杉田水脈論文事件を考える 性をどう語るか

自民党の衆議院議員杉田水脈が月刊誌「新潮45」に寄稿した論文、「『LGBT』支援の度が過ぎる」の中で、「LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子どもを作らない、つまり『生産性』がないのです」と書き批判を被った件について言及します
ご承知のように杉田議員の論文が各方面から痛烈な批判を浴びたのですが、「新潮45」は反論のため「特別企画 そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」という7人の書き手による反論特集を組み、さらなる杉田論文の後押しを行った…という展開です
その7人の書き手の1人、評論家の小川榮太郎は杉田議員と対談本「民主主義の敵」(青林堂)を出しているお仲間です
あまりに突飛で勘違いぶりが目立つ小川榮太郎の寄稿文を手がかりに、性をどう扱い、考え、語るかについて考えてみます
小川榮太郎の「「政治は『生きづらさ』という主観を救えない」とは、おおよそ以下の内容です


テレビなどで性的嗜好をカミングアウトする云々という話を見る度に苦り切って呟く。「人間ならパンツを穿いておけよ」と。性的嗜好など見せるものでも聞かせるものでもない。
性の不一致が心的事実として一定の確率で存在する事を私は否定しない。だが、それを言うなら、時代との不一致、社会体制との不一致、会社との不一致、家族との不一致も、人生の致命傷となり得る。
LGBTという概念について私は詳細を知らないし、馬鹿らしくて詳細など知るつもりもないが、性の平等化を盾にとったポストマルクス主義の変種に違いあるまい。
LGBTの生き難さは後ろめたさ以上のものなのだというなら、SMAGの人達もまた生きづらかろう。SMAGとは何か。サドとマゾとお尻フェチ(Ass fetish)と痴漢(groper)を指す。私の造語だ。ふざけるなという奴がいたら許さない。LGBTも私のような伝統保守主義者から言わせれば充分ふざけた概念だからである。
満員電車に乗った時に女の匂いを嗅いだら手が自動的に動いてしまう。そういう痴漢症候群の男の困苦こそ極めて根深かろう。再犯を重ねるのはそれが制御不可能な脳由来の症状だということを意味する。彼らの触る権利を社会は保障すべきでないのか。触られる女のショックを思えというか。それならLGBT様が論壇の大通りを歩いている風景は私には死ぬほどショックだ。精神的苦痛の巨額の賠償金を払ってから口を利いてくれと言っておく。


この小川寄稿文に関しては、性的志向と性的嗜好を混同しているなど批判があります
が、この人はわざと混同させている節もありますし(所詮は同じものだよ、と看破したつもりなのでしょう)、「性とは下品なもので、人前で語るべきではない」と思い込んでいるがゆえ、自分は伝統的な保守主義者だと自負しているように映ります
もちろん、小川榮太郎の言う「性」とはセックスであり、性の問題とはそれ以外ではないと確信しているので、そもそも議論など不可能です
精神分析家のフロイトは性を重要な問題だと考え、数々の研究を重ねたのですが、自分もその考えに賛同します。しかし、小川榮太郎にとっては性とはセックスでしかないのであり、生物の交尾と同じか淫靡な嗜好でしかないとの考えです
つまり、LGBTとは変態的な同性セックスに浸っている連中であって、行政が特別扱いするのは大間違いと決めつけているわけです
この他にも小川榮太郎の過去の発言には、「結婚を神聖視する伝統的な価値観」が色濃く反映しているのであり、いかにも「自由恋愛なんてとんでもない。娘は親が決めた相手と結婚すればよいのだ」と言いたげです
そんな偏屈な人物の思考が普遍性を持つわけもなく、ネトウヨでさえ口にしない愚論と揶揄されるのは当然でしょう
「新潮45」の狙いは世間に異論をぶつけ、価値観やら常識を揺さぶり、議論を誘うものであるかもしれませんが、小川榮太郎の頭の悪い文章がすべてを台無しにした感があります。もう少しまともな人物に執筆を依頼すればよいものを
批判を受け、「新潮45」が廃刊に追い込まれるのは時間の問題と思われます

※地方自治体がLGBTカップルを特別扱いするのは、マイノリティーにも目を向け尊重していますとのアピールですが、どうせなら異性カップルも同じように遇していただきたいものです。行政は公平が原則でしょうから

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民主主義の敵
青林堂
2018-07-20
小川榮太郎

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