パクリアニメを批判する中国メディア
中国のアニメ作品が他国の有名作品を模倣したもの、だと露見する例は珍しくもなく、「またか」と思われる方がほとんどでしょう
こうしたパクリ行為を恥だとは思わず、むしろ「俺たちはうまくやっている」と思っているのかもしれません
これまでにも、「オリジナル作品で勝負すべきだ」とする中国メディアの主張はありました。が、その結果、「西遊記」をベースにしたオリジナル・アニメが30本以上も作られるという、斜め上の方向へ走っています
これも、「ドラゴンボール」に影響された結果、と指摘できます
オリジナルで勝負しろと言われても、中国には原作となる優れた小説・漫画がないのですから、日本の漫画やゲーム(ポケットモンスター)などを真似した作品になってしまうのでしょう
さて、改めてそんな風潮に警鐘を鳴らす意見が提起されている、とサーチナの配信記事では伝えています
中国では3月15日は「消費者権利保護デー」だった。今年も様々な分野で、消費者の権利を損なうような行為や商品に対する指摘や批判が繰り広げられた。
中国メディア・今日頭条は14日、「3・15」にちなんで中国国産アニメの問題点を指摘する記事を掲載した。
記事は「2011年から中国アニメの生産量はすでに日本を超えて世界一になっている。しかし、品質が足を引っ張り続けており、『国産動画はダメだ』という印象が今もなお変わっていない」と説明。中国アニメが「生産量だけという偽りの繁栄」から脱却できない大きな理由の1つとして、今だ後を絶たぬ「パクリ」の状況を挙げ、この10年間における「パクリ」の足跡を振り返った。
06年には「象棋王」が日本の「ヒカルの碁」や「遊戯王」を模したとされ、07年には「クレヨンしんちゃん」の登場人物やその性格、声などをパクった作品が出現したと紹介。08年は「ウルトラマン」が、09年は「秒速5センチメートル」がパクリの対象になったことを伝えた。
さらに、11年にも超特急ヒカリアンをパクったとされる鉄道アニメ「高鉄侠」が話題になり「劇中に出てくるおにぎりさえ丸パクりだった」としている。
記事によれば12年以降は、パクリの対象が日本アニメから米国作品へと広がったという。12年には「ウォーリー」を模した国産作品制作の情報が流れ、15年には「カーズ」そっくりな「汽車人総動員」が出現して本家から訴えられ敗訴、16年にはタイトルとポスター構図が「ズートピア」と酷似していると指摘された作品が出てきたと伝えた。
記事は「国産アニメを発展させるにはまず、『パクリ』という杖を取っ払い、オリジナルをたくさんつくらなければならない。どんなに人的、物的、財的負担がかかっても、興行的に失敗しても、少なくともパクリに比べれば光栄なことなのだ」と評している。中国政府が国産アニメの発展を宣言してからはや10年以上が経つ。着実に進歩する一方で、解決しなければならない問題はなおも山積しているようだ。
(サーチナの配信記事から引用)
日本のアニメに追いつけ、追い越せと中国政府が号令を下して10年、どうなったかは申し述べるまでもありません
この10年、日本から多くの劇場版アニメやテレビシリーズアニメの秀作が誕生したのに比べ、中国アニメで比較できる作品は皆無と言えます
「新世紀エヴァンゲリオン」や「攻殻機動隊」に匹敵するような作品は、いまだに中国では作られていません
ちなみに劇場版「攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL」は1995年の作品であり、もう20年前の話です
上記の記事で触れている「象棋王」も、ゲームの世界を模した派手なバトルを描きたくて作ったアニメであり、「遊戯王」の世界に惹かれ、憧れた結果なのでしょう。そこには「ヒカルの碁」のような、一途に勝負の世界に向き合おうとする若者たちの、青春群像としての深みのあるドラマはありません
Xiangqi king(象棋王) TV show
キャラクターをカッコよく描くことばかりに力を注ぎ、キャラクターを掘り下げたり、その苦悩や挫折、そして成長という過程をドラマに結びつけようとする工夫がないため、きわめて薄っぺらな作品になっています
先にも触れたように、昨今では中国と日本の合作の機会も増えているようですから、作品作りの手法を学んで改善される可能性はあります
日本のアニメファンを驚かせるような作品が、いつか中国で生まれる日がくるのかどうか、まったりと待つことにしましょう
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