中野劇団員殺害事件 求刑通り無期懲役判決

2015年夏、東京都中野区のマンションで劇団員の加賀谷理沙さん=当時(25)を殺害したとして、殺人や強制わいせつ致死などの罪に問われた無職、戸倉高広被告に対し、東京地方裁判所は求刑通り無期懲役を言い渡しています
任介辰哉裁判長は「通りかかっただけの被害者に目をつけた通り魔的犯行」と指摘。
「被害者は役者になる夢や希望を理不尽な形で絶たれ、無念は察するに余りある」と述べており、戸倉被告に対する裁判官や裁判員の心証が著しく悪かったことを物語っています
戸倉被告のちぐはぐな行動から、何らかの精神的な病理による影響がうかがえるのであり、通常ならば検察の無期懲役求刑から割り引かれて有期刑が言い渡されるものと予想したのですが、外れました


東京都中野区のマンションで2015年8月、劇団員の加賀谷理沙さん(当時25歳)が殺害された事件で、殺人などの罪に問われた戸倉高広被告(39)に対し東京地裁(任介辰哉裁判長)の裁判員裁判は7日、求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。
戸倉被告は15年8月25日午前1時ごろ、わいせつな行為をしようと考えて加賀谷さんの部屋に侵入。加賀谷さんの口を塞いで床に押し倒すなどの暴行を加え、扇風機のコードで首を絞めて殺害したとして起訴されていた。
検察側は論告で、「面識のない若い女性の家に侵入した通り魔的犯行で、極めて悪質」と指摘。弁護側は、被告には精神障害の影響で幻聴があり事件時も「倒せ」との声を聞いて殺害に及んだとし、わいせつ目的はなかったと主張していた。
(毎日新聞の記事から引用)


初公判でも戸倉高広被告はわいせつ目的ではなかったと主張(ラインのアドレスを交換したかったので加賀谷さんの後をつけ、声をかけた…との言い分)しており、どうにも不可解です
裁判に関する報道では触れられていないのですが、殺害された加賀谷さんの部屋のドアの内側には、「部屋を片付けろ、幻滅した」という言葉や、性的暴行を加えたかったという内容の言葉がペンで殴り書きされていた、との情報があります
第三者が書いたものではなく、明らかに戸倉被告が書き残したのでしょう
捜査をかく乱するためだったのか、他に何か意図があったのか、不明です
犯行後は加賀谷さんの衣服を脱がせて全裸にし、衣服や布団カバーなど十数点を持ち出しています。これなどは衣服に対するフェティシズムを彷彿押させる行動であり、いわゆる戦利品として(犯行時の興奮を後日、繰り返し味わうために被害者の匂いがするもの)を持ち去ったと推測できます。事件の後、戸倉被告は借りていたマンションを引き払い、荷物をまとめて福島へ引っ越していますので、加賀谷さん宅から盗んだ衣類も福島へ持ち帰ったのではないでしょうか?
引っ越しの際にゴミとして処分した…と公判で戸倉被告は語っていますが、本当にそうであったかどうか確認のしようもありません
公判での被告が発言がすべて真実であるとは限りません
戸倉被告が「わいせつ目的ではなかった」と主張している以上、己の内に抱えた欲望については口を閉ざしていると推測されます
事件の意味を読み解くには、戸倉被告がどのような欲望を抱えていたのかが重要なのですが、意図して語ろうとしないのであれば、上記のようなフェティシズムなど幾つか憶測を述べるしかありません
裁判を傍聴した方の記載したブログをいくつか読み比べてみましたが、「質問方式を変えるなどもう少し切り込んで事実確認をしないのですかね」とブログ主の発言があり、その通りだと感じます
裁判員裁判は公判前に争点整理を済ませる方式なので、争いのない事実については公判でも言及せず、確認もしないままスルーされてしまうため、傍聴している方でも疑問を感じるのでしょう
戸倉被告が判決を不服として控訴するかどうかは不明です。公判の最終陳述では「二度と過ちをおかさず、更生すること。罪と向き合い自分と向き合い自分の心を強くし事件被害者に謝り続ける。刑に服します。反省して参りたいと思います」と発言していますが

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