ニュージーランドでテロ 60人が死傷
すでに各メディアが取り上げているように、ニュージーランドでモスク2か所に銃を持った男女が侵入し、無差別の発砲を繰り返して49人が死亡、11人が重傷を負ったと伝えられています
主犯格として逮捕されたオーストラリア国籍の男性は、ニュージーランドで銃を所持する許可を取得し、自動小銃を含め5丁の銃を所持していたのだとか。銃の所持に関する規制がどうなっているのか、ニュージーランドの法律は不明ですが、5丁もの所有は護身用という範疇を超えており、犯罪目的と言わざるを得ません
ニュージーランドで銃の規制について議論が高まると予想はされますが、アメリカのライフル協会のように、「こうした事件が起こるからこそ、市民は銃で武装する必要があるのだ」という、間違った方向へ議論が流れないようにしてもらいたいものです
さらに、このモスク襲撃の様子がインターネットを介して動画配信されたため、大手の動画配信サービス企業・ソーシャルメディアサービスの対応も問題視されています
ニュージーランド南島クライストチャーチのモスク(イスラム教礼拝所)2カ所で起きた銃乱射事件では、容疑者の1人が襲撃中に撮影した動画がインターネットを通じて世界中に拡散した。フェイスブックなどのIT企業が削除に取り組んだが、勢いが止まらなかったことから、ソーシャルメディアの規制を求める声も出ている。
問題の動画は、頭に装着したとみられるカメラで撮影し、礼拝者を次々に銃撃する様子を映している。容疑者3人のうち、アーダン首相が「主犯」としたオーストラリア人のブレントン・タラント容疑者名義のフェイスブックのアカウントから生中継された。
ロイター通信によると、フェイスブックはニュージーランド警察の通報を受け、生中継の開始直後から動画の削除に取り組んだとしている。しかし、コピーされた動画がいくつもフェイスブックに出回り、数時間でツイッターやユーチューブ、インスタグラムなどへの拡散が確認された。
クラーク元首相は地元メディアの取材に対し、生中継が約17分続いたことへの違和感を隠さず、「ソーシャルメディアの効果的な規制を求める声が世界中で上がるだろう」と巨大IT企業の対応の遅れを批判した。
事件では、タラント容疑者が出したとみられる、移民を「侵略者」とみなす犯行声明もインターネット上で拡散。白人至上主義が背景にあるとみられ、ツイッターやユーチューブなどもヘイトスピーチの削除を続けるとしている。
(産経新聞の記事から引用)
オーストラリア人のブレントン・タラント容疑者(28)は、74ページにもなる犯行声明を公開しており、白人至上主義への傾倒と自らを英雄視する自己陶酔が明らかになっています。貧しいオーストラリアの白人家庭に生まれたタラント容疑者は移民を敵視し、白人の優位性が脅かされていると主張、移民排除が必要だと宣言しています
さらに2011年に80人以上が死亡するテロ事件を起こしたノルウェー人、アンネシュ・ベーリング・ブレイビク受刑者への共感も示されています
テロ行為を動画で世界へ発信し、これを英雄的な所業だと宣伝し、満足を得たかったのでしょう。今後も後悔したり、改心する可能性は皆無です
現状でニュージーランドは死刑を廃止していますので、タラント容疑者には終身刑が科せられるだけです。当然、タラント容疑者もそれを承知の上で犯行に踏み切ったと推測されます
この事件によって、タラント容疑者の模倣者が同様のテロ行為に走る危険もありますし、イスラム過激派による報復テロも起こりえます
死刑は犯罪抑止力にならない、と叫んでいる人も世の中にはいるのですが、タラント容疑者のような狂信的なテロリストを生かしておくような死刑廃止が本当に望ましいのか、理想なのかと言いたくなります
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