桜宮高校自殺 元バスケ部顧問教師に4300万円賠償命令

公務員が非違行為によって損害を発生させた場合、雇用主である地方自治体や国が損害賠償する義務を負います。もちろん、非違行為を働いた公務員にお咎めがないわけではなく、懲戒処分とともに賠償した金額の何割かを地方自治体や国が請求して支払うよう求める…と我が国の法では規定されています
しかし、学校の教師が体罰で生徒に被害を与えたとして、学校を運営する自治体が教師個人に損害賠償の一部を支払うよう求める求償権を行使する例は、あまり多いとは言えません
生徒間のいじめによって自殺に追い込まれたケースでは、地方自治体が被害者遺族に賠償金を支払うものの、担任教師が「いじめに気がつかなかった」という場合もあり、担任教師の過失を理由に損害賠償の請求をするのかどうか判断が分かれます
大阪市立桜宮高校のバスケットボール部に所属する生徒が自殺した事件では、顧問だった教師による体罰が繰り返された事実があり、体罰が生徒を追い詰めたと認定されています。そのため、大阪市は元教師小村基に対し、市が支払った賠償額8700万円の半分を負担するよう求める裁判を起こしていました


大阪市立桜宮高バスケットボール部の主将だった男子生徒=当時(17)=が平成24年、体罰を受けて自殺した問題をめぐり、市が遺族に支払った損害賠償金の半額を負担するよう元顧問の男性(52)に求めた訴訟の判決で、大阪地裁は16日、請求通り約4300万円の支払いを命じた。
長谷部幸弥(さちや)裁判長は判決理由で、元顧問が今年1月の初弁論に出廷せず、反論する書面の提出などもしなかったため、市側の主張に対して争う意思がないとみなし、請求する損害額も妥当と判断した。
判決によると、生徒は元顧問から暴力や暴言を繰り返され、24年12月に自宅で自殺。元顧問は暴行と傷害の罪に問われ、懲役1年、執行猶予3年の判決が25年10月に確定した。
遺族が同年12月、市に約1億7千万円の損害賠償を求めて提訴した訴訟では東京地裁が28年2月の判決で元顧問の責任を認め、市に約7500万円の支払いを命じ、双方が控訴せず確定。市は遅延損害金を含めて遺族に支払った約8700万円の半額を負担するよう元顧問に求めて昨年11月に提訴していた。
市教育委員会は「市の主張が認められた」とコメントした。
(産経新聞の記事から引用)


記事からだけでは詳細がつかめないものの、大阪市は元教師小村基に4300万円を支払うよう督促していたものの、支払いに応じなかったため裁判に持ち込んだのでしょう
民事訴訟では応訴しないと、提訴した側の請求が全面的に認められるため、上記の判決が下されました
しかし、裁判の場に出廷もせず、訴訟代理人である弁護士も立てなかった元教師小村基は、判決に従って4300万円を支払う気はないものと推測されます
元教師小村基の言い分は不明ながら、彼自信は刑事裁判で反省の弁を述べてはいたものの、バスケットボール部顧問としての指導とその実績には絶対の自信を持っており、4300万円の支払い請求は不服なのでしょう
「なんでオレが払わなあかんねん」と思いつつ、それを口にするのは世間一般を敵に回すおそれがあるため沈黙している、といった状況なのかもしれません
以上は、自分の勝手な解釈です
元教師として1人の生徒の人生を踏みにじったとの自覚があるなら、支払い請求を無視するという態度はあり得ないではないでしょうか?
裁判の判決を無視して支払わないのであれば、次は強制執行になります

(関連記事)
桜宮高校体罰自殺で大阪市に賠償命じる判決
大阪の中学 桜宮高校の元体罰教諭をコーチに招く
体罰は必要だとする産経新聞の記事
桜宮高校体罰教師に執行猶予判決
桜宮高校の体罰教師起訴 平手打ちのビデオ
桜宮高校 体罰の元教師がテレビで謝罪
桜宮高校 自殺生徒が顧問に書いた手紙
桜宮高校 生徒への嫌がらせに対策なし
桜宮高校 部活再開を要求する生徒、保護者
桜宮高校 橋本大阪市長が小倉智昭を圧倒
桜宮高校 生徒の言い分を考える
桜宮高校 生徒がツイッターで飲酒喫煙自慢し炎上騒動
桜宮高校 「受験生の夢を奪うな」との主張
桜宮高校 体罰教師は土下座していた
桜宮高校 入試を実施すべきか否か
桜宮高校 入試中止を求める橋下市長
桜宮高校 体罰を隠蔽する校長
桜宮高校 体罰で生徒が自殺
桜宮高校 体罰教師を咎めなかった事情
延岡学園バスケットボール部 審判を殴り怪我負わせる
法政大高校での体罰事件を考える1 教師と生徒
法政大高校での体罰事件を考える2 教師の怒り
法政大高校での体罰事件を考える3 懲戒免職
大津の中学生自殺 橋下市長「いじめをなくすのが行政の仕事」
大津の中学生自殺 いじめを放置した学校の言い分
大津の中学生自殺 教育委「いじめた側にも人権がある」
大津市の中学生自殺 いじめ主犯の氏名が明らかに
大津の中学生自殺 校長は「自殺の練習」を否定
大津の中学生自殺 加害者の親はPTA会長
大津の中学生自殺 学校側はいじめを把握
いじめ4年後に自殺、学校側に賠償命令
中学体罰教師 上野宝博を懲戒免職
大分の女子高生を自殺に追い込んだ既婚教師 賠償請求へ


自治体が原告となる訴訟の手引き 福祉教育債権編
日本加除出版
東京弁護士会自治体等法務研究部福祉教育債権班

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 自治体が原告となる訴訟の手引き 福祉教育債権編 の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


この記事へのトラックバック