「令和」にちなみ万葉集を注目する韓国

それほど日本の年号が気になるのか、と思うのですが、「令和」にちなんで万葉集に言及する韓国メディアの記事が散見されます
しかし、そこはやはり韓国であり、「万葉集の起源は朝鮮半島にある」との主張を織り込んで読者をミスリードする気満々という内容であり、どこまでも起源を主張せずにはいられないのでしょう
いつものようにインターネットの掲示板「5ちゃんねる」に貼られた蚯蚓記者の翻訳から、主要部分のみ引用させてもらいます


5月1日に即位する日王の新年号レイワ(令和)のせいで話題になった本がある。その出典になった日本最古の詩歌集「万葉集」だ。629~759年の130年間に作られた日本詩歌を4516首も集めた本だ。現代まで続く日本伝統詩歌を和歌というが、その原型を見せる詩歌の集大成とされる。
ほぼ同時期、新羅には郷歌という固有の詩歌があった。その中から現在まで原型が確認されたものは14首しかない。万葉集がどれほどすごい詩歌集なのか確認できる。
郷歌は漢字の意と声を借りた郷札で書かれ、万葉集もやはり漢字の発音を借りた日本語表記法の万葉仮名で表記されている。郷札が先に登場した後、万葉仮名が登場した点から、その影響関係を推し量ることができる。古代韓国と日本は発音が類似の単語が多かった点で二つの比較研究は韓国の言語と詩歌研究にも重要だ。
(中略)
この本を翻訳した釜山の李妍淑(イ・ヨンスク、63)東義(トンウィ)大名誉教授は驚くべきことに日本文学の専攻者ではない。釜山大国語国文学科から博士まで終えた国文学者だ。郷歌と万葉集の詩歌を比較研究しようと日本東京大比較文学・比較文学科で修士から始めて博士課程まで終えた。
「万葉集の作者は500人前後と見られますが、私が分析したところによると日本に渡っていった渡倭系作者が半分近い222人もなります。その中で韓国系は保守的に捉えても167人です。百済系が145人、高句麗系が8人、新羅系が5人と推定されます。百済義慈王の息子、豊章と推定されるイクサノオオキミ(軍王)、兄弟関係の天智と天武日王の愛を同時に受けたヌカタノオオキミ(額田王)、日本教科書に詩が載ったヤマノウエノオクラ(山上憶良)が代表的です。
イ教授が韓国語翻訳本の原本とした本が中西教授が編修した「万葉集」(講談社文庫)だ。日本の古典を出典とした初めての年号レイワが発表された後、「万葉集は中国の影響を受けた」と言って話題になった中西教授は自身の著書で次のように明らかにした。「万葉集歌を出発させたものが古代韓国からの衝撃力だった。白村江の戦闘がなかったら万葉集はなかったかもしれない。(中略)百済文化を日本が継承する形式で歴史が流れたが、その中で誕生したのが万葉集だ。」
(中略)
翻訳出版の唯一の支援は2017年11月、日本外務省と文部科学省が後援し奈良県が授与する第5回NARA万葉世界賞で受け取った賞金1000万ウォンがすべてだった。
「日本の学者たちは支援金がなくても誰かがすべき基礎研究なら、いくら時間がかかって難しくても黙黙とやり遂げます。それが学者本来の任務ですからね。韓国には新羅真聖女王の時に郷歌を集大成した「三代目(サムデモク)」が流失し、14首しか残らなかった反面、日本には万葉集4516首の古代詩歌がそのまま残っている理由は何かです。長い観点で歴史を見ることができず、権力と利権でない文化の価値を認めて保存しようとする努力の差のためではないかと思います。」
(東亜日報韓国版の記事)


「文の国」を自負する韓国ですが、古い時代の歴史書はことごとく散逸し、残っていません。中国の王朝に倣い、歴代の王ごとに歴史書が編纂されその功績を文書に残す慣習が確立していたはずですが
また、記事にあるような詩歌集も散逸し、断簡がわずかに伝わっているだけです
そうした書籍の断片を研究した結果、新羅語と百済語、高句麗語は別々の言語であり、異なる民族によって成立した国家であったと現在では考えられています
韓国では新羅も百済も、高句麗も朝鮮民族の祖先という考えです(単一民族説をとらないのであれば、複数の民族の混交でも構わないのでしょう)
さて、万葉集の完全訳が韓国では最近になって出版された、というのは驚きです
かつて日本では、「万葉集は古代朝鮮語で書かれていた」とする本が出版され、それなりに反響をもたらしたことがあります
万葉集の詩歌、枕詞などは新羅語で書かれているとの指摘なのですが、肝心の新羅語自体まだ十分に解明されておらず(残された新羅語の文献があまりに少ないため)、こうした著作の中には現代韓国の慶尚道の方言をあたかも古代の新羅語であるかのように扱い、音が似ているからと強引に解釈してみせる方法が取られていたりします
まともな比較言語論の方法ではありません
根底には、「古代の日本人は文字を持たなかったのだから、筆記を担当したのは渡来人だったに違いない。渡来人といえば百済か、新羅だ。だから万葉集は古代朝鮮語で記述されたはず」との思い込みがあります

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