「オウム真理教死刑が令和改元前だった理由」とする珍説

体調が悪く、ブログの更新が飛び飛びになっています。そんな弁解を書いたところで何の足しにもなりませんが
著名な文化人、大学教授と目される人も、時には珍妙な自説を開陳し、奇妙な思い込みに囚われたりします
プレジデントオンライン掲載の記事で、慶応大学法学部教授片山杜秀が「なぜオウム一斉死刑は令和直前だったか」と題する実に珍妙な駄文を披露しています
長い記事を数度繰り返して読んでみたものの、何を言いたいのかさっぱり理解できなかったので紹介します
副題に「新天皇即位に伴う恩赦に絡ませない」とあり、あたかもオウム真理教の死刑囚13人が恩赦の対象であるがごとく読者をミスリードします
しかし、オウム真理教事件のような、大量無差別殺人事件に関与した死刑囚が慶事の恩赦の対象になるはずもなく、死刑を免じて無期懲役になったりはしません
長文の記事なので引用は一部に留めます。全文を読みたい方は以下のアドレスにアクセス願います


なぜオウム一斉死刑は令和直前だったのか
「31」の数字から読み解くオウムと平成
どの時代にも、時代を象徴する数字というものが幾つも見いだせるでしょう。平成期を表すのにふさわしい数字も、いろいろあると思います。しかし、それらの数字の真打は、やはり「31」ではないでしょうか。平成が31年までということもあります。
けれど、そこに少しだけ前にずれて折り重なる別の「31」があるのです。
2018(平成30)年7月6日と26日の2日に分けて、合わせて13人のオウム真理教事件の死刑確定者の刑が執行されました。「13」は「31」の裏返しではありますが、これは偶然でしょう。教祖の麻原彰晃こと松本智津夫が絞首刑になったのは初日の6日です。
オウム真理教事件と総称される事件には、数々の出来事が含まれます。その最初のものとして一般に知られているのは、修行中のひとりの信者の死亡事故というか一種のしごきの果ての死を徹底的に隠蔽した事件で、それが起きたのは1988年9月22日。つまりまだ昭和。昭和63年でした。
(中略)
平成とオウム史は同じ「31」年だった
はて、「31」はどうしたのでしょうか。実は、オウム真理教が前身のオウム神仙の会から真理教へと改称したのが1987(昭和62)年でした。そこから地下鉄サリン事件まで8年。さらに麻原ら13人の死刑までは23年。31年経っているのでした。もちろん平成の31年は序数ですから、死刑の年は「オウム真理教暦」というものがあれば32年です
けれども、信者死亡事件の年から数えると序数でも31年になります。
平成とオウム真理教が同じ「31」。ある意味、当然です。昭和の終わりと「王の死」をいよいよ意識するところからオウム真理教の破滅的性質が顕在化したとも考えられますから、改元時期がオウム真理教の過激化と重なるのは当たり前。平成の終わる前に、新天皇即位に伴う恩赦があるとしても、そこにオウム真理教の死刑囚の問題を絡めたくないので、改元前、少し早めに死刑執行してしまうのは、国家の論理として当たり前。
昭和の終わりに生まれ、平成の終わりに死す。平成史はこのように「オウム史」としても語れてしまうのです。
(以下、略)


31という数字と13という数字を挙げ、いかにもそれが何かの因果関係があるような語りを展開するのですが、自分にはさっぱり理解できません。さらに文末では「令和」の画数が13だとわざわざ指摘する念の入れようですが、これも意味不明です
オウム真理教事件の死刑囚が執行される段階で、新元号が決定したはずもなく、新元号の画数を13にしろと安倍首相が命じていたはずもありません
これでは陰謀論以下の与太話の類でしょう
大学生が卒業論文でこんな駄文を提出してきたら、教授は「書き直し」を命じるのではないかと思うのですが、片山教授はどうするのでしょうか?
オウム真理教事件の死刑囚の執行は当然、内閣の責任であり、先延ばしできるものではありません。衆参両院で安定多数を確保し、足許が揺るがない(閣僚の失言など、問題はあるものの)安倍内閣だからできた、と考えた方が筋が通ります
また、平成のうちに決着をつけたい(執行したい)という検察幹部の思惑もあったのでしょう
変な数字を挙げて陰謀論めいた説をこねくり回すのは常軌を逸しています

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