高槻少女殺害事件を考える19 判決は死刑

大阪府寝屋川市の中学1年、平田奈津美さん=当時(13)=と同級生の星野凌斗(りょうと)さん=同(12)を殺害し、遺棄したとして起訴されていた山田浩二被告に対し、大阪地裁は本日求刑通り死刑を言い渡しています
物証の乏しい事件でしたが、家出した2人が山田被告の車に同乗していたとする検察の立証を認め、殺意をもって2人の命を奪ったとして殺人罪が成立すると踏み込んだ判断を示しています
犯行当時被告は心神耗弱であったとする弁護側の主張を退け、責任能力があったと判断しており、情状酌量の余地は認めませんでした
AERAの記事に、大阪拘置所で山田被告に面会した記者が書いたものがあります
法廷での緊張気味の姿とは違って、ひたすら検察やメディアを批判する強気な態度が伝わってきます


「こういう記事が出ているが、どう思います?」
マスコミ報道の記事のコピーを差し出した。ニュースで報じられている内容が気に入らないようで、椅子があるのに、座らず、立ったままでひたすらマスコミの悪口をまくしたてる山田被告。
厚生労働省の元次官で大阪地検特捜部に逮捕されるも無罪となった村木厚子さんの戦いを記した拙著「私は無実です 検察と闘った厚労省官僚村木厚子の445日」(朝日新聞出版)を手にしてこう筆者に求めてきた。
「検察の取調べはひどい。どうせ死刑だとか平気でいう。取調べは録音録画されており、それ見てくれたら、違法な調べがわかる。この本のとおり、検察はひどいので、それを書いてくれ」
山田被告の場合、弁護士も平田さん殺害については傷害致死で懲役12年相当と「有罪」を主張している。村木さんの無罪と同列に論じるのは、「到底、無理だ」と説明すると「結局は検察や警察の言いなりか」と怒りを露わにした。
(中略)
裁判では、山田被告の責任能力が大きな争点の一つとなっている。
「裁判では精神病とか、なんとか障害とかわけわからんこと言われていい迷惑。そんなことどうでもいいんや」
自らの責任能力について、興味がなさ気に主張した山田被告。
何度か面会を重ねても、山田被告の話の大半は立ったままのマスコミ批判の独演会だった。そして必ず、面会時間が終盤にさしかかるとこう要求した。
「面会にくるのは、弁護士とマスコミだけや。裁判はじめるとマスコミは来なくなった。ワシ、マスコミに差し入れ目的で会うのやない。けど、だれも差し入れてくれん」
さらにはこんな注文もした。
「ネットで山田浩二、裁判員裁判とネット検索してプリントして差し入れて」
インターネットなど自分自身がどう書かれているか。エゴサーチしているようだ。
先にも書いたように、山田被告の法廷での主張は、そのまま受け入れられるほどの説得力は感じられなかった。
(AERAドットコムの記事から引用)


インターネットや新聞雑誌で自分がどう書かれているのか、山田被告が気にしているのは、いずれ名誉棄損だと訴える気でいるからなのでしょう
ロサンゼルス銃撃事件でメディアから誹謗中傷の記事を書かれたと、被告だった三浦和義は数々の民事訴訟を提起し、その大半で勝訴しています(ただし、女性を殴打した事件では有罪判決が確定しており、いわゆるロス疑惑すべてが冤罪ではありません)
山田被告は判決を不服として控訴していますので、この先も長い裁判が続きます。一審判決は確かに1つの区切りですが、何も終わってはいません

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