今治親子殺傷事件を考える 容疑者は逮捕前に自殺
今治市で高齢者が刃物で切り付けられ死傷する事件が相次いで起き、その容疑者とされる30代の女性が警察に任意同行された後、自殺していたと報じられています
容疑が濃厚ならば逮捕して身柄を確保したのち、捜査を進める選択支もあったわけで、容疑者を自殺させてしまった警察のやり方に批判が向けられるのも当然でしょう
しかし、愛媛県警は捜査方法の検証もしないまま「任意で事情聴取後、帰宅させたのは適切だった」と強弁しています
どのような捜査を展開するかは警察の専管事項であり、外部からとやかく言われる筋合いはない、と愛媛県警は考えているからです(これは日本の警察組織全体がそう思い込んでいるからであり、警察が捜査の不手際を認め謝罪するケースは滅多にありません)
愛媛県今治市の市営住宅で、高齢の親子が部屋に侵入してきた女に刃物で殺傷された事件で、県警は5日、参考人として任意で事情聴取した30代の女性が自殺したと発表した。女性は現場近くに住んでおり、県警は4日に聴取し関係先のマンションを家宅捜索するなどしていた。
殺傷事件は3日午前9時ごろ、同市室屋町7の市営住宅1階の無職、岡本久行さん(70)方で発生した。玄関から侵入してきた女に刃物で切りつけられ、母ユキヱさん(92)が出血性ショックで死亡、久行さんも大けがをした。
県警によると、現場近くの複数の防犯カメラには、久行さんが目撃した女と服装が似た人物が事件時間帯に自転車に乗っている様子が映っていた。県警は、自殺した女性と姿が似ているうえ、自転車も女性のものと酷似しているとして、4日午後1時半から午後10時半まで女性から任意で事情を聴いた。女性はその後家族に引き渡され、今治市内の実家に戻ったという。
県警の捜査員は5日も引き続き任意の事情聴取をするため、午前9時ごろ実家を訪れたが、呼びに行った家族が室内で自殺している女性を見つけたという。遺書があったが、県警は内容や自殺の方法などについて「プライバシーの関係」を理由に明らかにせず、「聴取は適正だった」としている。
一方、市営住宅の南西約400メートルの民家では4月26日、1人暮らしの無職、越智サツキさん(81)が何者かに刃物で腹部を刺され、死亡しているのが見つかった。
県警は、二つの事件の現場は近く、どちらも血の付いた刃物が見つかるなど類似点があるとして関連を捜査していた。
(毎日新聞の記事から引用)
その後、自殺した女性の靴に殺害された被害者の血液が付着しているのが確認されたと別の報道では伝えています
30代の女性が面識もない高齢者を相次いで襲った理由は不明ですし、自殺してしまったからには解明できないままでしょう
何らかの精神疾患(統合失調症?)が考えられます。この女性が精神科に通院していたならカルテが残っているものの、そうでないなら決め手はありません
逮捕前に任意で事情を聴取するのは通常の手段ではあっても、2人を殺害し1人に傷を負わせた凶悪事件ですから、早い段階で身柄を確保する選択もあったはずです
昨今は第三者委員会が流行っており、何かにつけ第三者を集めた委員会を結成して行政(学校)の対応に問題はなかったか検証させています。しかし、警察の場合は第三者の意見に耳を貸す気はないので、捜査に不手際があったとしても検証は身内で行います。外部からの批判を受け入れない警察のあり方が、捜査手法の未熟さを温存させてしまっているとも言えます
もし愛媛県警が民間企業ならば、信用失墜で商売に多大な影響が出るところです支店長(署長)更迭くらいでは済まないわけで
過去には重要事件の容疑者が警察の留置場内で自殺する例もあり、逮捕したから万全とは決めつけられないのですが
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