文化強国目指す中国 実態はコンテンツの墓場

少し古くなった情報ですが、東洋経済オンラインの「中国は文化コンテンツの墓場だ」とする記事を紹介します
先の中国共産党総書記だった胡錦涛は、「漫画、本、アニメ、音楽など、娯楽や芸術を提供する産業を育成して文化強国を目指す」と宣言していました
しかし、実態は真逆で検閲を強化し、海外の文化コンテンツの輸入を制限する一方で海賊版の横行に対する有効な手立てもない…状況です
日本からは角川書店が中国に進出し、漫画雑誌を刊行したものの収益には結びついていません
つまり、中国は人口13億人を抱える巨大な市場などではなく、不毛の墓場と表現した方がよいのでしょう
つまりそこから新たな文化、ムーブメントが発生する可能性は限りなく低く、コンテンツを浪費するだけで終わってしまうことを意味します
以下、記事の一部を紹介します。記事そのものは2013年1月に掲載されたものだと踏まえた上で読んでください。東洋経済のアドレスから全文を確認できます


中国はコンテンツの墓場、日本の漫画も苦戦中
(前略)
中国では『ONE PIECE』は『海賊王』と訳され、これを知らない学生はいない。ただ、これは海賊版の翻訳タイトルで、正規版は『航海王』。しかし、『海賊王』のほうが一般的で、一説によると、これまで海賊版・正規版合わせて日本より売れているという。
そこで欧米で成功したこともあり、日本の出版大手2社、講談社と角川グループは、中国市場で漫画を本格的に売ろうと考えた。
しかし、これには乗り越えなければならない大きな壁があった。中国は、経済は開放しても文化は開放していないからだ。
中国は、いまだに文化鎖国国家である。北京政府は、外国文化の輸入を厳しく規制しており、たとえば映画の上映枠は、つい最近まで年間20本に限られていた。このうちアメリカ映画は14本までとされていたが、2012年2月の習近平総書記の訪米で、今後は年間34本にまで拡大されることになった。ただ、それでも厳しい統制下にあることは変わりない。
(中略)
しかし、海賊版が横行し、パクリが日常化している国で文化産業が育つだろうか?
「正規版が受け入れられないから、海賊版ばかり横行する。海賊版ばかり見ていたら、つくり手は育たない。文化は育たない」と北京で文化コンテンツ産業にかかわっている日本企業は、JETRO(日本貿易振興機構)のバックアップを受けて、去年から中国側に働きかけている。
しかし、日中関係は冷え込み、先のことはますます不透明だ。正月早々に起こった『南方週報』の言論統制事件を見てもわかるように、この国には言論の自由、出版の自由は存在しない。そのような自由が存在しない国で、はたして文化が育つだろうか?
長年、中国とのメディア交流に関わってきた私の知人はこう言い切る。
「中国が文化発展しないのは、文化発展に必要な二つの要素である潤沢な資金・自由な表現のうち、後者を欠いているからでしょう」
いかに金持ちになろうとも、今のままでは、中国が「世界のコンテンツの墓場」であり続けることは、間違いないだろう。


省略した部分では、地上波テレビ放送から日本のアニメが締め出された話や、電子書籍の基本フォーマットが幾種類も乱立し、対応する電子ブックリーダーが数多く登場したものの、どれもが売れていない話に触れています
記事が書かれた時点以降の変化として、日本のアニメがテレビではなくインターネット有料配信によって人気を集め、多くのコンテンツを中国記企業が購入していると事実があります
その部分のみをとらえると、「中国で十分商売になっているじゃないか」と受け取る方もいるのでしょうが、実態をよくよく解明しないことには何も言えません
習近平総書記の時代になって、検閲がますます強化されているのは周知の事実であり、思想統制の名のもと言論弾圧が進む一方です
他方でハリウッドの映画産業はすっかり中国傾斜を強め、中国でウケるのを狙った企画を次々と生み出しています
最近ではディズニーが「ムーラン」の実写化を発表し、主演に中国人女優起用を決めています。当然、中国での興行収入を狙っているからであり、この映画が中国のコンテンツ産業のプラスになったりはしません。ハリウッド資本が儲けるだけです
中国メディアが「中国人がハリウッドのトップ女優になった」と大騒ぎするとしても
自前でコンテンツを立ち上げ、育て、売り込まないと、ハリウッドの下請けに成り下がるだけなのですが…

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