大雨で麻原死刑 「日をずらせ」と宮根誠司発言

アナウンサーという立場でありながら、一端のジャーナリスト気取りの発言をする人は珍しくありません。ジャーナリストは自ら取材し、事件の表裏を確かめた上で記事を書いたり発言する人です。単にニュース原稿を読み上げたり、事件の表裏を確かめないままコメントする人間をジャーナリストとは呼びません
昨日のオウム真理教幹部の死刑執行について、情報番組「情報ライブ ミヤネ屋」で司会の宮根誠司が、「大雨で被害が出ているのに、死刑執行はおかしい。日をずらすべき」と発言し、批判を浴びる事態になっています
以下、J-CASTニュースの記事から引用します


大雨の日に麻原死刑執行、「何でずらさなかったのか」 宮根誠司ギモンに批判殺到
(前略)
「ずらせなかったのか、というのは...住田さん、素朴な疑問としてね、いま色んなところで災害が起きている時に、何でずらさなかったのかなって」と疑問をぶつけた。住田氏はこれに対し、
「管理系統が、災害対策と法務省の執行とが重なっている場合は、たぶんずらしたと思います。官邸の災害救助本部とか色んな対策本部ができるのと、これとは、まったく別ルート」
と説明。災害対策と刑執行の意思決定プロセスは異なるものだと説いた。
この説明を受けて、宮根さんは
「我々からすると、もっと柔軟な対応があったんじゃないかと思いますが」
と再び主張していた。
「テレビ局の都合でしょ」
こうした宮根さんの発言は、インターネット上であまり賛同を得られなかったようだ。
ツイッターでは、
「死刑執行と大雨被害ってどう関係するんですか?」
「何言ってんだろうこの人は」
「天気によって、死刑執行をずらす??何を言ってる??」
「『本日はお日柄もよく、雲ひとつない絶好の死刑日和ですね。』って感じで執行しろってこと?」
と疑問の声が相次いでいた。中には「メディアの都合で言っている」「大雨どうこうじゃなく、テレビ局の都合の話でしょ」と、あくまで宮根さんの意見はマスコミ側の都合に過ぎないとの意見もみられる。
時事問題などを解説するYouTuberのKAZUYAさんも、ツイッターで
「麻原の死刑執行がなぜこのタイミングなのかって言ってる人。じゃあ、いつならいいんだ?」と訴えていた。


テレビ局でアナウンサーの職しか経験していないのですから、宮根誠司が世間知らずなのは仕方がないとしても、己の無知をさらけ出してまで何を言いたいのか、と思ってしまいます
同じような批判に、「(大雨なのだから)安倍首相は地方遊説などせず、首相官邸で待機すべきだ」とか、「被災地へ駆けつけるべきだ」といった類の意見があります
災害対策のために担当大臣がいるのですから、首相が官邸に缶詰めになっている必要はありませんし、被災地へ駆けつけてもできることは限られます。行政組織というものを理解していないのは、宮根誠司と同じでしょう
死刑執行は安倍首相の所管ではなく、法務大臣が決定する事務です
死刑の執行のためにはさまざまな準備が必要であり、執行を担う拘置所保安課の警備隊(武道有段者で構成され、被収容者が暴れたりした際に実力行使で制圧する係)の人選や、指定休を振り替えて執行日の人員を確保する配置上の用意も必要です
死刑場は建物の地下に設置されている場合が多く、普段は閉鎖していますので屋内はカビだらけだったりします。事前に清掃しなければならず、機械類の点検も欠かせません
死刑囚の体重と同じ重さの砂袋を用意し、ロープの具合や床がスイッチとともに開くか確認します
テレビドラマや映画で、刑務所の工場担当や舎房勤務の刑務官がある日突然、死刑執行を命じられ苦悩する、なんてストーリーがありますが、嘘です(刑務所で死刑執行はしていません)
以上のように準備を重ねた上で執行するのですから、その日や前日の天候次第で延期などできるものではない、と社会人経験のある者なら察しが付くはずですが…

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