大津いじめ訴訟　元同級生に賠償命令: 夾竹桃日記

2019年02月19日

大津いじめ訴訟　元同級生に賠償命令

大津市の中学生がいじめによって自殺に追い込まれた事件で、遺族が提起した民事訴訟の判決があり、元同級生３人のうち２人に賠償を命じる判断が示されました

３人のうち１人を賠償請求の対象と認めなかった判断には疑問ありありですが、画期的な司法判断であるといえます

遺族は大津市と元同級生３人に損害賠償請求を求め提訴し、大津市とはすでに和解が成立しています。つまり、この元同級生とその親は和解案を拒否し、裁判で争う方針を貫いたのであり、それ結果がこれです

遺族による慰謝料など３８００万円の請求に対し、大津地裁は３７００万円を支払うよう命じており、遺族側の要求をほぼ認める内容です

元同級生による激しいいじめ行為が、男子生徒の自殺の原因と認めた今回の大津地裁判決。民事訴訟で、いじめが自殺につながる危険な行為であると認める判断を示したのは異例で、いじめ被害者や遺族にとっては画期的な判断といえる。

いじめ自殺をめぐるこれまでの裁判で、裁判所は「いじめを受けた人が自殺したのは、特殊な事情によるもの」との立場をとっており、訴訟を起こした側は、いじめで被害者が自殺する可能性を加害者側が認識していた（予見可能性があった）ことを立証する必要があった。

しかし、一般的にいじめ行為を具体的に立証する証拠を集めるのは難しく、実態をあぶり出すのは困難だ。これまで加害生徒側の予見可能性まで認められた例はほとんどなく、被害者側にとって「高い壁」となってきた。

これに対し、今回はいじめが刑事事件化したこともあり、男子生徒の心理状況の分析につながる証拠や、いじめの実態を詳述した証拠が多く集まった。

大津地裁はこれを基に「ハチの死骸を食べさせようとする」「自宅から無断で時計や漫画を持ち出す」といったいじめ行為の積み重ねで、男子生徒が精神的に追い詰められていった経緯を指摘。「このような心理状態に至った者が自殺に及ぶことは一般的に予見可能だった」として、自殺は「特殊な事情」との見方を取らず、元同級生本人の予見可能性があるかないかにかかわらず、賠償責任を認める判断をした。

弁護側によると、「激しいいじめが自殺の原因になる」との見方を裁判所が法的に認めたケースは初めてといい、代理人弁護士の一人は「これまで閉ざされたいじめ被害者の司法的救済に向けてかじをきる判断だ」と意義を強調する。

いじめ問題の解決に取り組む一般財団法人「いじめから子供を守ろうネットワーク」の井澤一明代表は「非常に踏み込んだ内容の判決だ。今も苦しむ被害者の励みになる一方、いじめの加害者に警鐘をならすものになっている」と話した。

（産経新聞の記事から引用）

いじめによって自殺に至ると予見していた、という加害者側の明白な認識がなければ、これまで加害責任を認めてこなかった従来の裁判所の判断はおかしいのであり、それが是正されるきっかけになるのであればよいのですが

高等裁判所の意固地な裁判官が、従来の判例と異なるのはけしからん、と逆の判断を示す可能性も残ります

いじめ対策として見れば、加害者側の責任を厳しく問う司法判断は抑止力として機能することが期待できるのであり、自殺に至らずとも不登校になったり、ＰＴＳＤ（心的外傷後ストレス障害）になった被害者を救う手立てにもなるでしょう

いじめの代償が高くつくと知らしめ、「こどものやることだから」と看過しない環境を作るようにしていきたいものです

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