台東区放火殺人の高校生 懲役4年以上7年以下判決

交際相手である高校3年生の女子高生を絞殺し、台東区のマンションの部屋に放火したとして逮捕、起訴された男子高校生(当時)の裁判の報道を取り上げます
昨年5月に起きたこの事件は、女子高生が「自分を殺してほしい」と依頼した嘱託殺人として起訴されています
当時女子高生は妊娠していると知り、交際相手の男子が親から激しい叱責を受けるものと悲観し、「殺してほしい」と依頼するに至った、と起訴状で明かされています
依頼を受け被告は、「「被害者が火災で死亡したように見せかけるため、現場マンションを燃やそうと考えた」と、犯行の経緯が明かされているのですが、マンションは集合住宅ですから、火災になれば他の住民にも被害が及ぶのであり、随分と短絡的な思いつきです
弁護側は「被告は自分も焼け死のうと思った」とし、少年院送致による保護処分が妥当だと主張しています


東京都台東区で昨年5月、高校3年の女子生徒=当時(17)=を殺害し、マンションに火を付けたとして、嘱託殺人や現住建造物等放火などの罪に問われた元交際相手の少年(19)の裁判員裁判の公判が3日、東京地裁(鈴木巧裁判長)で開かれ、検察側が懲役5年以上10年以下の不定期刑を求刑し、結審した。判決は9月7日。
検察側は論告で、女子生徒から「殺してほしい」と頼まれた際、断ったり、死ぬ必要はないと説得したりできたと指摘。「ほかにも選択肢があったのに安易な選択をした」と述べた。
弁護側は「家裁に移送し、少年院送致にすべきだ」と訴えた。
起訴状によると、昨年5月3日、女子生徒に頼まれて首を絞めて殺害し、翌4日に女子生徒の自宅マンションに火を付けたとしている。少年は8月29日の初公判で起訴内容を認めた。
(産経新聞の記事から引用)


本日7日の判決公判では、「回避する手段や機会はあり、そこまで切迫した状況ではなかったと指摘。(妊娠を打ち明けられてから)約1時間半で殺害を決意、実行した点についてあまりにも安易だ」と断じ、「他の嘱託殺人事件と比べても刑事責任は重い」との見解を示しています。さらに、マンションへの放火についても「嘱託殺人の責任から逃れたいという心情から重大犯罪を重ねた」とし、弁護側の言う「自殺するつもりで火をつけた」との主張を退けています
さらに少年院送致にすべきとして弁護側の主張に対し、「少年としての未熟さや社会経験の不足が影響している面も見受けられるが、相応の分別は身に着いていた」と判断した上で、刑事処分を避ける理由はないとし、懲役4年以上7年以下の実刑判決を言い渡しています
弁護側が判決を不服として控訴するかどうかは分かりません。弁護側は少年の責任をできるだけ限定的に扱い、未熟さゆえに「殺してほしい」との依頼を断り切れなかった事件として情状酌量をを求めたものの、裁判所は応じなかった…という構図です
刑事責任はともかく、民事上の責任についてはどうなっているのでしょうか?
嘱託殺人であると刑事裁判が認定したとしても、娘を殺害された親の側からすれば被告に言いたいことは山ほどあるはずで、民事上の損害賠償請求もあり得ます
交際相手の女子高生を殺害せず、将来生まれてくるこどもとともに3人で生きる道を選ぶべきではなかったのか、と思うばかりです

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