「文化継承ができない中国」の筋違いな釈明
中国メディアの記事を引用し、日本語で紹介しているサーチナの掲載記事から1つ、取り上げます
中国の最近の論調の中に、「日本が中国文化を継承し発展させてきたのに、なぜ本家である中国は自分たちの文化を継承できなかったのか?」と問題点を指摘するものが見受けられます
しかし、これは愚問とは言わないものの、「答えのない問い」あるいは「答えられない問い」であるのは明らかです
中国の伝統文化を破壊し、廃棄させたのは中国共産党だと中国人なら誰しも理解しているものの、決してそう公言してはならないのですから
なぜ中国は古代の優れた文化を受け継ぐことができないのか・・・歴史的、人為的な理由
中国では近年、自国の伝統文化や伝統技術が日本をはじめとする国外で発展し、自国内では廃れてしまっていることを嘆く文章がしばしば発表されている。また、数多くの伝統文化が現代の生活に息づいている日本社会に対して羨望を示す論調も少なくない。
中国メディア・今日頭条は22日、「中国の伝統文化はどうして、つまずいたまま立ち上がれないでいるのか」とする記事を掲載した。記事は、中国人がかつては燦然と輝く歴史文化を作り上げてきた一方で、この100年は「ご自慢の伝統文化にがけ崩れが発生している」状況であると説明。その背景について、歴史的な側面と人為的な側面の2つからそれぞれ解説している。
歴史的な要因としてまず、漢の武帝時代に行われた「百家を排斥し、儒家のみを用いる」動きを挙げた。また、度重なる戦乱や天災によってその都度芸術や医学、暦法といった、大量の学習や蓄積が必要な文化が断絶あるいは淘汰されていったとした。さらに、明代や清代に盛んに行われた言葉狩り(「文字の獄」)、清代末期における自国文化を卑下し外国文化に媚びる風潮もそれぞれ要因とした。
人為的な要因としては、古代から現代に至るまで「政治が経済を上回り、経済が文化を上回ってきた」点を挙げた。平和発展の時代はいいが、文化と政治・経済が衝突すると文化は、たちまち踏みにじられる」としている。また、伝統文化に対する大衆の基盤が失われているために、後継者が不足している点にも言及した。
そして、最後に「文化は大樹であり、枝葉がなくなれば死ぬ。文化は水であり、源が絶たれれば枯れる。文化は建築であり、基礎が壊れれば崩れる」とまとめている。
記事の分析は冷静、かつ、的確なものと言えるだろう。戦乱と天災続きだった中国においては、伝統文化を脈々と受け継いでいくことは難しかったというのも理解できる。そして、文化よりも政治や経済が優先され、時として文化が政治の道具として用いられてきたことも大きいだろう。
歴史的要因のところで、記事は中華民国以降の歴史について全く言及しておらず、「時が過ぎたらまた語ろう」としている。話せば長くなるから割愛したのか、それとも語れば中国の歴史におけるタブーに触れざるを得なくなるからなのかは分からないが、なんとも「含み」のある記述だ。今、中国はバラバラに切り刻まれたピースを繋ぎ合わせることで、伝統文化の復活、再伝承を目指している。その試みは果たして成功するのだろうか。
何度も指摘しているように、中国は文化大革命と称し毛沢東の意のまま伝統文化こそ悪の根源だと決めつけ、徹底した破壊を繰り返しました。中国各地に存在した孔子廟を破壊し、儒学関連の古書を焼き、さらに儒学に関わったものを徹底的に迫害し罪人として処断したわけです
中国社会に巣食っていた因習、悪弊、迷信を淘汰する効果はあったものの、文化の破壊であり人心の荒廃を招いたのは確かです
それを避けて、「文化を継承できなかった中国」を論じても無駄でしょう
しかし、例えば日本に残る唐時代の影響を映した寺社建築を羨んだり、茶道のような礼式作法と一体化した文化を妬ましく思ったりしたところで、何かを得られる訳もないのであり、結局のところ「日本の文化は中国の伝統文化の模倣にすぎない」などという愚かしい結論に走り、真理を指摘した気になって満足するのがオチです
以上のような中国メディアとその背後にある思考は、ウィトゲンシュタインの言う「アスペクト盲」であり、対象となる事物、事象の変化をとらえきれず、場違いとも言えるほど固着した視点からのみ語ろうとするがゆえに生じるものだと考えられます
他方で、韓国メディアは、「日本を訪問すると至る所に百済文化の影響が見て取れる。日本の文化とはすなわち百済の文化を踏襲したものにすぎないと分かる」などと書き、「日本の文化はすべて朝鮮半島が起源」だと平気で結論付ける記事を書いたりします
そう映るのは、彼らが日本の文化の中に百済文化との共通項を必死で探し続け発見したごとく思い込んでいる結果であって、彼らにとって都合の良い解釈を肯定するための屁理屈でしかないのです
一例を上げると、「日本の歌舞伎は朝鮮の古代仮面舞踏劇が起源である」などと韓国メディアは書くのですが、歌舞伎の元を古来の雅楽や伎楽とするならばそれは遠くインドに源を発したものであり、シルクロードを経由し、さまざまな民族の文化と融合しながら日本に伝わってものであり、決して朝鮮半島が起源だとは言えないのです。しかし、韓国メディアは「日本の文化はすべて朝鮮半島が起源」とする結論に立っていますので、それ以外の見方はできないのでしょう
『アスペクト盲」に関しては北海道大學文學部紀要に掲載された野矢茂樹氏の論文がなかなか示唆に富んでいて面白いので、興味のある方は一読下さい
規則とアスペクト:『哲学探究』 第 II 部からの展開
習近平は「偉大なる中国の復活」というスローガンを掲げていたりするのですが、それはかつての文化大国としての中国ではなく、何か別物を目指しているのでしょう礼節儀礼が失われた国に、未来があるのかと思ってしまいます
(関連記事)
新元号 中韓の反応
「天皇交代で日本は中国に助けを求める」と書く中国メディア
中国文化と日本文化、どっちが影響力は上か
「中国が文化大国になれない理由」を読めない中国メディア
「日本は敗戦の歴史を学んでいない」と書く中国メディア
「南シナ海での中国の無法に理解を示せ」と書く朝日新聞記者
南シナ海仲裁裁定で中国は完敗 習近平の屈辱
「尖閣で日中衝突なら日本は5日で敗北する」との記事
中国メディア「日本はなぜ中国に屈服しないのか?」
日本を屈服させられず焦りまくる中国の悲鳴
「中国は尖閣諸島より民度向上に努めよ」とフィナンシャル・タイムズ
中国メディア「大量の漢文書籍を保存してきた日本」を評価
「日本人は歴史と向き合え」と言う中国の高校生
「文化大国」中国にアイドルが生まれない理由?
「日本の歌舞伎の起源は韓国」と報じる朝鮮日報
「日本の文化はすべて韓国の模倣」だと主張する研究者
「桜の起源は韓国」を諦めないトンデモ報道
日本の世界文化遺産登録に反対する韓国
「茶道の起源は韓国」とする見栄っ張りな記事
雪の千歳空港で中国人暴れる 中国大使館が日本批判