学校トイレで女性教師を強姦殺害した少年
日々、世間の耳目を集める様々な事件が発生するため、個々の事件を追いかけてその顛末まで見届けるのはなかなか困難だったりします
2013年10月、アメリカのマサチューセッツ州の高校で14歳の男子生徒が女性教師をトイレ内で強姦したうえ刃物で刺し殺す事件があり、アメリカを震撼させました
が、その後の裁判は異例の展開となり、男子生徒の精神疾患が問題となってなかなか判決に至らず、時間だけが経過していました
精神疾患が認められれば罪には問えず、男子生徒は精神病院で治療を受けるわけですが、犯罪者を安易に精神疾患と認め許すべきではないとの世論もあり、裁判の結果が気になっていました
昨年2月に被告フィリップ・チズム(犯行時14歳でしたが、判決時には17歳になっています)を終身刑に処す、との判決が出ていると分かりましたので、この事件を取り上げます
米マサチューセッツ州で2年ほど前に起きた、「Danvers High School」にて14歳少年が女性教師をトイレの個室の中で暴行し、殺害したとして強姦致死罪に問われている事件。検察側と弁護側が激しい攻防を繰り広げて注目を集めている。
2013年10月、14歳であった教え子のフィリップ・チズム(現在16歳)により性的暴行を受けた上で殺害されたのは、当時24歳であったコリーン・リッツァーさんという数学の教師。コリーンさんがトイレに向かったのを見て、少年は教室をそっと抜け出し彼女を追い、トイレの個室に押し入って犯行におよんだ。
強姦致死罪の容疑で逮捕・起訴されたフィリップ被告について2回目の公判がこのほど開かれたが、被告が精神的に脆弱であったことを強く主張する弁護側により、またしても結審には至らなかったようだ。
被告の供述によれば、コリーンさんはカッターナイフで11分にわたり体のあちこちを切り刻まれ、刺されたもよう。その遺体は屋外にあったリサイクルボックスに入れて運ばれ、近くの雑木林に埋められた。事件の第一目撃者である女子生徒は「パーカーのフードをかぶった少年がトイレから出てきた。手には血まみれのズボンを持っていた」と証言し、トイレの清掃を担当していたヴィンス・ピメンタルさんは、「用務員に報告することなく自分でホースの水で洗い流してしまったが、壁もフロアもすべて血だらけだった」などと証言している。そのリサイクルボックスが証拠品として法廷に持ち込まれることになっており、検察側は「被告人は正気で計画的な犯行」と断罪の必要性を主張している。
一方でボストンのメディア『boston.com』によれば、フィリップ被告は容疑を全面的に認めているものの、他人を怪我させることは決して望んでいなかったとしており、デニス・リーガン弁護士は「事件を起こす少し前からの被告の精神的な脆弱さ、異変などを理解してあげてほしい」と陪審員らに向かって陳情。同州ウースターの病院で行われた20日間にわたる精神鑑定で精神疾患を指摘されたことから被告には治療が開始されているが、フィリップ被告と接見したヴァージニア・メリット博士は非常に慎重な姿勢を見せた。「被告は私に“どこからか声が聞こえくる。死にたい”と話している。やや短期でもよいが、結論はもう一度精神鑑定を行ってからにしたい」と述べ、またしても結審することなく閉廷した。
有罪判決が下れば数十年の懲役を免れない重罪ゆえ、いとも簡単に精神疾患を認めてはならないとする動きが近年非常に活発になっている米国。しかも被告は16歳とまだ若く、次回の公判に大きな注目が集まっている。
(ブレーキングニュースの記事から引用)
チズム被告はテネシー州からマサチューセッツ州に転居してきたばかりだとされ、被害者である女性教師と特に怨恨があったとは考えられません
被告は教師殺害後にクレジットカードを下着を盗み、遺体は雑木林に埋めています。計画的な犯行とも思えず、行き当たりばったりに衝動に駆られるまま凶行に及んだ可能性があります
平素から粗暴な行動を繰り返す問題児、なら分かりますがチズム被告にそうした非行歴はなかったようで、犯行の残忍さ・凶悪さとのギャップが際立っています。そのため、精神疾患(この場合は統合失調症)と疑われたのも無理からぬところでしょう
しかし、遺体を隠す(始末する)とか、トイレの血痕を水で洗い流すといった証拠隠滅の行動をしているところから、まったく支離滅裂な精神状態ではなく、きちんとした判断力があり、自らの行動を把握していたと推察されます
ですから、責任能力があったとする裁判所の判断は妥当なものでしょう
終身刑ですが、「仮釈放なしの」と但し書きされていませんので、受刑態度が良好ならば仮釈放の見込みがあります。それでも25年程度は服役するものと思われますので、日本の無期懲役(平均服役期間30年から35年)より扱いは緩やかに映ります
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