新幹線3人殺傷事件を考える 両親との葛藤・対立
東海道新幹線の車内で刃物を振り回し、3人を殺傷した事件で逮捕された小島一朗容疑者についての続報です
小島容疑者が実父母と不仲になり、祖母と養子縁組するという複雑な生い立ちの背景には、発達障害を抱えた息子の育て方に行き詰まり、結局は放り出してしまった…との経緯があるとTBSが伝えています
新幹線殺傷、逮捕の男「人を殺して刑務所に行く」
(前略)
「養子にしたんですけど、あれが結局全ての歯車を狂わせたのかなと。なんで自分の子を育てられないんだって。最後は、おばあちゃんに渡しましたから。関係ありませんって。育児放棄を受けたような形、ネグレクトですね」(小島容疑者の伯父)
小島容疑者が小さい頃描いた絵です。カラフルに色付けされ、たくさんの生き物も登場。子どもらしく無邪気な絵に見えます。父と子の写真、仲が良さそうに見えます。
しかし父は、甘え上手だった姉とは対照的に小島容疑者を厳しく育てたと言います。
「(小島容疑者は)自分を表現するのが下手で、一度挫折すると立ち直れないような子だった」(小島容疑者の父親)
感情表現がうまくできず自分の意見をなかなか曲げない。そんな小島容疑者を、時に叩いたり、罰として食事を与えなかったりしたこともあったと言います。
小島容疑者の同級生の母親は・・・
「お父さんも小学校の運動会に一切出ていなかった。(お母さんに)『ご主人は仕事ですか』と聞いたら、家で寝てると。幼稚園の送り迎えもおばあちゃん。もっと手をかけてあげればいいのになと」(小島容疑者の同級生の母)
中学で不登校になり、関係はさらに冷え込みます。
「話し合っても無理だなと。こうでしょと言っても、違うと。さじを投げたというか」(小島容疑者の父親)
そして中学3年の夏休み、亀裂は決定的に。
「9月から新学期が始まるので、本人から水筒が欲しいということで、母親が渡した。それが新品ではないということで、僕だけがなんで中古なんだと」(小島容疑者の父親)
姉のは新品で、なぜ自分のは中古品なのか。小島容疑者は包丁と金づちを投げつけました。そして、この後、母親は、小島容疑者を自分が勤める自立支援施設で生活させることにしたのです。
事件後、母親は・・・
「一郎は小さい頃から発達障害があり、大変育てにくい子でしたが、私なりに愛情をかけて育ててきました」
小島容疑者は、中学生の頃に父に買ってもらった甚平を、ボロボロになるまで着ていました。父は、最近になってそれを知ったと言います。先週、両親と祖母は、小田原警察署へ。面会室のドアを開けた小島容疑者は、3人をちらりと見ると無言でドアを閉め、面会を拒否しました。
「一朗にどうしてこういうことを起こしたのか、どんな寂しさがあったのか、『なんで帰ってこられなかったの』って聞きたかった。(小島容疑者は)会わないって。気づつない(心苦しい)」(小島容疑者の祖母)
下着などの差し入れも、一切受け取りませんでした。
(以下、略)
省略した部分では実父が2年前の一朗容疑者との電話での会話を振り返り、「『じゃあ、おまえどうしたいんだ』と聞きたかったけど、彼は終始無言でした」と回顧する発言を取り上げています
過去にも実父は息子に対し、「どうしたいのか?」と問い続けたのでしょう。しかし、自身の思いを言語化できない一朗容疑者は沈黙するしかなかったと推測されます
息子の気持ち、思いを引き出そうとする実父の態度は理解できますが、言葉でのやり取りを苦手とする一朗容疑者にとっては、拒絶しているように感じたのでしょう
警察署に差し入れを持参してやってきた父母を見て、一朗容疑者は「事件を起こしてから差し入れを持ってきても…」と思ったはずです
彼の求める愛情は要求して与えられるものではなく、要求しなくても与えられるものだ…との認識であり、それ以外ではないのかもしれません
前段の省略部分では、潮干狩りに連れていってもらった一朗容疑者にエピソードが紹
介されています。要求せずとも与えられる愛情の形がそこにあります
実父母との心の交流がかなわず、孤独なまま放り出された一朗容疑者に同情はしますが、事件の責任は別です
ちなみに一朗容疑者は殺傷した3人についてはまったく興味も関心もなく、その死を悼む気持ちもなく、反省も湧かないと推測されます。周囲の誰かから、「反省しろ」と促されれば謝罪を口にするのかもしれませんが、実感はないと思われます
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