座間9人殺害事件を考える 「宮崎勤との共通点」と書く週刊朝日
世間の注目を集める猟奇的な殺人事件で、あれこれ発言が飛び交うのはいつもの光景なのですが、今回の座間市における9人の男女殺害事件の場合はどうにもメディア各社がどう扱ってよいのか、報じてよいのか戸惑っている風に感じます
結果として、過去に話題となった猟奇殺人事件を引き合いに出し、似ているとか共通点があるなどと手法が目につきます
被害者の遺体の首を切断したから神戸の連続児童殺傷事件に似ている、などという報道がそれです
しかも、事件をどう取り扱ってよいのか分からないがゆえに、犯罪心理学などの専門家のコメントという形式を前面に押し出し、専門家の口を借りる形で事件を語るのですから狡賢い方法とも言えます
さて、週刊朝日は「宮崎勤による幼女連続殺害事件」との関連を示唆するようなタイトルの記事を掲載しています
これも犯罪心理学者で、コメンテーターとしてしばしば登場する影山任佐東京工業大学名誉教授の言を受けたものですが、記事の中身は目茶苦茶です
神奈川・座間9人“猟奇殺人” 「宮崎勤」との共通点
(前略)
影山任佐(じんすけ)・東京工業大名誉教授(犯罪精神病理学)は「供述は犯行動機の一部ではないか」と語る。白石容疑者は警視庁の調べに「金銭や性的暴行目的だった」と供述するが、影山名誉教授は、「証拠隠滅のために遺体を解体はするが、肉までそぎ落とすことはない。死体愛好的な異常性欲を見て取れる。遺体を隠したというより、蓄積するような生活を送っている」
捜査関係者はこう言う。
「駅から尾行し、部屋をノックすると、すんなり出てきた。被害女性のことを問い詰めると、『この中に』と玄関のクーラーボックスを指さした」。生活感はゼロ。雨戸まで完全に閉め切られていたそうだ。
また、「クーラーボックスなどには肉片がなかった。解体したという風呂場からは血痕などは見当たらなかった」(捜査関係者)といい、白石容疑者は「脂がすごく多くて、(解体には)力が必要でヘトヘトになった」とも供述しているという。
一方で、白石容疑者は父親に「生きていても意味がない」と話していたといい、過去に自殺を図ったという報道もある。前出の影山名誉教授はこうも指摘する。
「事件前に自暴自棄になり、虚無感を覚えたと思われ、2人目の殺害時には、死刑を覚悟し、『これで世の中の終わりにしたい』と、間接自殺的な要因もあったのではないか」
影山名誉教授は、死体愛好の傾向を、東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件の宮崎勤元死刑囚、間接自殺の要因については、大阪教育大付属池田小学校で起きた無差別殺傷事件の宅間守元死刑囚と重ねる。
白石容疑者が作り上げた虚無感に、自殺志願者が共振したのは、新宿・歌舞伎町でのスカウト経験などで得た話術の巧みさなのかもしれない。
(以下、略)
記事のタイトルに「宮崎勤との共通点」と謳っておいて、いったいどのような共通点があるのか、明確な記述はありません
影山教授が語らなかったとは思えないのですが、記者には電話で聞き出したコメントをまとめ文章化する能力が欠けているのか、本筋とは無関係な白石容疑者の家族のエピソード(事件発覚の前日だが、白石容疑者の父親は、実家の近所でみかんと栗のおすそ分けをしていた…など)やら、風俗店のスカウト時代のエピソードを交えて記事にしたと思われます
全文を読んでも無関係なエピソードの羅列にすぎず、何を言いたいのかさっぱり伝わってこない記事であり、なぜこんな頭の悪い記事を掲載したのか疑問です
宮崎勤の事件との関連性を言いたいのであれば、影山教授からきちんと聞き出すのが記者の役割でしょう
きちんと取材をし、事件を文章で表現するといった基本的な能力を欠いた記者たちがジャーナリズムの最前線にいる、との現状に暗澹たる気分になります
いまさら、週刊朝日に何かを期待する気もありませんが
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