島根女子大生遺棄事件を考える46 矢野容疑者の前科
島根県立大1年の平岡都(みやこ)さん=当時(19)=が殺害された事件で、島根・広島両県警合同捜査本部は7年前に死亡していた矢野富栄(よしはる)容疑者を容疑者死亡のまま書類送検し、捜査を終結しました
刑事事件としては決着したものの、なぜ犯人特定まで7年も費やしたかについては、「検証するものの、公表しない」というのが警察側の態度です
これは納税者である国民への背信行為でしょう。警察の捜査について、「民間からとやかく言われる筋合いはない」との主張は通用しません
7年間の捜査に費やした金は国民の収めた税金で賄われているとの自覚が、警察側に欠けているとしか思えません
さらに合同捜査本部は矢野容疑者の前科についても、公表しないと言い切っています。捜査上支障がある、との理由です。終結した捜査に、矢野容疑者の前科公表が支障をきたすとは、これも随分と奇怪な言いぐさです
インターネットで検索すると、矢野容疑者の前科について記述したサイトが見つかります
もちろん、これが事実であるかどうかは裏付けがないので括弧つきで考えなければならないのですが、この事件を追ってきた一納税者としては看過できません
矢野富栄の前科とは?
平成16年に東京と北九州で、面識のない女性に刃物を突き付けわいせつな行為をしようとして負傷させる事件を起こし、懲役3年6月の実刑判決を受けていたと、捜査関係者への取材から明らかになりました
矢野容疑者の経歴上の空白が、この服役によって埋まったわけです
刃物を持ち出して女性を脅し、わいせつ行為を行う手口は悪質極まりないものであり、強制わいせつ致傷で実刑判決が下されるもの頷けます
こうした凶悪な性犯罪の前科がある矢野容疑者を、なぜ警察は捜査対象とせずに見過ごしたのでしょうか?
「矢野容疑者の前科公表は捜査上支障がある」のではなく、あまりに警察の捜査が杜撰だったとバレるのが怖くて、「公表しない」と宣伝したのでしょう
犯行現場に近い益田市に矢野容疑者が住んでおり、しかも強制わいせつ致傷の前科があるとなれば、真っ先に容疑者としてリストアップされるわけで…
そうしなかった理由・事情があるなら聞かせてもらいたいものです
さて、警察に対して言うのはここまでです
一部のブログには、「矢野容疑者は二重人格ではなかったか?」とか「多重人格だったかもしれない」などと書かれています
日本では推理小説、サスペンスドラマなどでしばしば犯人が二重人格だった、という設定が好んで使われてきた影響なのでしょう
しかし、多重人格というイメージだけが独り歩きし、勝手な「心理検査」やら「性格判断」が横行し、「誰でも簡単に多重人格かどうかチェックできるサイト」などというものまで開設されていたりすると笑ってもいられません
厳密な解釈によって解離性同一性障害と診断できるケースはきわめてまれであり、サスペンスドラマのように都合よく犯人が解離性障害である可能性は非常に低いと考えられます
もちろん、過去の刑事事件の容疑者たちについても同様でしょう(実際に調査したわけではないので、断定はできません。しかし、猟奇的な殺人事件の場合、多くは精神鑑定が実施されています。犯行当時の様子を記憶していない、と主張する容疑者も少なくないのですが、だからといって解離性同一性障害だとの鑑定結果が下されたケースは、自分の知る限りありません)
矢野容疑者がすでに死亡している以上、憶測するしかないのですが、解離性同一性障害だと見なすのは無理があります
営業マンとして人当たりよく振る舞う一面と、刃物で女性を脅しわいせつ行為をす一面が矛盾しているとは思えないのです。海外に目を向ければ、善良な市民と周囲から認められながら、裏では強姦殺人を繰り返した人物もいるのですから
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