「美しい顔」芥川賞ならず 盗作議論は続く
第159回芥川賞と直木賞の選考会があり、芥川賞に高橋弘希の「送り火」(文学界5月号)、直木賞に島本理生さん(35)の「ファーストラヴ」(文芸春秋刊)が選ばれました
高橋弘希は芥川賞候補になること4度目にしての受賞です。島本理生は芥川賞候補になること4回、直木賞候補になるのは2回目です。今回は取りべき人が取った、と言えるのかもしれません
さて、巷を賑わせた北条裕子の「美しい顔」ですが、芥川賞選考の第一回投票で積極的に推す選考委員がおらず、その時点で落選したと報じられています。世間では話題になったものの、作品としての評価は高くなかったと見られます
芥川賞選考委員の島田雅彦が取材に応じ、「美しい顔」は盗作ではないと語っていますので、紹介します
複数のノンフィクション作品との類似表現が問題となっていた、北条裕子さんの「美しい顔」(群像6月号)は芥川賞の受賞を逃した。選考を終えて、委員の島田雅彦さんは「事実には著作権はありませんので、誰もが書く自由はある」とした上で、「事実を吟味し、自分のなかで換骨奪胎してフィクションの中に昇華する努力が足りなかった」と受賞に至らなかった理由を述べた。
島田さんは「美しい顔」について、「場外乱闘というか、盗用疑惑ということでネットでもかなりの議論になっている」と前置き。「いわゆる盗用疑惑ということに関しては、法的な問題には至らないケースだと考えています。それはわりと(選考委員)共通の認識でした」と語った。
ただ、今回の問題は「震災を書く作家なら誰もが意識すること」とも。「震災そのものを扱う小説はなかなか書きにくいだろうという認識が実作者にはある。だから、それぞれに独自の装置を工夫して震災にふれる、震災体験を間接的に書くということをやってきているわけです。あまりにも生々しい被災者の声に基づいた小説は難しい」
文芸誌掲載時に参考文献を掲載しなかったことについては、「ノンフィクションや論文とは違い、小説では慣例上してこなかった。結局は個々の作家の良心に委ねられる。今回はすごく教訓深い経験だったと思います」と話した。
「美しい顔」は、津波から逃れ、避難所で暮らす女子高校生が主人公。行方不明の母を捜し、その死を受け止めるまでを描く。少女は自身の美しさに自覚的で、マスコミの求めに応じて希望や涙を見せ、高揚感と自己嫌悪に襲われる。見ることの罪深さ、見られることの苦しさに正対する。
(朝日新聞の記事から引用)
芥川賞を逃したとはいえ、講談社は早い時期に単行本として出版を企てるのでしょう
それまでに北条裕子が盗用を疑われた各所の文章を、どこまで修正できるのか、が問題になります
震災を取り上げた小説で、なおかつ世間の注目度も高いとなれば、どこかのテレビ局がドラマ化に踏み切るのかもしれません。旬の女優を起用して…
ここに至れば文学作品としての価値とは関係なく、ビジネスの話です
売れそうなコンテンツには人が群がり、利益の奪い合いになるのは当然です
今回の芥川賞受賞作「送り火」より、「美しい顔」の方がより多くの収益を生むのかもしれません
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