中野劇団員殺害事件 最高裁で上告棄却無期懲役確定

東京都中野区のマンションで劇団員の加賀谷理沙さん=当時(25)=を殺害したとして、殺人や強制わいせつ致死などの罪に問われた無職、戸倉高広被告は東京地裁で無期懲役判決を受けたものの、不服として控訴し、さらに最高裁に上告して争っていました
4月15日、最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)は被告の上告を棄却する決定を言い渡しています
三審制なので最高裁まで上告はできるのですが、東京地裁公判の最終意見陳述で「二度と過ちをおかさず、更生すること。罪と向き合い自分と向き合い自分の心を強くし事件被害者に謝り続ける。刑に服します。反省して参りたいと思います」と述べていた戸倉高広被告が何をそこまで争っていたのか、気になります
加賀谷さんを殺害した事実を初公判で認めた戸倉被告ですが、一貫してわいせつ目的の犯行ではなかった、と主張しており、それが上告に至った理由なのでしょうか?
「強制わいせつ致死罪は成立しない」というのが弁護側の言い分で、懲役17年が相当としていました。無期懲役は重すぎる、と言うのであれば、最終意見陳述は裁判官や裁判員の心証を良くするため、表向き「刑に服する」と神妙な態度を示しただけなのでしょう
東京地裁の公判では以下のようなやり取りがありました


公判では戸倉被告を鑑定した医師が検察側証人で出廷し、犯行時は対人関係で臆病になる「回避性人格障害」だったと説明した。しかし、見ず知らずの女性に声をかけようとする行為や首を絞める行為を「臆病」な人格障害で説明できるのか。
検察官がこれらの行為と人格障害との関係を問うと、医師は「あくまで今後も関係が続く人に対し臆病になる。その場限りの相手であれば、声をかけるのは不自然でない。
首を絞めたことは、人格障害だからという説明は難しい」と証言し、人格障害の影響を否定した。
男の声の幻聴については「脈絡がなく違和感を覚える。後付けのような印象がある」と指摘した。
これに対し、弁護側は「回避性人格障害や障害による幻聴などの影響で、合理的な判断がしづらい状況だった」と主張した。
(産経新聞の記事から引用)



犯行時は幻聴に支配され、自らの意志とは関係なく戸賀谷さんを殺してしまったが、わいせつ目的ではなかった…との言い分にどれだけ真実味があるのか、と思ってしまいます
被告自ら「わいせつ目的の殺人はないので懲役17年が相当」という弁護人の言い分にすがりつき、執着してしまった結果ではないのか、と
最高裁の上告棄却を受け、戸倉被告は服役するのですが、判決を受け入れることはできず不満たらたらでしょう(現実を受け入れられない回避性人格障害ならなおさら、と皮肉を言いたくなります)
東京地裁の最終意見陳述で戸倉被告は、「自分の罪と向き合う」と述べていましたが、相変わらず向き合わないまま目を逸らし続けているように映ります

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