爆笑問題太田による村上春樹批判の迷走

爆笑問題太田光がことあるたび作家村上春樹を批判しているのですが、その中身のなさにはほどほど呆れます
一部のメディアにとっては面白おかしく伝えられるネタなのでしょうが、わざわざ取り上げるほど価値があるものだとは思えません
しかし、先日放送されたNHKの「クローズアップ現代」に太田光が登場し、毎度のごとく村上春樹批判を開陳したと報じられていますので、取り上げます
新作小説「騎士団長殺し」の発売に合わせた企画であり、話題になったNHKはこぶしを握ってガッツポーズを決めているのでしょう


「かっこつけてんじゃねえよ!」 太田光、村上春樹批判の徹底ぶり
前作から4年ぶり、複数巻にまたがる長編小説としては7年ぶりとなる村上さんの小説「騎士団長殺し」(全2巻)が2月24日に発売された。新潮社は発売前に重版し、計130万部を用意するなど既に大ベストセラーになることが決まっている。
23日夜放送の「クローズアップ現代+」では村上さんの特集を組んだ。発売開始を待つ「ハルキスト」の行列を映し、目を輝かせながら「買ったら徹夜で読みます」という女性のインタビューや、発売が待てないとし本の内容を空想して議論する集団、パロディー作品を作る人たちの紹介などが行われた。そうした中で、冒頭に登場したのが太田さんだった。
太田さんは「かっこつけてんじゃねえよ!」と村上作品について語り出した。サンドイッチを作ってビールで流し込む、そんな描写ばかりが目立ち、登場人物が「こんな日本人いるかよ」と思ってしまう、と語った。後半に再度登場した時には、「1Q84」(2009年刊)を指さしてこう言い放った。
「分かる?これ。全然分かんなかったんだけど、俺。『なんじゃこりゃ!?』って思ったよ」
そして、この本を支持する人たちの感覚には付いて行けない、として「もうちょっと分からせてよ、というか、あまりにも読者に対するサービス精神がなさすぎる」と批判した。
(以下、略)


記事を書いたJ-CASTニュースの記者は太田光の発言に、「我が意を得たり」と賛同しているようですが、あまりに低レベルな太田光の発言に共感できる感性に頭がくらくらします
太田光は単に、「自分には理解できない。ついていけない」と言っているだけであり、それは彼本人の知性や感性が乏しいがゆえです。それを置き換えて作者が悪いと批判しているのであり、とても論評とは呼べないしろものです
「海辺のカフカ」下巻の425ページで、「世界はメタファーだ、田村カフカくん」と大島さんは口にします
これがすべてだとは言いませんが、太田光は理解できないのでしょう
世界(小説と読み替えても可)をメタファーだと受容できる人は村上春樹の作品を楽しめるのであり、それができない人はついていけない、と自分は思います
自分が齧ってきた精神分析など、メタファーの中を揺蕩う行為そのものですから村上春樹の作品世界はとても馴染み深く感じられます
話を置き換えましょう
太田光が「お笑いとは…」と熱弁をふるい、「テレビを見て笑っている連中はファッションとして笑っているだけ。本当の芸を理解していない」などと説教しようものなら、視聴者に喧嘩を売っていると批判を浴びるはずです
テレビで披露する3分少々のネタを、延々と2時間かけ「芸のなんたるか、お前らに分かるか。わかってたまるか」と説教するなど野暮な行為にもほどがあります
太田光が論評をしたいのなら、もっとまともな論理を身に着けるところから始めるないとダメでしょう

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