中国がアニメでポーランドと業務提携
中国とポーランドのアニメーション制作会社が戦略的業務提携をした、と報道されています。わざわざ「戦略的」なんて表現を使うのもどうかと思うのですが、そこから何か新しいものが生まれるのでしょうか?
ポーランドで制作されたアニメは小熊を主人公にした幼児向けの作品(稚拙というのではなく、絵本のページを開くような質の高い作品)しか知らないので、少し驚きました
以下、AFPの記事を引用します
報道は昨年12月のものです
「中国・ポーランド国際アニメ・漫画企業フォーラム」が4日、中国南京で開催された。期間中には中国とポーランドのアニメ制作会社による戦略的業務提携の調印式も行なわれ、今後は共に手を携えて国際アニメ市場へ展開していくことになる。
ポーランドのアニメ制作会社、アニムーン(Animoon)のグジェゴルズ・ワクワヴェクCEOは、ポーランド文化を代表する動画や今年のアヌシー国際アニメーション映画祭でアヌシー賞にノミネートされた連続TVアニメ「HugMe」を紹介。「『HugMe』の第2期は中国のアニメ制作会社との協力で制作を進めていく」と話した。
今回、アニムーンと業務提携を結んだ南京博鐸動漫画王震CEOは、「中国オリジナルアニメの主力として、2006年から当社は国際市場に照準をあわせてきた。将来的にはアニムーンとの共同で『我是哪吒2(I am NeZha 2)』を制作し、中国、ポーランドの文化交流を促進していきたい」と述べた。
今回のフォーラムの主旨は、「走出去(中国における積極的な海外進出)」の提唱。江蘇省(Jiangsu)アニメ・ゲーム産業の対外交流や協力を促進し、海外の優秀なアニメ制作会社や良質な作品、配給会社などを引き入れることにある。中国・ポーランド両国のアニメ制作会社の上質な産業と交流プラットフォームを連結させることで両国の連携をさらに深め、外国資本の受け入れと海外進出を通し、両国が共に発展するビジネスモデルを実現させることにある。
2017年のアヌシー国際アニメーション映画祭では、湯浅政明監督の「夜明け告げるルーのうた」が長編コンペティション部門の最高賞(グランプリ)に当たるクリスタル賞を受賞しています。そして片渕須直監督の「この世界の片隅に」が長編審査員賞を受賞しており、日本の作品が映画祭を席巻したとの報道が記憶に新しいところです
もちろん、「だから日本のアニメは優秀だ」などと自画自賛するのが当ブログの目的ではありません
こうした映画祭は作品の見本市という意味合いもありますので、もう少し海外の作品も丁寧に紹介してもらいたいのですが、日本の報道は湯浅監督や片渕監督中心になってしまいます(やむを得ないのでしょう)
さて、話を戻して記事にある中国の南京博鐸動漫画は、ポーランドと合作で「我是哪吒2(I am NeZha 2)」をやりたい、と語っています。続編があるというなら、その前編があるのでしょう。探して見ました
I Am Nezha (我是哪吒, 2016) animation teaser trailer
竜と闘う武侠物、というかファンタジー作品のようです
中国国内ではウケるのでしょうが、これが劇場版として世界各国に売れるのかは大いに疑問です
最近の中国アニメの特徴として、CGを駆使し画面をグルグル動かす手法が目につきます。作り手の側は、「どうだ、このカメラワーク。すげえだろ」と自慢したいのでしょうが、見る側からすれば迷惑でしかありません
ブログを書いていてポーランドのアニメの話題として思い出したのが、「ゴッホ~最後の手紙」です
ポーランドとイギリスの合作となったアニメは、ゴッホの油絵風の絵を動かすという驚愕すべき手法で描かれています。こんな力業をやってのけるのですから、ポーランドのアニメーションの水準は高いのでしょう(制作にはポーランド以外のアーティストに加わっています。日本からも)
1秒のアニメーションにつき12枚の油絵を用い、ゴッホのタッチを忠実に再現した6万枚もの油絵で動画を制作したという、狂気すら感じさせる作品です
映画『ゴッホ ~最期の手紙~』日本版予告編
しかし、中国のアニメ関係者はこの手法に関心はないのでしょう。もっと安上がりで短期間で仕上げて、儲かる作品をやるべきだと言うのでは?
それが彼らのビジネスモデルですから
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