イオン偽装米販売事件 週刊文春記事を裁判所が認める判決

イオンで販売されている弁当、おにぎりに中国産米が使われていたにもかかわらず、これを国産米と表示して販売していた問題が発覚したのは2013年10月です
記事を掲載した週刊文春を相手にイオンは名誉棄損だと裁判を起こし、その2審判決が出たと報じられています
結果として記事の中身の大部分が事実と認められ、週刊文春が広告に使用した「イオンが毒米販売」との表現についてのみ、名誉棄損を認める判決が下されています
当時、イオン系列のスーパーやコンビニ「ミニストップ」では、記事の掲載された週刊文春を売り場から撤去し、販売しない方針を明らかにしました
そうした対応も含め、イオン側の負けという結果だと自分は解釈します


米穀商社が中国産米を混ぜた米を国産米として販売していた問題をめぐり、「週刊文春」の記事で名誉を傷つけられたとして、食品販売大手「イオン」が発行元「文芸春秋」に1億6500万円の損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決が22日、東京高裁であった。
野山宏裁判長は記事本文は真実で「問題提起をする良質の言論」だとして違法性はないと判断。名誉毀損は広告の一部のみに認め、約2490万円の賠償などを命じた1審東京地裁判決を変更、認容額を110万円に大幅減額した。
週刊文春は平成25年10月17日号に「『中国猛毒米』偽装 イオンの大罪を暴く」などの見出しで記事を掲載。新聞やウェブサイトにも広告を掲載した。
野山裁判長は記事は「食品流通大手に価格決定権を握られた納入業者が中国産などの安価な原料に頼り、食の安全にリスクが生じているのではないかと問題提起するもの」と指摘。表現の自由は憲法で保障されており、「訴訟を起こして言論や表現を萎縮させるのではなく、良質の言論で対抗することで論争を深めることが望まれる」とした。
一方、広告の一部が「イオンによる猛毒米の販売という誤った印象を抱かせる」として、名誉毀損を認め、賠償額を110万円と算定。ウェブ広告から「猛毒」の2文字を削除するよう命じた。
28年12月の1審判決は、広告のほか、記事本文の一部についても名誉毀損を認定。
イオンが名誉回復のために新聞に出した意見広告の掲載料も損害と認め、文芸春秋に約2490万円の賠償を命じたほか、ウェブ広告についてもより広い範囲を削除すべきだとした。
イオンは「名誉毀損が一部認められた」、文芸春秋は「記事の正当性がほぼ認められたものと受け止めている」とコメントした。
(産経新聞の記事から引用)


イオンは企業理念として「安心安全はだれかに任せられません。イオンが100%責任を持ちます」と宣言し、提供する商品に全責任を負うと宣伝していました。その理念を担保するためには、すべての提供商品を厳密に管理し、検査しなければならないのです
が、おにぎりや弁当に使われている米の産地は検査していなかったのが実態です
ですから、記事のどぎつい表現は別にして、検査を怠っていた事実があったと裁判所は判断したわけです
商品検査を行っていた事実を棚に上げ、「名誉棄損だ」と訴えたイオンの姿勢の方が問題でしょう

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岡田卓也の十章―イオンの基本
商業界
岡田 卓也

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