門真4人殺傷事件を考える2 死刑を求刑
2016年秋、大阪府門真市の民家に押し入り、父親を殺害した上に長女や長男にも重軽傷を負わせたとして逮捕された小林裕真被告の裁判で、大阪地検は死刑を求刑したと報じられています
小林被告と被害者である川上幸伸さん一家に接点はなく、怨恨等の背景もありません面識のない家へ押し入り、家族を殺害しようとした残忍な犯行です
弁護側は小林被告に統合失調症の既往歴があったことを指摘した上で、「川上さんは小林被告とは別の3人の男によって殺害された。負傷した3人のこどもとは体がぶつかっただけで、傷害は加えていない。事件当時は心神喪失状態にあったので全面無罪」と、小林被告の主張しのままの弁論を展開していました
大阪府門真市で2016年10月、自宅で就寝中の川上幸伸さん(当時43歳)を刺殺し、子ども3人に重軽傷を負わせたとして、殺人や殺人未遂などの罪に問われた無職、小林裕真被告(25)の論告求刑公判が15日、大阪地裁であり、検察側は「一家皆殺し目的の計画的な犯行」として死刑を求刑した。午後に弁護側の最終弁論があり、無罪を主張して結審する見通し。判決は4月13日の予定。
小林被告は公判で、「脳波で指示されて短刀などを準備した。川上さんの殺害は3人の男が行った」などと供述しており、責任能力の有無が争点。
検察側は論告で、小林被告が事前にインターネットで侵入方法などを検索し、凶器の短刀を準備していた計画性を指摘。被告の供述について、「罪を免れるためにうそをついており、善悪を判断し、行動を制御する完全な責任能力があった」と主張した。
一方、弁護側は小林被告が事件直前に統合失調症が悪化し、心神喪失状態で無罪だと主張している。
これまでの公判には川上さんの3人の子どもが証人として出廷し、いずれも極刑を求めていた。
起訴状によると、小林被告は16年10月19日未明、就寝中だった川上さん一家4人を襲撃。川上さんを殺害し、長女(20)、次女(19)、長男(17)の3人に重軽傷を負わせたとされる。
(毎日新聞の記事から引用)
弁護人の主張を見る限り、小林被告の言い分をそのまま踏襲している気がします。被告人に寄りそうのが弁護人の役割であり、被告の言い分がどれだけ不合理なものであっても、その線で弁護活動を行う…という方針なのでしょう
しかし、小林被告が何を主張しようと、弁護人がどう弁護しようと、裁判員の心を動かすのは無理でしょう。せいぜい、統合失調症の影響下にあったと認めて罪一等を減じ、無期懲役を言い渡すくらいではないか、と推測します
小林被告の母親が綴ったとされるブログの一部が、アーカイブに残っていたと転載しているWebサイトがありましたので、一部を引用します
小林被告は母子家庭で育ち、母親が苦労して高校へ進学させたものの不登校となり、その後統合失調症と診断され入院した経緯が明かされています
【門真一家4人殺傷】小林裕真容疑者(24)の母親のブログを特定!
長男が登校拒否になってから。
親からすれば、やはり高校へは行ってもらいたいものです。と、いうよりも…。
中学校から高校、そして大学やら専門校へと進むべき物だと私自身当たり前のように思っていたのです。
今から思えば、それも本人の人生だと割り切ってもっと長男に寄り添って一緒に考えていけば事態は良くなったのかもと、過去への要らぬ妄想で日々未だに辛くなるのですが…。
しかしながら。
せめて高校は行って欲しい、そして卒業して欲しいと思う親の気持ちも事実。しかし一歩も外へ出たがらない息子…。
まだ元気だった私の父も心配して様子を見にきた事もあったのですが…。
なんせ昭和の「おやじ」です。学校に行かないのは怠けぐせがついているからだと、どんな事があっても勉強出来る環境があることは幸せな事なんだと、怒鳴り散らし理由を言わず頑なに話さない長男を、「それなら出ていけ!!今すぐ働け!!」と、玄関まで引きずり出し…。
見るに耐えなかった私は泣きながら父に帰ってもらったのです。
それも今から思うと父の方法が長男を立ち直らせるためには刺激として良かったのか…止めて帰ってもらった事の方が正しかったのか…わかりません。
(中略)
下唇を切れんばかりに噛み、大粒の涙をポタポタ落とし足を踏ん張り、強く握りしめた
拳を震わせて…何も言わない。
「一生懸命勉強して入れた高校でしょ?」
「ここへ行きたい!って言ってたじゃない!?」
「夢もあるんでしょ?」
選択授業が出来る学校で、歴史が好きな長男はそれを夢見て大学へ進みたい夢を持っていたのです。
その夢を叶えてあげたい、その思いで母子家庭ながら家庭教師をつけ受験に備えたのですから。
学校の校門をくぐることを訴えている私を払いのけ長男はポタポタ溢れる涙を拭いもせず、きびすを返し車と反対側へ歩いて…さらに走って逃げて行ったのです…。
(後略)
母親が息子である小林被告を懸命に育てたことが伝わってきます。しかし、重大な殺人事件を起こした後では、母親の努力も無に帰したのであり、小林被告がたとえ死刑を免れ無期懲役になったとしても何の解決にもならないでしょう
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