欧露合同の火星探査機着地に失敗
欧州とロシア合同で推進されてきた火星探査計画「エクソマーズ」ですが、火星を周回する軌道には到達したものの、火星に送り込む探査機が減速しないまま地表に激突、大破したと報じられています
このニュースは10月19日のものですが、取り上げる機会を逸したため、あらためて言及します
火星に探査機を着陸させるのがいかに困難であるか、以下のニュースを読めば理解できます
ESAの火星探査機、火星への着陸に失敗・探査機本体は地表に激突した模様
ESAの火星探査機「Schiaparelli」が19日、火星の大気圏への突入を実施。降下用カプセルは最初の9分までは正常に機能したが、その後、消息を絶ち、火星への着陸は失敗に終わった。
ESAでは現時点においてはまだ、計画失敗の最終的な判断はしていないが、計画の遂行はほぼ絶望的となっている。
今のところ、降下カプセルはパラシュート展開までは正常に機能したものの、その後、パラシュートの分離が予定よりも早く実施され、また、降下カプセルから分離した探査機が地表に設置する直前で行う逆噴射のタイミングについても誤り、更に、この逆噴射の時間も規定よりも短すぎるなど、異常が生じたことが判っている。
こうした事態が生じたことを受けて、NASAは、火星の軌道上を旋回している火星探査衛星「Mars Reconnaissance Orbiter」を使ってSchiaparelliの着陸地点の周辺の映像を撮影し、地球の管制センターまで送信させる操作を実施。MarsReconnaissance Orbiterが撮影した映像には、Schiaparelliらしき物体は何も映っていないことが判明。これらの情報から判断して、Schiaparelliは減速がかからないまま自由落下状態で地表に激突することで粉砕してしまったものと見られている。
ESAは前回、2003年にも火星に探査機「Beagle-2」を送り込んだがこの探査機も火星への着陸に失敗し、降下の途中で行方不明となっていた。
2003年のBeagle-2に続いて、Schiaparelliも降下に失敗したことはESAの火星探査計画部門に大きな衝撃を与えている。
火星は、大気は希薄なため、パラシュートだけでは十分な減速をかけることはできない。また、引力も地球の半分近くもあり比較的強いことから、ロケットを使った逆噴射による減速も難しいため、探査機を地表に軟着陸させることは技術的な難問となってきた。
ESAは次は2020年に火星探査ローバーを送り込むことを予定しているが、火星探査ローバーを成功裏に火星に着陸させるためには、今回のSchiaparelliがなぜ降下に失敗したのか、正確な原因調査を行う必要も生じている。
失敗を踏まえ、それでもESA(欧州宇宙機関)は再度、探査機を打ち上げるのでしょう
これまで45回もの火星探査が試みられてきましたが、実に29回は失敗という結果に終わっています。先だっては、インドが火星を周回する観測衛星を成功させているのですが、これは初挑戦で成功という稀有な例です
アメリカでさえ、21回も挑戦し8機が失敗に終わっています。ロシアは旧ソ連時代も含めて11回、トライしていますが1度も成功していません
日本も1998年に火星探査機「のぞみ」を打ち上げていますが、火星周回軌道への投入に失敗しています
この結果、火星探査はしばらく日本ではタブーとされてきたのわけです。が、少惑星探査機「はやぶさ」の成功が流れを変えるきっかけになり、2022年には火星の衛星「フォボス」か「ダイモス」に探査機を送り込み、地表のサンプルを地球に持ち帰る計画が進行中です
火星本体に探査機を送り込むわけではないものの、地表のサンプルを手にできれば、火星を回る衛星の成り立ちが解明でき、多くの情報を得られるのでしょう
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