中国の無人月探査機 着陸に成功

中国が打ち上げていた無人の月探査機「「嫦娥4号」が、月の裏側に着陸したと報じられています。月の裏側に探査機を着陸させたのは史上初です
「嫦娥四号」は月を周回する母船と、分離して月面に降下する探査機によって構成されており、さらに地球から直接通信するのは難しい月の裏側での活動に備え、別に通信用の人工衛星も活用されています
周到な計画に基づいて進められている中国の月面探査ですが、その狙いがどこにあるのか、との疑問がつきまといます


狙うのは資源か? 軍事基地か? 中国による世界初の「月の裏側」探査の目的とは
中国は2019年1月3日(日本時間)、月の裏側に無人探査機「嫦娥四号」を着陸させることに成功した。月の裏側に探査機が着陸したのは史上初で、さらに同日夜には探査車「玉兎二号」が走行を開始した。
中国が月の裏側の探査に挑んだことについては、さまざまな憶測、懸念が表明されている。はたして中国の目的はどこにあるのだろうか。
嫦娥四号は、中国の宇宙機関である国家航天局(CNSA)が開発した探査機で、月に着陸する「着陸機」と、その着陸機から発進し、月を走り回って探査する探査車「玉兎二号」からなる。
嫦娥“四号”という数字からもわかるように、中国の月探査の歴史は長い。まず2007年に月を回りながら探査する「嫦娥一号」を打ち上げ、2010年にはその後継機「嫦娥二号」を打ち上げ、ともに成果を残している。
そして2013年には、今回の嫦娥四号とほぼ同型の「嫦娥三号」を打ち上げ、月の表側への着陸に成功。探査機の月面着陸はソ連の探査機以来、37年ぶりのことだった。また探査車の「玉兎号」も月面を走行し、探査を行った。
さらに2019年の打ち上げを目指し、月面に着陸してサンプルを採取し、地球に持ち帰ることを目的とした「嫦娥五号」、「嫦娥六号」の開発も進んでいる。
(中略)
嫦娥四号について、中国は科学目的の探査ミッションであるとし、また「人類の月探査の新たな章の始まりだ」とも語っている。
一方日本や欧米のメディアなどでは、「月の裏側にある資源が狙い」、あるいは「将来の軍事基地の建設を狙っている」といった論調も目立った。しかし、そうした見方はナンセンスである。
月における資源としては、「ヘリウム3」と呼ばれる物質が有名である。ヘリウム3はヘリウムの同位体で、核融合発電の燃料として使えば、わずか数十トンで全世界の1年分の電力を作り出せるとされる。またヘリウム3は地球には少ないものの、月には多く、とくに裏側に集中して埋蔵されているとも見積もられている。
しかし、核融合の技術はまだ研究・開発段階で、実用化までには数十年かかるとされる。
また、ヘリウム3を燃料に使う場合はさらに難しい技術が必要なため、それ以上の年月がかかるだろう。そもそも、重水素という燃料を使った核融合ならヘリウム3より比較的簡単で、何より重水素は地球の海に大量に存在するため入手もしやすい。100年、200年後ならまだしも、現時点でヘリウム3を資源として利用することを考えるのは無理がある。また、軍事基地の建設という可能性も、ほとんど考えられない
(以下、略)


記事の筆者は省略した部分で、「嫦娥四号のような科学ミッションは、米国や日本など、他国が協力できる可能性のある分野である。宇宙開発における協力は、お互いの手の内を少しでも見せ合うことになり、また交流や対話が行われることで相互理解も進み、偶発的な衝突も起こりにくくなる。なにより、ともに科学という知のフロンティアを切り拓いていくことで、人類全体に対する責任感が生まれ、そして人類全体の科学・技術の向上につながる」と希望的観測を述べています
しかし、これまでも当ブログで指摘したように、中国は手の内を見せるのを良しとせず、国際協力を拒み続けてきた経緯があります。国際宇宙ステーション計画にも中国は参加していません。例外はロシアとの協力で打ち上げを試みた火星探査機くらいでしょう(打ち上げには失敗していますが)
月の探査も中国は独自に推進しており、欧米との協力はまったく考えていないのです
そして得られた観測データも進んで公開するのではなく、ほとんどを秘匿するのでしょう。そうした姿勢が「資源の独占狙い」とか、「軍事利用」とか、憶測を生む背景になっているわけで
現状での中国とアメリカの貿易戦争を見れば、この2つの国が宇宙開発という最先端分野で手を結ぶ可能性は皆無でしょう

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