和歌山小5刺殺事件を考える12 控訴審でも懲役16年判決
7月1日のウェブリブログのリニューアルにともない、過去記事がズタボロの状態になったのですが、ウェブリブログ事務局は何ら対応もなく、放置したままです
仕方がないので自分で過去記事を再編集し、今年の6月分と5月分、それに一部の記事を読みやすい状態に直していますが、すべての記事に手を加え終えるのは半年以上かかる見込みです
このようにブロガーに負担を押し付けるウェブリブログ事務局の横暴な態度に不快感を禁じえません
さて、今日は2015年に起きた和歌山県での小学5年殺害事件の続報を取り上げます
紀の川市で起きた小学5年生の男児刺殺事件で、中村桜洲被告は懲役16年の判決(求刑は懲役25年)を受けましたが、量刑不服として控訴していました
当ブログではこの事件に着目し、幾度も言及してきました。残念ながら控訴審の様子を伝える報道が少なく、途中経過は把握できません
その控訴審判決で、大阪高裁は一審判決に誤りがあったとして破棄し、あらためて懲役16年の判決を下しています
和歌山県紀の川市で2015年に小学5年の男児を殺害したとして、殺人罪などに問われた中村桜洲(おうしゅう)被告(26)の控訴審判決で、大阪高裁(和田真裁判長)は16日、懲役16年とした1審・和歌山地裁判決を破棄した上で、改めて懲役16年を言い渡した。高裁が独自に行った精神鑑定で被告は発達障害の一種と診断されたが、完全な刑事責任能力があったと判断した。
弁護側と検察側の双方が控訴し、刑事責任能力の程度が最大の争点だった。
裁判員裁判の1審判決(17年3月)は、起訴前に検察が行った精神鑑定結果を基に、被告が事件当時は統合失調症か妄想性障害で、心神耗弱状態だったと認定。影響は限定的だったとして懲役16年(求刑・懲役25年)を言い渡した。
控訴審では、高裁が独自に再鑑定を実施。1審とは異なり、発達障害の一種「自閉スペクトラム症」だったと診断された。ただ、鑑定医は法廷で「幻聴や妄想もあり、障害が事件時の行動や動機に影響した」と証言していた。
弁護側は「精神障害の影響で、被告の供述に信用性はない」などとして、被告の自白を証拠採用した1審判決は不当だと主張。刑事罰に問われない心神喪失の状態だった可能性もあると訴えていた。
一方、検察側は、被告が殺傷能力の高い凶器を使い、切りつけた後に血痕を洗うなどしていたと指摘。「精神障害の程度は軽く、心神耗弱だったとしても犯行への影響は乏しい」として、量刑を重くするよう求めていた。
1審判決によると、中村被告は15年2月5日午後、紀の川市後田(しれだ)の空き地で、森田都史(とし)さん(当時11歳)の頭や胸を大型ナイフ(刃渡り約48センチ)で刺すなどして殺害した。
(毎日新聞の記事から引用)
一審では精神障害を理由に懲役25年の求刑に対し、懲役16年と割り引く判断が示されました
過去の記事でも言及したように、事件の本質を弁護側は問う姿勢を示さず、犯行時の被告は精神耗弱だったので刑を割り引けとの主張に終始してきました。犯行の事実は争いようがないので、量刑を割り引くことこそが被告人の利益に適うと判断したのでしょう
しかし、中村被告にすれば量刑云々ではなく、自分が小学5年生の男児から揶揄され、精神的な圧迫を受けていたことを主張し、理解してもらいたかったのですから、弁護人の方針には不満ありありだったと推測されます
また、被害者の父親も「息子がなぜ殺害されなければならなかったのか」を知りたいと再三再四訴えてきました。なので、妄想性障害だとか自閉症スペクトラムとかはどうでもよいのであり、中村被告の犯行の意図を聞き出したかったはずです
残念ながらこの裁判は被告や被害者の想いを汲み取らず、司法上の空疎なやり取りだけで終わってしまった感があります
控訴審が再度の精神鑑定を実施するのであれば、心理鑑定も同時に実施し、中村被告が犯行に至った内面の移り変わりに光を当ててもよかったのではないか、と思うばかりです
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