高槻少女殺害事件を考える18 死刑求刑
昨日、今日、メディアは日産のカルロス・ゴーン会長逮捕のニュースを数多く発信しています。そちらについては別の機会に取り上げることにして、寝屋川市の中学生2人を殺害して遺棄した山田浩二被告の裁判に言及します
本日の論告求刑公判で検察側は山田被告の犯行は極めて悪質であるとし、死刑を求刑しています
大阪府寝屋川市の中学1年の男女2人が2015年に殺害された事件で、殺人罪に問われた山田浩二被告(48)の裁判員裁判の論告求刑公判が21日、大阪地裁(浅香竜太裁判長)であった。検察側は「極めて重大、悪質で社会的影響は大きい。荒唐無稽な弁解に終始しており、被告の更生は困難」として死刑を求刑した。判決は12月19日。
遺族の代理人弁護士も「反省の色が全くうかがえない。命をもって償うほかない」と述べた。
殺意の有無や責任能力が争点で、山田被告は初公判で殺すつもりはなかったと起訴内容を否認。目撃情報や自白などの直接証拠はなく、検察側は状況証拠を積み重ねて被告による殺害を立証しようとした。
論告で検察側は、遺体に窒息死の特徴があり、被告が星野凌斗さん=当時(12)=、平田奈津美さん=同(13)=の首を圧迫して死亡させたと主張。何らかのトラブルが生じて最初に星野さん、その後口封じのために平田さんを殺害したとして、被告には完全責任能力があると指摘した。
弁護側は最終弁論で「被告の供述は信用できる」として、平田さんについては傷害致死罪にとどまり、被告は精神に影響する障害で責任能力が低下し心神耗弱状態だったと反論。星野さんに関しては何らかの体調不良で死亡したとして無罪を求めた上で、被告は懲役12年が相当とした。
(時事通信の記事から引用)
話は前後しますが、山田被告は検察官から過去の未成年者監禁事件について訊かれた際、「記憶にない」と発言しています
しかし、検察側は公判で山田被告が7回も未成年者を監禁し、わいせつ行為をしたり金品を奪う事件を繰り返したと詳細を明かし、山田被告が動揺して答えに詰まる一幕があったと伝える報道があります
死刑求刑された山田被告 検察に過去7回のわいせつ事件バラされ、絶句
(前略)
公判で検察は山田被告の過去の前科、犯歴を捜査報告書として明かした。1991年から2002年にかけて、山田被告は少なくとも7回に渡り、自分より年下の未成年の男性に対して、わいせつ事件を起こしているという内容だ。
2002年には2月から3月にかけて、5件も連続して、わいせつ事件を起こしている。例えば2002年3月30日の事件は、大阪府寝屋川市で道を聞くふりをして、14歳の男性を自分の自動車に誘い込んだ。カギを閉めて車を発進させ、手錠をかけた。果物ナイフを突きつけて、現金を奪い、顔にガムテープを巻き付け目隠しをして着衣を脱がせて下半身を写真撮影するなどし、3時間半にわたって監禁したというもの。
検察が明かした、犯行は多くが通りすがりの未成年者に声をかけ、言葉巧みに車に連れ込み、暴行したりナイフなどで脅し、ガムテープなどで動けなくして監禁。金品を奪い、わいせつ行為に及ぶという似た手口だ。今回の事件も、2人の遺体の顔はガムテープが貼り付けられていた。山田被告が車にカッターナイフやガムテープを所持していたこともわかっている。それを踏まえて検察は山田被告に
「今回ね、平田さん、星野さんに声かけた、あなたは心配だったからと言いましたね。危害を加えるつもりで声かけたんじゃないですか?」
と問うと、山田被告は「そそそそそ…」とどもるばかりで、答えが出ない。ようやく
「それはないです」と答えた。
さらに検察に「2人にわいせつ行為をしようとしたのでは?」と問われると、「ありません」と答えた山田被告。
(AERAドットコムの記事から引用)
これは検察側の作戦勝ちでしょう。状況証拠ばかりで自供も得られていない事件ですが、公判の場で揺さぶりをかけ、被告を動転させボロを出させる方法で山田被告の供述がいかに嘘まみれであるかを立証して見せたのですから
弁護士とも話し合い、公判での質疑応答の準備も入念にし、土下座もし、公判を乗り切るつもりつもりだった山田被告ですが、刑事訴訟の専門家である検察官の揺さぶりに対応できなかったのは、嘘に嘘を重ねた山田被告の言い分に無理があったためでしょう
法廷ドラマみたいな展開です
判決は来月になります。公判で罪を認め、真摯な反省の態度を示せば、あるいは無期懲役という可能性もあったかもしれません。しかし、公判で嘘だらけの言い繕いに終始した結果、裁判員の心証は最悪でしょう
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