新幹線3人殺傷事件を考える 小島一朗容疑者とは

秋葉原での通り魔殺人事件から10年が経ち、新聞などでは事件の被害者や遺族が取材に応じ、「事件を風化させてはいけない」との思いを述べたり、「なぜあんな事件を起こしたのか、加藤死刑囚に問いたい」などの思いを表明しています
実は秋葉原の事件から10年という節目なので、そちらをブログで取り上げるつもりでした。しかし、のぞみ車内での無差別殺人が大きく報じられていますので、この事件の方に目を向けます
昨日、東海道新幹線ののぞみ車内で若い男が鉈のような刃物を振り回し、乗客3人が殺傷される事件がありました。逮捕された小島一朗容疑者(22)が、秋葉原通り魔事件から10年目という節目を意識して犯行に及んだとは思えませんが、見ず知らずの人を殺すという狂気じみた所業(しかし、本人に精神異常はなく、極めて正常な状態で犯行に及んだのでしょう)に唖然とし、怒りがこみ上げてきます
「自殺する」が口癖だった小島容疑者ですから、他人を巻き添えにすることなく自死する機会はあったはずです。しかし、「自殺する」と口にする人間が往々にして自死せず、周囲を巻き込むトラブルメーカーと化す場合があるように、小島容疑者も無関係の人たちを巻き込む形で事件を起こしました


逮捕された小島容疑者の人物像が、徐々に明らかになってきました。
「言葉が見当たらないですけど、申し訳なかった」(小島容疑者の実の父親)被害者への謝罪の言葉を述べる男性。逮捕された小島一朗容疑者の実の父親です。
「(小島容疑者が14歳の時)しつけに関しては、何も私はしなくなりました」(小島容疑者の実の父親)
両親と折り合いが悪く、祖母の養子になったという小島容疑者。中学生のときに不登校となり、その後、自立支援施設で6年以上生活したといいます。
「うちにいたころは非常に真面目で、何か問題をおこすとか一切なかった」(自立支援施設代表)
親族などによりますと、小島容疑者は3年前、高校卒業後に就職しましたが、1年足らずで退職したということです。この場所は、小島容疑者が去年まで使用していた部屋。
「人生においてやり残したこと」として、「冬の雪山での自殺」などと自殺願望を示すメモが残されていました。そして・・・。
「こんなところでごそごそしとるより、死んだ方がいいってね」(小島容疑者の祖母)
去年12月、祖母の家を出ていったというのです。
「仕事で挫折したもんだから、自信がなくなったんだろうな」(小島容疑者の祖母)
警察は、犯行のいきさつなどの解明を急ぐ方針です。
(TBSの配信記事から引用)


東海道新幹線で乗客の男女3人が殺傷された事件で、殺人未遂容疑で逮捕された自称無職小島一朗容疑者(22)(愛知県岡崎市蓑川町)と同居する伯父(57)が10日、取材に応じた。
伯父によると、小島容疑者は「俺なんて価値のない人間だ。自殺したい」と度々口にし、半年前に、「旅に出る。自由に生きたい」と言って自転車で家を出ていたという。
伯父の説明では、小島容疑者は愛知県一宮市出身。定時制高校を卒業後、職業訓練校を経て埼玉県内で就職したが、人間関係の問題を訴えて約1年後に退職。実家の両親とも折り合いが悪かったため、2016年10月頃から伯父方で暮らしていた。その後、何度か家出をし、長野県内で保護されたこともあったという。
半年前に伯父方を出た際には、同居の祖母が心配し、自分の口座のキャッシュカードを持たせたという。その後、何度か携帯電話で連絡がとれたが、小島容疑者に居場所を尋ねても、「捜しに来るから嫌だ」と答えなかったという。
(読売新聞の記事から引用)


ちなみに秋葉原通り魔殺人事件の加藤智大死刑囚は、これまでに4冊もの手記を出版しています。しかし、事件の被害者や遺族は4冊の手記を読んでも、なぜ加藤死刑囚が通り魔事件を起こすに至ったのか、納得できないのでしょう
加藤死刑囚は手記で自分の想いを表明した気になっていても、それが他者にはまったく伝わらないがゆえです
言い換えれば、加藤死刑囚の手記には大きな欠落があり、事件を起こすに至った心情や葛藤、実母への怨恨などが抜け落ちているからだと推測されます
それは自分の本音を隠し、あくまでも表面的な言い繕いに終始しているから…と推測できるのですが、加藤死刑囚は頑として認めないのでしょう
今回の事件を起こした小島一朗容疑者の場合はどうなのでしょうか?
成人男性の起こした事件で両親を批判し、攻撃するのは大きな間違いではあるものの、親の子育てに何かしらの問題があったのは確かですし、小島容疑者自身何かしらの発達障害を抱えている可能性も考えられます
なので今回の事件は無差別殺人の体裁ながら、「親に対する当てつけ」の意味もあるのではないか、と思われます
小島容疑者は頑なに否定し、「自殺するつもりだった」と言い張るのでしょうが

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