広島県警8500万盗難事件 返還請求訴訟で警察の責任なし

広島県警が昨年、特殊詐欺の容疑で逮捕した男性から証拠品として押収した現金約8500万円が、保管先である広島中央署の金庫から紛失していた事件の続報です
不特定多数に「あなたに財産を贈与します」との詐欺メールを送り付けていた中山和明被告が、広島県警を相手取り、現金8572万円と訴訟費用を上乗せして損害賠償を求める訴えを起こしていたのですが、広島地裁は請求を棄却する判決を言い渡したと報じられています
証拠品の押収は警察権による強制処分であるから、証拠品返還の義務を警察は負わない、との判断です


広島中央署の金庫に保管されていた特殊詐欺事件の証拠品の現金8572万円が盗まれてなくなったため、被害者への弁償ができなくなったとして、詐欺事件の被告の男が広島県に約9400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、広島地裁(小西洋裁判長)は24日、請求を棄却した。
提訴したのは、生前贈与をかたる虚偽のメールを送って手数料名目で現金を詐取したとして、詐欺罪で起訴され公判中の中山和明被告(35)。
訴状によると、県警が昨年2月に被告の自宅や関係先から現金を押収した後、保管先の広島中央署で盗難事件が発生。被告側は警察の不注意で現金が盗まれ、返還を受ける権利を侵害されたと主張して現金の全額に弁護士費用を加えた額を請求していた。
小西裁判長は、捜査機関の押収は強制的な処分で返還の義務はないとした上で、今後の捜査で現金が見つかる可能性があり、現時点では返還の請求権が侵害されていないと判断した。
広島中央署での現金盗難事件は、昨年5月に発覚。警察は内部犯行の可能性もあるとみて捜査を続けているが、難航している。
(産経新聞の記事から引用)


将来的に現金が見つかれば返還もあり得るので、現時点で請求権が侵害されていないとの判断はどうなのでしょうか?
確かに警察が証拠として押収した物品でも、大麻や覚醒剤、拳銃などを返還することはなく、押収品の放棄に応じる旨の書類に署名させるだけです
現金の場合どうなるのか、ケースバイケースなのでしょう
中山被告にすれば、押収された現金を取り戻し、詐欺被害者へ返金することで被害届を取り下げてもらい、刑罰を少しでも軽くしたいとの狙いがあったと思われます
この金が特殊詐欺の被害者から巻き上げたものであれば、被害者たちから返還の請求があるわけで、警察はどう対処するのでしょうか?
昨年の報道では、盗難事件に関して事情聴取を受けた広島中央署の警察官が自殺したとも伝えられているのですが、広島県警は何も明らかにしていません。自殺者が出たのかどうかも隠しており、とても公益に奉仕する機関とは思えない対応です
いつまでも「捜査中」で逃げられるはずもないのであり、広島県警として態度を明らかにし、広島中央署の証拠品管理に関わった者を処分する必要があります

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