文部省天下り問題 官僚が早大教授になる不思議

タイトルには不思議と書きました。が、実際に役付きの公務員が退職後、大学の教授に就任する例はさほど珍しいものではありません
もちろんそのためには、大学教授と呼ばれるに相応しい学術研究実績が必要であり、専門分野の学会で論文発表を行っているなどなどの条件を満たさなければなりません
文部科学省高等教育局長から早稲田大学へ天下りしたと批判を浴び、早々に辞職した吉田大輔の場合はどうだったのでしょう
以下、週刊朝日の記事を引用します


「知らなかったでは済まされない。どうやったら伝統ある大学の教授に突然なれるんですか。やっていいことと悪いことがある」
今回の問題を受けて、早稲田大名誉教授の大槻義彦氏は怒りが収まらない。
文科省OBが大学に再就職する場合、事務職に就くことが多い。しかし、天下りのあっせんを受けていた吉田大輔・元高等教育局長(が得たポストは「教授」。
年収1400万円という厚遇で迎え入れられていた。しかも、一連の過程で文科省と吉田氏と大学が口裏合わせをするという事態まで起きていた。大学内部からも批判の声が出ている。
「ここまで露骨な違法行為をしているとは思わなかった。まさか想定問答まで用意しているなんて……」(早大幹部)
文科省の現役職員の一人は慌てふためいて言う。
「大変だよ。やりすぎだよね。あそこまでやるかっていう声が内部にはある。内閣官房から全省庁を調査しろ、と指示が下りている。事情聴取されちゃうよ」
改めて、今回の文科省の天下りあっせん問題の経過をたどろう。
国家公務員法は再就職について在職中の求職活動や省庁のあっせんを禁じているが、内閣府の再就職等監視委員会によれば、文科省が天下りをあっせんした疑いがあると指摘した事例は4年間で計38件。うち10件を違法と見なしている。
早大のケースでは、人事課の現職職員が関与。同省人事課の職員は早大側に「まもなく退職する人がいる」と伝え、吉田氏の履歴書を送付した。吉田氏は2015年8月4日に文科省を退職。採用面接はそのわずか2日後だった。退職から2カ月後の10月1日に、早大教授に就任した。
「局長に自ら履歴書を書かせて就職活動させるのはしのびない、というのがあっせんの理由らしい。その発想自体がおごりであり、あまりにも世間の感覚から離れている」(同省OB)
実は、吉田氏は著作権法のエキスパートで、在職中も横浜国大へ教員として出向したこともある。
(以下、略)


著作権法の権威だというなら、法学部の教授に迎えるのが当然でしょう
しかし、吉田元教授のポストは早稲田大学総合研究センターであり、その業務は「政策の動向の調査研究」、「文科省の事業に関する大学への助言」なのだとか
これは学生相手に講義やゼミを担当する教授の仕事ではなく、大学経営に助言する経営アドバイザーの仕事でしょう
こんな顧問役に1400万円の年俸を約束する(金額はあくまで上記の記事にあるまま)というのは、随分と豪気な話です。一般企業なら部長職のポストにいる者の報酬であり、経営に責任を負う立場にある者に支払われる額です(アドバイザーは所詮、責任を負わない立場ですから、高額の報酬は不相応です)
ゆえに吉田元教授の学識経験は認められるものの、ポストは不相応なものですから天下りのため急遽用意した、と見なされるわけです
退職から2カ月で「教授」に迎える必要があったため、法学部でのポストを提供できなかったのでしょう(降ってわいたような元官僚の教授就任ですから法学部教授会の同意を取り付けるのは困難)
ですから、定年退職によって空いた教授ポストを埋めるとか、新たな学部学科設立に必要な人材獲得といった理由が早稲田大学側にはなく、単に文部省とのパイプ役として元官僚を受け入れようしただけなのであり、早大総長ら経営陣には「天下り受け入れ」との認識があったはずです
記者会見の場ではしらじらしく、「違法な天下りだとは知らなかった」などと釈明していたのですが
上記の週刊朝日の記事によれば、早稲田大学は年間90億円もの補助金を受け取っているとかで、その見返りが1400万円の教授職だったとの見方を披露しています
つまり吉田元教授は学識経験を評価されたのではなく、90億円という補助金の「お釣り」にすぎないと言えるのであり、なんとも惨めな話です

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