中国独自の衛星測位システム「北斗」は米「GPS」に勝つ

宇宙関連の話題を一つ
衛星測位システムとしてはアメリカが運営するGPSがその代名詞になっています
しかし、GPSは民間のためのシステムではなく、あくまで米軍の軍事行動をサポートするために開発されたものであり、イラク戦争のような有事の際には信号にスクランブルがかかり、民間の利用が制限される場合があります
そこでロシアは独自の衛星測位システムGLONASSを運営し、GPSに依存しない仕組みを保有しています。中国も独自の衛星測位システム北斗を構築しています
EUはGALILEOという衛星測位システムを計画したものの、参加国の負担が重すぎるとして物議をかもしました
先進国の集まりであるEUですら、衛星測位システムを構築し、維持する費用の重さに悲鳴を上げているわけです。ならばロシアや中国の負担はいかばかりか、と
中国メディアによる、「アメリカのGPSに勝つ」との自信満々の記事を紹介します


中国の北斗、衛星43基でGPSの地位を揺るがす
市場参入が早く、認知度が高いため、多くの人がGPSとナビゲーションを同じものだと考えている。無料サービスとして1964年に導入されたGPSは世界に産業チェーンを完備し、1994年までに世界の98%をカバーする24基のGPS衛星が設置された。スマートフォンの時代になり、民間版GPSが普及し、必要不可欠な基礎サービスとなっている。
しかし、GPSは世界唯一の測位システムではなく、GLONASS、GALILEO、北斗(BDS)を合わせた4大衛星ナビゲーションシステムが共同で地上または近地点で全天候の3D座標と速度、および時間情報の宇宙基盤無線電気伝導測位システムを提供している。
うち、中国が自主開発した北斗衛星ナビゲーションシステムは順調に発展し、GPSの地位を揺るがし、50年以上の優勢を打破しつつある。
北斗は早くから普及
多くの人が北斗を知ったのは四川大地震の時である。北斗システムのショートメッセージ機能は緊急時に救援情報を発信し、緊急保障能力を発揮した。しかし、北斗に対する認識は2008年で停止し、よく聞かれる名前はGPSだった。実は、多くのスマートフォンに早くから北斗が搭載されている。
(中略)
北斗が世界最大に
北斗衛星ナビゲーションシステムの公式サイトによると、2018年11月19日2時7分、中国は西昌衛星発射センターから「長征3号乙」(及び遠征1号上級)を使って42基目と43基目の北斗衛星を同時に打ち上げた。
北斗衛星ナビゲーションシステムの衛星の数は米国のGPS(31基)とロシアのGLONASS(24基)を上回り、世界最大の衛星ナビゲーションシステムとなっている。また、第3ステップの発展に突入した北斗システムの世界範囲における即位の精度は2.5~5メートル、速度測定は0.2米/秒に上がった。同時に、同システムは民間ユーザーに精度約10メートルの測位、0.2米/秒の速度測定サービスを無料で提供し、さらに精度の高いサービスを有料で提供する。
(以下、略)


地球の上を回る衛星群を常に維持するのは大変です。1つの衛星の寿命がどれくらいになるかは不明ながら、故障など不意のトラブルで使えなくなるケースも想定されるため、常に代替衛星を打ち上げる用意が必要です
30基から40基もの衛星からなる測位システム北斗を中国が単独で維持し続けるためには、資金の裏付けが必要です。中国のメーカーが生産するスマートフォンや自動車用カーナビゲーションには北斗用のチップを実装するよう義務付け、幾らかの代金を徴収しているのでしょう
不足分は国家予算を投じているとしても、これを防衛費としては計上せず、文教予算(科学技術振興のための予算)に含めているのかもしれません。中国政府が公表している防衛費は各種のからくりがあり、額面通りに受け取るわけにはいかないのです
アメリカを「潜在的な敵」と見なす中国ですから、将来的な軍事衝突に備える意味でも、北斗の維持は最優先事項だと思われます
EUは30基の衛星からなるGALILEO構築に4000億円以上の投資が必要、と言われており、これに維持費も加わります。無料で使えるGPSがあるのだから、GALILEOに大金を投じる必要はない、との声が出るのも仕方がありません(アメリカとヨーロッパの同盟国で組織されるNATO軍は有事の際、当然GPSを使用します)
衛星による測位システムは将来の自動運転に不可欠とされ、産業面でも大いに注目されています。実現のためには数十センチ単位の、精密な距離測定技術が必要です

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