神戸連続児童殺傷事件 元少年にリンチを加えようとするメディア

神戸連続児童殺傷事件から20年を経て、各メディアがさまざまな報道をしています。その中でも図抜けてひどいのが週刊文春と産経新聞の不思議なコラボレーションの記事です
週刊文春の記者が少年Aこと、東慎一郎の所在を突き止め取材を試みたところ、暴行を加えられそうになったと書き、「彼が更生しているのか疑問」だと決めつける内容です
彼が少年院を仮退院し、社会復帰した後、刑法に触れる行為をしていないのであれば更生したと見なされるのは当然です。反省したかどうかは本人の内面に関わるものであり、外部の誰かが決めつける話ではありません
しかも、この記事の中身は随分と前の話であり、それをわざわざ今になって(事件から20年という節目のつもりなのか)蒸し返す狙いが分かりません


【ぬぐえぬ影 連続児童殺傷20年(上)】「命がけで来てんだよな」元少年A、直撃の文春記者に態度豹変 闇に消えたのは「モンスター」なのか
人目を避け、息をひそめるように暮らしていたのだろうか。その男性の姿を日中に見かけることは、同じ団地の住人でさえほとんどなかった。
身長約160センチ。色白で、少しこけた頬。その男性こそが、20年前に「酒鬼薔薇聖斗(さかきばらせいと)」を名乗り、日本中を震撼(しんかん)させた神戸連続児童殺傷事件の加害男性(34)だった。
東京都足立区。埼玉県との都県境に近い団地の一室で、加害男性は平成27年冬から昨年1月までの数カ月間生活していた。
「夜になると、サドルに穴が開いたぼろぼろの自転車で出かけていた」。同じ棟に住む男性は、加害男性らしき人物の印象を語る。「『何か不気味な人だ』と話す住人もいた。2〜3カ月で、すっと忍者みたいに消えていった」
姿をくらますきっかけとなる出来事が、昨年1月にあった。週刊文春の記者から直撃取材を受けたのだ。
それから数日のうちに、加害男性は入居時と同様、ひっそりと退去していった。だが2月になって「元少年A、33歳」という見出しの近影写真とともに記事が掲載されると、ピンと来た住民も少なからずいた。
「もう団地にはいない。住人が怖がるので話題にするのを避けている」。自治会長は言葉少なに語った。
愛媛、徳島、神奈川、静岡、そして東京…。9年10月に収容された関東医療少年院(東京都府中市)での矯正教育を経て、16年3月に仮退院した加害男性。その後、どこに居住しているかをめぐっては、多くの噂が飛び交った。
懐疑の目を向けられては転居を繰り返したのか、27年6月に犠牲者遺族に無断で、「元少年A」という匿名で出版した手記「絶歌(ぜっか)」には、日雇いや少年院で身につけた溶接工の仕事で食いつなぎ、ネットカフェや簡易宿泊所を転々とする日々がつづられている。
両親ですら会って話を聞きたいという希望がかなわない中、直撃取材に成功した週刊文春の記者は半年以上をかけ、20年前とは別の名前で暮らす住居を特定したという。
記者によると、加害男性に名前を確認したところ、「何のことか分からない」と答えていたが、途中から様子が一変した。
「名刺も手紙もいらねえよ」「命がけで来てんだよな」
脅しとも取れる言葉を発し、異変を感じて逃げる記者を約10分間、執拗(しつよう)に走って追いかけてきた。記者は「(加害男性は)ポケットの中で何かを握る素振りを見せながら叫んでいた。更生できているのか疑問に感じた」と振り返る。
(以下、略)


記者が「襲われそうになった」と主張していますが、それはさんざん挑発めいた取材を試みた結果であり、自業自得でしょう
元犯罪者といえども現在は一般人ですから、取材に応じる義務はありません
別の方法で接触していたなら、東慎一郎は取材に応じ、べらべらとしゃべりまくったかもしれないのですから
「絶歌」の出版に東慎一郎が並々ならぬ期待を寄せており、天才作家だともてはやされる姿を思い描いていた可能性もあります
しかし世間の反応は冷たく、轟々たる非難を浴びただけで終わりました
自分の文学的才能を信じて疑わなった彼にはショックだったのでしょう
そして週刊文春の追い打ちです
どこまでも犯罪者として糾弾され、晒し者扱いされると感じ、ブチ切れるのも分かります
しかし、彼がポケットにナイフを忍ばせていた証拠もなく、ただ週刊文春の記者が危害を加えられるかもしれないと主張しているにすぎませんし、産経新聞のこの記事は週刊誌報道の受け売りであって、直接東慎一郎を取材して書かれたものでもないのです
ですからこの記事は事件から20年経った今、犯人を晒しあげ、リンチを加える意図で書かれたもの、という印象しかないのであり、うんざいりさせられます
なぜ正式に取材を申し入れようとしないのか、疑問です
東慎一郎自身、メディアで自分語りをしたくて仕方がないように思われるのですが
少年Aこと酒鬼薔薇聖徒こと、東慎一郎には事件について語る義務がある、と当ブログでは書きました。その考えは今でも変わりません
メディアが彼を取材したいのなら、手順を踏んで同意を取り付け、それ相応の場を設けて臨むべきでしょう
いきなりマイクをぶつけて、何かを引き出せると考えるのは頭の悪い週刊誌の記者か、芸能レポーターくらいでしょう

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