況を証言。被害者の首に手を押し当てている際に「手が疲れたので被告少年に代わってもらおうと頼んだら、左手で力を入れて5、6秒首を絞めていた」と明かした。強盗を計画した時に「何だったら殺しちゃえよ」と言われたとも述べた。
土木作業員の少年は今年1月、千葉地裁での裁判員裁判で無期懲役の判決を受け控訴中。もう1人の少年(19)の公判期日は未定。


検察としては3人の少年が共同共謀正犯とし、犯行への関与で差はないと判断したのでしょう
犯行当時17歳だったこの少年にも無期懲役を求刑しています
しかし、千葉地裁は殺害行為について共謀はなかったと判断し、懲役20年の判決を言い渡いしています
同じく、千葉日報の記事から引用します


茂原市東茂原の住宅で昨年2月、住人の椎野芳子さん=当時(85)=が殺害され現金を奪われた事件で、千葉地裁(川田宏一裁判長)は31日、強盗殺人などの罪に問われた少年3人のうち当時17歳だった無職の少年(18)に対し、殺人の共謀を認めずに強盗致死罪を適用し、懲役20年(求刑無期懲役)の判決を言い渡した。
公判では殺人の共謀の成否が争点となり、検察側は当時18歳で土木作業員だった少年(19)=無期懲役判決で控訴=への殺害を促すような発言や犯行を制止しなかった点から、共謀の成立を主張。弁護側は「(仲間の)2人のやり取りをぼうぜんと見ていただけ」と関与を否定していた。
判決で川田裁判長は「殺すなら殺せ」と発言した椎野さんに被告少年が返した「じゃあ、殺す」の言葉は「売り言葉に買い言葉」で、自然な流れで出たものと指摘。仲間を止めなかったのも年下の立場上、「制止しにくい関係にあった」との可能性を示し、殺人について「共謀していなかった」と判断した。
量刑理由では「落ち度のない被害者の死という結果は誠に重く、遺族が厳しい処罰感情を抱くのも当然」と説明。無期懲役が相当としながらも、犯行時の年齢や殺害行為に関与していないことを挙げ、少年法の適用で有期懲役刑として「その最上限の刑に処するのが相当」と述べた。
判決言い渡し後、川田裁判長は被告少年に「今回犯した事件に向き合い、自分にできることをずっと考えていってほしい」と説諭した。
判決などによると、当時18歳の少年2人と共謀し、昨年2月26日午前1時15分ごろ、同市東茂原の住宅に侵入し、椎野さんの首を絞め、「金はどこにある」と脅迫して現金1万円を強奪。この家にあったナイフ(刃渡り10・5センチ)で土木作業員だった少年が喉を3回刺し、死亡させた。
判決を受け、千葉地検の清野憲一次席検事は「判決内容を精査し、上級庁と協議して適切に対応したい」とコメント。弁護側は控訴の有無について31日時点で明言を避けた。


3人が共謀した上で犯行に及んだ(殺害についても暗黙の了解があった)、とした検察の筋書きが崩れた格好です
裁判官の判断はともかく、強盗致死罪を適用し、未成年者に対する有期刑の上限であるところの20年を言い渡したのですから、決して軽すぎる量刑だとは思いません
別の未成年者による強盗致死事件では、懲役7年以上10年以下の不定期刑という判例もありました
これで2人の判決が判明しましたが、残る1人の公判が始まっているのかどうか、検索しても情報がありませんでした
判決に至れば何がしかの報道がされるはずですので、またの機会に取り上げます

(関連記事)
茂原強盗殺人事件を考える 主犯少年に無期懲役求刑
茂原強盗殺人事件を考える 少年3人を逮捕
千葉印西市放火殺人 3人のうち2人が無罪主張
千葉印西市放火殺人 男女4人逮捕
千葉女性監禁殺害事件を考える1 幼なじみ
千葉女性監禁殺害事件を考える2 金銭トラブル
千葉女性監禁殺害事件を考える3 中野被告は無期懲役
千葉女性監禁殺害事件を考える4 主犯格少女は殺意を否認
千葉女性監禁殺害事件を考える5 主犯格少女も無期懲役
広島少女遺棄事件 主犯少女に懲役13年判決
広島少女遺棄事件 少年少女たちの刑罰
広島少女遺棄事件 無軌道な少年少女の暴走
広島少女遺棄事件 7人で集団暴行か?
16歳少女を殺人、死体遺棄で逮捕
山形女医殺害事件を考える 山形大生逮捕
山形女医殺害事件を考える 「覚えていない」と否認
高校生がパチンコ店強盗 300万円奪う
名古屋アベック殺人(1988年) 無期懲役囚の現在

この記事へのトラックバック