岩手県立高体罰事件を考える 生徒の自殺

部活動を指導する教師によるセクハラ、パワハラ、体罰といった事件が繰り返されており、まったく改善されないままになっています。最終的にゼロにするのは困難であるとしても、通報制度やら生徒の申し立てによる審査制度など導入し、被害者が自殺にまで追い込まれる事態を回避できるよう手を打つ必要があるのではないか、と言いたくなります
教育委員会は部活動を担当する教師らに対し研修を行っているなどと釈明するかもしれませんが、不幸な結末を避ける努力が十分になされているとは思えない事件が岩手県の県立高校でありました
岩手県不来方(こずかた)高校の生徒が、バレーボール部顧問の教師による叱責や激しい指導を苦に、昨年夏自殺しています
岩手県教育委員会は第三者委員会を設置し、調査すると公言していますが、そもそもこのバレーボール部顧問である佐々木幸浩教諭は、過去にも同様の体罰事案で問題になった人物です


2008年に岩手県立盛岡第一高のバレーボール部顧問だった40代男性教諭の暴力や暴言で精神的苦痛を受けたとして、元部員の男性(27)と両親が県などに計約200万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、仙台高裁は1日、県に20万円の支払いを命じた一審盛岡地裁判決を変更、40万円の支払いを命じた。
小川浩裁判長は判決理由で「暴力や暴言は指導の裁量を超えた違法行為」と指摘した。男性側は行き過ぎた指導が原因で心的外傷後ストレス障害(PTSD)になったと主張したが、小川裁判長は一審同様退けた。
判決によると、教諭は08年11月、青森県への遠征を無断欠席した男性を体育教官室に呼び出して約1時間怒鳴り付けた。高裁は、教諭が練習や試合中に男性の頬を平手打ちした体罰や「おまえのような人間が社会を駄目にする」など人格を否定した発言について違法と追加認定した。
教諭が現在勤務する岩手県立不来方高では昨年7月、バレー部員の新谷翼さん=当時(17)=が自殺し、両親はこの教諭の行き過ぎた部活動指導が原因と主張している。
(サンケイスポーツの記事から引用)


一審判決で佐々木教諭の体罰を認める判決が出ていたのに、なぜ岩手県教育委員会は佐々木教諭をそのまま在職させていたのか(懲戒免職にはできなくとも、教育現場から外す判断はできたはずです)、不来方高校ではなぜ佐々木教諭にバレーボール部の指導をさせていたのか、対応が問われます
佐々木教諭自身は一審で体罰と認定されたことを不服としていたようで、「俺の指導は間違っていない」と控訴していました。上記の記事にあるように、控訴審でも佐々木教諭の体罰を認めています
裁判で係争中であるにもかかわらず、またしても叱責や体罰頼みの指導により、生徒を自殺に追い込んでしまったのですから、教育委員会は佐々木教諭の責任を厳しく問わなければなりません
追記:岩手県教育委員会は岩手県立不来方高3年の男子バレーボール部員が自殺した問題で、部員に対し不適切な言動を繰り返したとして、当時の部顧問の男性を懲戒免職処分にしています。2022年6月22日付けで。これほど懲戒処分に時間をかけ審査する必要があったとは思えません

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