座間9人殺害事件を考える 犯罪心理学者の見解
神奈川県座間市で9人の男女の遺体が発見された事件について、3度目の言及になります
この事件がもし、遺体だけ発見されて被害者の身元も未特定であり、犯人も逮捕に至っていないのであれば警察は情報管制に乗り出し、取材に応じようとはしなかったでしょう
しかし、現状では逮捕した白石隆浩容疑者(27)の単独犯と見られており、捜査上の秘密として隠さなければならない事項はほとんどないためか、メディアに対して次々と情報を流しています
さて、こうした猟奇殺人事件が起こると新聞社は犯罪心理学系の有識者にコメントを求め、犯人の心理やら犯行の狙いなどについて語らせるのが常です
判断材料も不十分なまま、コメントを強いられる有識者にすれば迷惑な話なのでしょうが、新聞社の側からすれば紙面を埋める必要もあり、読者に一定の見解を提供しなければならないので慣例化しています
では本件に関する有識者のコメントを集めてみましょう。言うまでもないのですが、判断材料が不十分な時点でのコメントですから、当たり外れを云々する意図はありません
インターネット犯罪に詳しい神戸大大学院の森井昌克教授は「自殺願望を持つ人は、心の病を抱えていたり、社会から孤立したりするなど隙があり、だまされやすい。ツイッターなどのSNS(会員制交流サイト)上で会話をすると、一度も会ったことがない人でも簡単に信用してしまう」と指摘。「白石容疑者も簡単に最初の被害者を呼び出せたことで味をしめた可能性はある」と分析する。
筑波大の原田隆之教授(犯罪心理学)は、白石容疑者が9人の頭部を室内に保管していた点について、「自分の行為を楽しんでいるように思える。平成9年に神戸市で起きた連続児童殺傷事件との類似性を感じる」とも指摘。「もともと持っていたどす黒い欲望が、社会的孤立を深めたことで膨らんでいき、最初の殺人を犯したことで(大量殺人へと)エスカレートしたのではないか」とみる。
一方、近畿大の中川知宏講師(犯罪心理学)は「人が犯罪を起こす場合、環境や人間関係も大きく影響する。今後の捜査では、なぜ人を殺めたのかという動機や心理とともに、幼少期からの家庭環境や人間関係がどうだったのかという分析も必要だ」と話している。
「金銭を奪ったり乱暴したりする目的だとしたら、遺体の数が多い点が特異だ。騒がれたため殺害に及んだのかもしれないが、他人に感情移入せず、被害者を利用することだけを考えて殺害行為に快楽を見いだす人物の可能性もある。一方で、被害者とのやりとりには、若い世代にとって自然なコミュニケーションツールであるツイッターを使っていた。非人道性と日常性を同時に感じさせる犯罪だ」
(産経新聞の記事から引用)
碓井真史新潟青陵大学教授は、以下のように述べています
事件が発覚するのが怖くて遺体を捨てられなかったと供述しているようですが、すでに切断されているので、バッグに入れて遺棄することは難しくはないでしょう。ご遺体をそのままにして、異臭が出ていますから、それだけで発覚の危険性もありますから、供述内容は矛盾しています。
日本の犯罪の場合は、後に快楽殺人と判明したケースでも、最初の段階でそのような供述をしないこともよくあります。あるいは、かなり精神的に混乱しており、「事件発覚が怖くて捨てられなかった」が、本人の正直な気持ちである可能性もあるのでしょう。
ただ、自殺サイト知り合った女性を誘い二人になれたことが供述の通りであるなら、言葉巧みに誘ったのでしょう。多くの連続殺人犯は、能力の高い人々です。
犯罪心理学に詳しい、東京未来大学の出口教授によると、殺人にはよほどの意志、怨恨が背景にあることが圧倒的に多いが、今回の背景はそうとは思えず、人を殺すこと自体に、または遺体に興味があるのではないか。さらに身近に遺体を置くことで、殺害・損壊する時の強い快感がよみがえるという心理があるのではないかと話していた。
(NNNニュースの記事から引用)
ざっとならべてみました。が、これで何かが浮かび上がったりはしません
神戸の連続児童殺傷事件との関連は、被害者の首を切断した、という1点だけであり、何か特別な繋がり、共通点があるようには思えません
現時点で白石容疑者が少年期に深刻な虐待を受けていた、とのエピソードはなく、深刻な精神的葛藤を抱えた人物であると示す証言もないのです
ならば良心の呵責もなく、人間をゴミのように殺害し、解体し、遺棄したと見なす必要があり、先日東京拘置所で病死した愛犬家4人を相次いで殺し、遺体を焼却して金を奪った関根元死刑囚の事件に類似していると自分は感じます
もちろん、事件の外見的な特徴だけを挙げ、似ている似ていないと論じたところで何も得られるものはないのですが
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