香川の高校教師強制わいせつ事件2 その背景

2015年3月に当ブログで取り上げた、香川県立高校の教諭によるわいせつ行為によって、大学院生に通う女性が自殺した件に再び言及します
大学の卒論を書くため母校を訪れ、問題の教諭からたびたび体を触られるわいせつ行為を受けるに至ったものの、被害者はこれを誰にも言わず耐え忍んでいました
その後、2006年になって被害者はこの教諭を刑事告発していますが、教諭が250万円の慰謝料を支払うことで示談が成立し、被害届を取り下げたようです
しかし、被害者は心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症し、自殺するに至ったというのが事件の経緯です
教諭からわいせつ行為を受けたと認めさせ、慰謝料を受け取ったものの被害者の心は深く傷ついており、示談は何の救いにもならなかったのでしょう
読売新聞の記事を以下、引用します


母校の県立高校の男性教諭(60)から性的行為を受けた大学院生の女性(当時22歳)が自殺した問題で、県教委は11月、教諭を定年退職(来年3月)までの4か月13日の停職処分とした。「本来は停職6か月に相当する。セクハラ事案の中では、最も重い処分を下した」としているが女性の遺族は納得せず、処分発表後の県教委には「処分が軽い」と批判のメールや電話も30件以上寄せられた。決定に至るプロセスを追った。
■裁判
女性は2006~08年、大学の卒業論文のアンケート調査で学校の協力を得るため、教諭と接触。論文を仕上げ大学院に進学後の08年10月に自殺した。両親は11年、「意に反して教諭から継続的に性的行為を受けたのが原因」として教諭らに計4000万円の損害賠償を求め地裁に提訴した。
今年3月、地裁は判決で▽教諭が女性の意に反して体を触ったり写真を撮ったりした▽性的行為が原因で、心的外傷後ストレス障害(PTSD)になったことに合理性がある▽これらが相まって、女性が自殺に至った――ことなどを認定。教諭に750万円の支払いを命じた。教諭は9月、控訴を取り下げて1審判決が確定。
判決を受けて、県教委は処分を下した。
読売新聞の取材に、教諭は「決して無理やりではない。控訴を取り下げたのは、金銭的にも体力的にも訴訟を続けるのが厳しくなったからで、1審の判決に納得はしていない」と主張する。
■処分
県教委の処分基準では、「セクハラ」を他の職員や生徒らを不快にさせるわいせつな発言、身体的接触などと定義。原則、最も重くて停職としている。より重く、免職も科すことができる「わいせつな行為」については、刑法や県迷惑行為等防止条例に違反するものとしている。県が認定したのは、セクハラだった。
女性は当初、強制わいせつ容疑で刑事告訴していたが、08年に教諭との間で示談が成立し、示談金250万円が支払われた。捜査は終結した。
県教委は「立件されていない以上、刑法や条例違反があったと行政が判断することは難しい」と処分理由を説明。県の顧問弁護士も「民事裁判の判決には、推測の上での事実認定が多い。両者の言い分が食い違う中、女性側から出た証拠だけを参考にする訳にもいかない」と話す。
■事実認定
県外の教育委員会では、こうした不祥事にはどのように対応しているのか。
東京都教委では、「一般の者に対する性的行為等」として同様の処分規定を設けており、「刑事処分の有無にとらわれず、事案の悪質性などを総合的に判断する」。四国のある県教委の担当者は「こちらの規定なら、免職になる可能性はある」とする。一方で、「刑事処分がないまま、民事で事実関係が認められるのはまれなケース。判断が難しいのは確かだ」とも打ち明け、行政独自の事実認定の困難さをにじませる。
停職6か月相当という処分について、香川県教委のある職員は「一度休めば周りの人が知るところとなり、復帰はしにくい。停職でも実質的には辞めろと言われているのに近く、軽くはない」と話す。
女性の母親は取材に「娘は死ぬ2日前、県教委に懲戒免職を訴えて自殺した」と明かした。「こんな処分で済んでは、新たな被害の抑止にならない」
訴えが、今も頭から離れない。
(読売新聞の記事から引用)


女性を誘い、その肉体を弄んだだけでなく精神までも深く傷つけたと言うのに、この教諭は何の反省もなく、被害者を思いやりもせず、ただ自分が被告にされたと恨みつらみばかりを口にしているように映ります
刑事告発時の示談と、その後の民事訴訟で負けたため1千万円を支払う羽目になったのがそれほど悔しいのでしょうか?
彼女を愛していたなら別の対応もあったでしょう。つまり体だけが目当てだったと?
そもそも自身の学校の卒業生に手を出した教師の側に重大な落ち度があるのに実に不愉快な事件です
この教師を懲戒免職処分にしなかった香川県教育委員会の判断も、批判されて然るべきと思います
2006年から2008年の間に刑事告発されたため、起訴休職になって、その後は病気を理由に休職したまま職場に復帰せず停年を迎えるまで居座った、と推測されます
病気休職期間は地方自治体によって多少制度に差はあるものの、1年半は給与に相当する額を受給できます。さらにその後、2年間は傷病手当金が支給(金額はまちまち)されるので、まったく無収入というわけではありません
ただし、3年半を経過すると傷病手当が打ち切られるので、この教諭が控訴を諦めたのも懐の事情によるのでしょう

(関連記事)
香川の高校教師が強制わいせつ 被害者は自殺
聖カタリナ学園高校セクハラ教師を解雇
性犯罪で懲戒免職の小学教諭 裁判でも犯行否認
福井中学生自殺 校長のトンチンカンな釈明
福井中学生自殺 担任の?な釈明
福井中学生自殺 生徒を死に追いやった教師
堺高校教諭 女子生徒を全裸にして懲戒免職
寝屋川市の小学校教諭を少女強姦で逮捕
小4女児を教室で裸に 教師逮捕
小学校長がトイレ、更衣室盗撮 懲戒免職に
女教師宅に侵入繰り返した中学教頭 懲戒免職
高校教諭 AV見せて男子生徒の股間を触り懲戒処分
懲戒免職のわいせつ教師 熊本市復職認める
修学旅行で盗撮の教諭 懲戒免職に
修学旅行で盗撮 高校教諭逮捕
わいせつ教師 「懲戒免職不服で退職金払え」と訴訟
女子高生を手紙で呼び出した小学校教諭逮捕 熊本


先生になりたいあなたへ改訂版 教員採用試験の突破から成長し続ける教師を目指す人に (教職課程新書) [ 藤岡達也 ]
楽天ブックス
教員採用試験の突破から成長し続ける教師を目指す人に 教職課程新書 藤岡達也 協同出版センセイ ニ ナ


楽天市場


この記事へのトラックバック