埼玉少女失踪事件を考える8 単なる同棲だとする説
埼玉県朝霞市の女子中学生を連れ去り、監禁した事件では11月の公判を最後に裁判の進行が停止しているようです。当ブログでは9月の初公判後、鑑定留置が行われるため裁判が中断すると書いたのですが、どうも11月の公判後、鑑定留置が行われたため中断しているものと考えられます。この辺りの公判を巡るスケジュールに関し、まったく報道がないため把握できない状態です
公判再開ともなれば、世間の注目が高い事件だけに必ず報道されるわけで、それを待ちましょう
あらためて11月の公判時の報道を引用します
寺内被告は黒いスーツ姿で、薄ら笑いを浮かべて入廷した。被害者の母親を囲むパーテーションを眺め、首をかしげたり、眉をひそめたり。弁護側の被告人質問に雄弁に答え続けた。
最後に弁護人から促されてようやく、座ったまま回転椅子をクルリとパーテーションの方に向けて「まったく行う必要のなかった行為を、私の身勝手な理由で起こしてしまって、本当に申し訳なく思っています」と上体を倒してみせた。
弁護側の被告人質問では、解説者のような口調で語った。中3でいじめに遭い、クラス全体から疎外されているように感じたと説明。いじめの加害者が処分されず「表面化しなければ何をしてもいいと考えるようになった」と話した。
事件を起こした理由を「社会性を培う機会がなく人の気持ちを理解する力が退化し、結果的に本事件を起こしたのが経緯」とした。
検察側は、寺内被告が逮捕後の調べで少女を「被験者」と呼んでいたと指摘。その理由を被告は「人間ではなく動物というか、生物と接しているような感覚だった」などと説明した。
被害者の家族が心配する気持ちについては「よく分からないですね」と供述。弁護人は逮捕後、寺内被告が自分の性格分析を記したメモを取り上げ「三人称の視点で生きている」との記述について質問。同被告は「自分の目で物を見ても、その出来事がパソコン動画のように現実感がない」と説明。
検察側は、被害者側からの損害賠償命令についても質問。寺内被告は「できる限り払っていく」としたが、現在の貯金20万円については「携帯代の支払いに使う」とした。
弁護側証人尋問で出廷した寺内被告の父親は「(逮捕後の診察で)精神疾患を患っている可能性があると聞いた」と証言。弁護人に促されて突然涙声になり、被害者側に向かって「申し訳ありません」と謝罪した。
一方、検察側は父親も損害賠償の申し出をしていないことを指摘。弁済ができない被告への援助の意向も質問したが、父親は「考えていない」とした。
次回公判は、寺内被告の精神鑑定が行われた後で開かれる。
(日刊スポーツの記事から引用)
文末に鑑定留置(精神鑑定)について言及されており、自分は見逃していたわけです
しかし、通常鑑定留置は3か月ほどで終わりますので、公判が再開されていなければなりません
これは弁護側が精神鑑定の結果を踏まえ、争点を変更して争う構えを示したため、検察側、裁判所との協議で揉めているからではないか、と考えられます
寺内被告に何らかの精神疾患があったとしても、それが心神喪失に当たるような重大な疾患でない限り、犯行時の責任能力に問題はないのであり、いまさら起訴を取り下げる理由になるとは思えないのですが
さて、タイトルにあるようにこの事件は被害者と加害者が合意の上で同棲していただけであり、事件性はまったくないとする主張を展開するブログがあります
事件名や被告人の名前で検索をかけるとそのブログが上位にくるため、多くの人が「単なる同棲関係であり、監禁事件ではない」説を目にしているのではないでしょうか?
「完全に監禁していたわけではない」、「一人で買い物に出ることもあった」などなどの寺内被告の言い分も相俟って、被害者女性がまるで自らの意思により寺内被告と暮らしていたかのような主張がそのブログでは展開されています
なぜそうまでして事件性を執拗に否定するのか、理解できません
強いてどのブログであるかは書かないでおきます
事件性への反証として、当時寺内被告に監禁されていたマンションの1階にはコンビニエンスストアがあり、店先に公衆電話もあったのに被害者である女性はそこから自宅や警察に電話をしなかったのはおかしい、と指摘しています
しかし、当時中学生だった被害者女性にコンビニエンスストア前に公衆電話が存在すると認識していたかどうかは不明ですし、寺内被告に見つかる可能性の高い場所から電話をかける決断ができたかどうかも不明です
そこに電話があるのに利用しなかったのはおかしい、との指摘は被害者女性の心理状態をまったく無視したものであり、言いがかりでしょう
あるいは彼女が探していたのは公衆電話ボックスだったのかもしれません
被害者女性は一人でマンションから外出した際、公園で年配の女性に話しかけ助けを求めたものの、相手にされなかったとの経験を語っています
面倒事に巻き込まれるのを嫌った年配者が、彼女の訴えに耳を貸そうとはしなかったと推測されます
その際の絶望感がいかほどのものであったか、「同棲説」を唱えるブロガーには想像もできないのでしょう
一度は絶望感に打ちひしがれた彼女が寺内被告の元から逃げ出すきっかけになったのは、インターネットで両親が自分の行方を捜し続けている、と知ったからです。駅の公衆電話から自宅(寺内被告からは両親が彼女を見捨てて引っ越したと、繰り返し吹き込まれ信じされられていたのです)に電話をし、助ける求める彼女の心境がいかばりであったか、それを察する気持ちがない者に事件を語ってもらいたくありません
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