準天頂衛星「みちびき」を戦争準備だと批判する北朝鮮と中国

アメリカの衛星測位システムGPSを補完し、精度を高めるとの目的で日本は準天頂衛星の運営を進めています
が、これまでには「無料で利用できるGPSがあるのだから、わざわざ日本独自の衛星測位システムなど要らない」との意見が根強く存在していました
ところがここ最近、不要論が後退し、準天頂衛星の有効性が注目を浴びるようになったのですから、世の中の変化は面白いものです
その背景にあるのは車の自動運転システム実用化を目指す動きです。高齢化や過疎化対策として、高齢者でも安心して利用可能な自動運転システムは日本の今後に必要な技術でしょう
そのためには田舎の狭い道でも正確に運行できる、精度の高い衛星測位システムが必要になる、というわけです
しかし、こうした技術も北朝鮮や中国からすれば、「日本が侵略戦争の準備をしている」との結論に結び付くらしく、批判する報道を行っています


朝鮮中央通信によると、北朝鮮外務省報道官は2日、日本の準天頂衛星「みちびき」2号機の打ち上げについて、「地球の位置測定の看板の下でわが国を狙った事実上の偵察衛星だ」と非難した。その上で、「もはや、われわれが何を打ち上げようと、それが日本の領空を飛び越えようと、日本はとやかく言う資格はない」と主張した。
日本の衛星打ち上げを口実に、長距離弾道ミサイル発射実験などを正当化する狙いがあるとみられる。 
(時事通信の記事から引用)


記事によると、日本は2017年中にさらに2基の準天頂衛星を打ち上げ、2018年の春には誤差6センチメートルの位置情報体制にするという。自動運転等の民間サービスのほか、安全保障の分野で応用される。
この「みちびき」は日本のほぼ真上にいる時間が長い軌道を飛ぶため、建築物や山間部などでも電波を遮られることがないという。これまでスマートフォンなどで使用されていたGPSでは、建築物や山のために電波が遮られ、都市部や山間部では誤差が10メートルもあったが、みちびきとGPS、地上設備を同時に使用することで、誤差を6センチまで縮めることができると紹介した。
日本政府は、2023年までには「みちびき」を7基体制にする計画で、7基になると、米国のGPSに頼らず、日本の衛星だけで位置情報を取得できるようになる。
しかし記事は、米国のGPSはもともと軍事用途であったと指摘。安全保障の分野において位置情報はますます重要になっており、日常生活においても位置情報は欠かせないものになっている現状の中、『軍国主義』の安倍首相が、この技術を軍事分野で使用するなら、その結果は大変なことになるとアナリストが分析していることを伝えた。
(レコードチャイナの記事から引用)


中国は衛星測位システムとして「北斗」を運用しており、いくつもの人工衛星を打ち上げています。ロシアも同じく、独自の衛星測位システムを構築中です
これはアメリカとの軍事的な対立が起きた場合、GPSの電波にスクランブルがかけられ、中国やロシアの軍隊がGPSを使用できなくなるのを見越したものです
ロシアは広い国土をカバーする精密な測位システム実用化のため、数多くの衛星を配備する必要があり、その費用負担は重くのしかかっています
どこの国でもGPSがあれば用が足りるため、わざわざロシアや中国の衛星測位システムにお金を払って参加しようとはしません
日本の準天頂衛星がただちに軍事利用に結び付くわけではないものの、中国や北朝鮮が不安を抱いているのは事実、だと見受けられます
先に我が国も防衛に関し、巡航ミサイルによる敵基地攻撃の可能性が話題になりました
巡航ミサイルは敵のレーダー網をかいくぐるため、地表すれすれを飛行するのが特徴です。そのためには朝鮮半島の立体地形を精密に把握しておく必要があります。日本は陸域観測衛星「だいち」をつかい、地球規模での詳細な地形データを収集しています
だからといって巡航ミサイルを飛ばせるとは断言しませんが、技術的な詰めは着実に進めているのが現状です

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