栗原心愛ちゃん殺害事件を考える 行政の稚拙な対応
なぜ10歳の女の子を救えなかったのか?
千葉県野田市の小学生、栗原心愛さんの虐待死について、連日メディアが取り上げているのですが、とても虚しい気分になります
仕事柄、児童相談所の職員とも接点があった自分としては、児童相談所に巣食う事なかれ主義と尺定規な対応に憤りや疑念を抱いてきました。ですから今回のような行政に不作為や誤った対応が重なって虐待死を見過ごす…という事態は十分に起こりえるものと考えていましたし、現実として過去にも類似したケースがあります
児童福祉の現場ではもっと呆れた実態が当たり前のように行われているのですから
児童相談所の職員が一時保護したこどもにわいせつ行為を行う、というのもその一端であり、暴力を振るって大人しくさせる、黙らせるというのも日常的に行われています
野田市の市長と幹部職員が会見し、釈明やら今後の対応について述べているので取り上げます。言い訳の羅列、と形容するしかない内容です
鈴木有・市長 これから人生が始まる心愛さんの命を救えなかったことをおわびする。市民にもおわびする。子供への投資を掲げ、全小学校を回り、「友達を作ろう」と呼びかけ、子供たちの施策を行ってきたのに残念だ。影響を最小限にするため、検証して再発防止に全力で当たる。
佐藤裕・市教育長 おわびする。痛恨の極みであり、ご冥福をお祈りする。関係者に迷惑と心配をかけた。このような事件が二度と起こらないよう正面から向き合い、何ができていなかったのかを検証して再発防止に取り組む。
■問題点
今村繁・副市長 今回の事件の実態を徹底解明し、再発防止策を講じるため、28日から副市長を中心に内部検証を始めた。既に見えた問題点は、県柏児童相談所と連携できていなかった▽市内部や関係機関との情報の共有や記録が不十分だった▽心愛さんの虐待の重篤性の認識が欠けていた▽要保護児童対策地域協議会の中で、特に学校との連携が不十分だった▽警察との情報共有が不十分だった-などだ。
2月以降、再発防止委員会を設置し、二度と起こらないようにする。
今村副市長 心愛さんが父親からの虐待を明かした、平成29年11月6日に小学校で行われたアンケートのコピーを、父親に渡してしまった。一時保護解除後の30年1月12日、心愛さんの父母、小学校、市教育委員会の三者が会談。児相は都合がつかず、市児童家庭課も父親と関係が悪かったので、参加しなかった。
父親はアンケートのことを知っていたようで、コピーを渡すよう求めてきたが、心愛さんの同意を得ていなかったので、拒否した。だが、同月15日、心愛さんの手書きと思われる同意書を父母が市教委まで持ってきたので、アンケートのコピーを渡してしまった。
矢部雅彦・指導課長 12日の三者会談で、父親は「訴訟を起こすぞ」「名誉毀損だ」「保護が解除されたということは暴力がないという証拠じゃないか」などと大声を出し、恫喝のようだった。父親の威圧的な態度に押されてしまった。配慮を欠いていた。
今村副市長 アンケートは市情報公開条例の不開示情報にあたり、条例違反。職員の懲戒処分も検討している。事件への影響について、配慮不足だった。
(産経新聞の記事から引用)
連携不足と釈明しているのですが、連携するために、情報共有のために会議を重ねればよいというわけではありません。むしろ会議など時間の無駄であり、役人の時間潰しに悪用されるだけでしょう(過去に同種の、情報を共有するための会議に参加した経験からそう判断します)
重要なのは誰が責任者であるのか、誰がこのケースを仕切るのかであり、学校、野田市児童家庭課、児童相談所が互いに責任を押し付け合っているようでは解決などできません。どこまでも役人的発想であり、釈明に終始しています
そして最後はお約束のように警察に丸投げ、という結論になります
行政の主体が自分たちであることを都合よく忘れ、面倒なトラブルは全部警察に押し付けようとする、小役人根性がありありです
今回のケースは明らかに児童相談所が仕切り、解決しなければならないケースであったのに、児童相談所が逃げたため、最悪の結果を招いたものです
児童相談所長、担当課長は職務怠慢で懲戒免職に値するのであり(まあ、そんな処分はせず、せいぜい訓戒で配置転換くらいでしょう)、児童相談所の職員をそっくり入れ替えるくらいの荒療治が必要です
安倍首相は児童福祉士を1000人増やす、と言明していますが、即戦力となる児童福祉士が1000人も転がっているわけもなく、資格を有しているだけでは使い物になりません。栗原勇一郎容疑者のようなモンスターペアレントと対決する覚悟を有する児童福祉司を育て、児童相談所がそれをささえる組織になるよう改善するには時間がかかります
情報の共有が不十分だった、との発言の裏には情報を他の機関に回し、ついでに責任をも押し付けようとする小役人の発想があります
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