座間9人殺害事件を考える 快楽殺人説

自殺を志向する人たちにツイッターなどで誘いをかけ、殺害していた白石隆浩容疑者に死体愛好など異常な性癖があったったのでしょうか?
あるいは快楽殺人という、人を苦しめて弄び、命を奪う行為に性的な愉悦、快楽を見出す嗜好があったのでしょうか?
捜査が進む中で、白石容疑者がどこまで犯行の経緯や自身の心情を率直に語るのか注目されます
しかし、だからといって警察の取り調べにおいて真実を語るとは限りません
自身を異常な性癖を有する怪物であるかのように誇張して表現し、世間を驚かせてほくそ笑む人物もいないわけではないのであり…
パリ人肉殺人事件の犯人である佐川一政は遺体を食べたと自供して世間を驚愕させたのですが、それが事実であったかどうかは疑わしいとの見方もあります

佐川一政 パリ人肉食事件を考える1
島根女子大生遺棄事件を考える30 犯人家族の苦悩

さて、座間での事件について、精神科医の片田珠美が快楽殺人との見解を書いていますので、紹介します
言うまでもないのですがこれは診断した結果ではなく、メディアが報じた情報のみによる見解なので念のために


白石隆浩容疑者は罪悪感なしの「快楽殺人者」 精神科医が語る戦慄の動機とは?
これは典型的な連続殺人事件です。イギリスの作家コリン・ウィルソンは『連続殺人の心理』で、連続殺人は2つの願望の充足を求めていると指摘しています。一つは性的欲求。被害者のほとんどが若い女性だったのはそのためだと考えられます。
しかも自殺願望を持つ相手を選び、殺害するということは、罪悪感はほとんど感じていなかったのではないかと思います。死にたいという願いをかなえてあげた、人助けをしたという感覚かもしれません。
自宅に保管していた頭部は、コレクションしていたという意味が強く、スポーツ選手がメダルや賞状を自宅に飾るのと同じように、彼の中では「戦利品」という感覚だったかもしれません。
もう一つの願望は、自尊欲求の充足です。ウィルソンは連続殺人を「自尊犯罪」とも呼んでいます。相手を支配し、コントロールすることによって、自分が主人になったと感じられる。それによって自尊感情が満たされるのです。
9人を次々と殺害したという点では「快楽殺人」と見ることもできます。自分が他人を支配して主人になったという感覚は、劣等感や自分が不完全であるという「不全感」をひっくり返す、強烈な快感を伴ったはずです。一人目の殺害でそれを味わったことで、止められなくなってしまった、殺人に取りつかれたという状態だったと考えられます。
(中略)
自尊欲求が強いということは、劣等感や不全感が強い人物像が見えてきます。それには生育歴も関係してきますが、今年6月に有罪判決を受けたことが大きかったのではないかと考えられます。売春の斡旋で茨城県警に逮捕され執行猶予判決を受けた後、父親に「生きていても意味がない」と話したと報じられています。実際に飛び降り自殺を試みたという報道もありました。つまり、彼がこの判決を破滅的な喪失と受け止めた可能性は非常に高い。
おそらく彼も自殺願望があり、できるだけ多くの人を巻き込んで死んでやろうと考えたのでしょう。そういう意味では拡大自殺と見ることもできると思います。


「拡大自殺」との見方は片田珠美の著作の中にしばしば見られる概念です。自爆テロリストのような、周囲の人間を巻き込んで死んでやろうとする行動を指します
ところが今日、昨日の報道によれば白石容疑者自身は「死ぬつもりはなかった」などと供述しており、本当に自殺願望があったかさえ疑わしく見えてきます
今後も供述がブレる可能性もあり、白石容疑者の語りだけをセンセーショナルに取り上げると事件を読み誤る危険も生じます
白石容疑者が内に抱え込んでいた劣等感や不全感こそが重要なのですが、彼は決して語ろうとしないのではないか、という気がします
フランスの精神分析家ジャック・ラカンなら、語られる話よりも語られない話こそ重要なのだと考えるわけであり、白石容疑者が語らろうとしない部分にこそ、事件を読み解く鍵がある…と自分は思うのです

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