山口連続殺人事件の保見被告 控訴審でも死刑判決

2013年の7月、山口県周南市の集落で、5人が殺害され住宅が放火される凶悪事件が発生し、一部のメディアが「現代の八つ墓村」だとスキャンダラスに取り上げました
被告である保見光成被告には一審山口地方裁判所で死刑判決が言い渡されたのですが、判決に納得せず控訴していました
控訴審である広島高等裁判所も、山口地裁の死刑判決を支持する決定を言い渡したと報じられています


山口県周南市で2013年7月に起きた5人殺害・放火事件で殺人罪などに問われ、1審・山口地裁で死刑とされた保見光成被告(66)に控訴棄却を言い渡した13日の広島高裁判決。傍聴した被害者遺族たちは、2審でも無罪を主張して謝罪もなく法廷を立ち去る保見被告を無表情に見つめ、閉廷後に弁護士を通じて「上告せず刑に服してほしい」とするコメントを発表した。
広島高裁304号法廷。被害者の遺族15人は検察官の隣や傍聴席に分かれて座り、保見被告を直視することなく、メモを取るなどして静かに判決に聴き入った。黒色のTシャツとズボン姿の保見被告は「控訴棄却」の主文を聴いても動揺は見せず、言い渡し後には弁護士を見て軽くうなずいてから退廷した。
被害者の河村聡子さん(当時73歳)の夫二次男(ふじお)さん(79)も傍聴席で判決を聴いた。聡子さんとは旧鹿野(かの)町(現周南市)役場の同僚として出会い約50年前に結婚した。娘の入学前には船や汽車に乗せてあげようと家族で四国旅行に行き、夏には自宅のそばで流しそうめんをした。2人の娘は成長して3人の孫にも恵まれた。
そんな幸せな生活を事件が一瞬にして奪い去った。今も聡子さんと暮らした家に1人で住む二次男さんは、自宅の隣に建てた聡子さんの墓に毎日手を合わせ、記憶を振り払うかのように毎晩3合の焼酎を飲む。酔って電話に出ることができず、「母の後を追ったのではないか」と心配した長女と次女が駆けつけたこともあった。
ただ、聡子さんがかわいがっていた3人の孫と会えるのが今の救いだ。8月には長女と次女、大学生の孫らと計5人で山口市でリンゴ狩りをした。「自分より背の高くなった孫と会うことだけが楽しみ」と笑顔を見せる。
事件発生から3年以上が過ぎたが、今もことあるごとに聡子さんを思い出す。「死刑になっても妻が『ただいま』と言って戻って来るわけではないが、その日が来るまで私の命が持ってほしい」。癒えることのない心の傷を抱えながら、裁判の行方を見守っている。
(毎日新聞の記事から引用)


保見被告側は控訴審でも精神鑑定を請求していたのですが、広島高裁はこれを認めませんでした。事件前に保見被告は、「俺は薬(精神安定剤)を飲んでいるのだから、10人や20人殺したって罪にならない」と周囲に漏らしてたそうで、これは精神障害だから心神喪失で無罪になるとの思い込みがあったためと推測されます
しかし、山口地方裁判所は保見被告の精神鑑定の結果、「誤った思い込みを事実と確信し、正すことができない状態が続く妄想性障害」と診断されたものの責任能力に問題はなかったと判断し、死刑判決を下しています
「心神喪失だから無罪」だと思い込んでいた保見被告は、到底納得できなかったのでしょう
集落内での軋轢から悩み、追い詰められたと主張する保見被告ですが、上記のように思い込みが激しい性格なので、被害妄想を膨らませ、より近隣住民への憎悪を膨らませていたものと考えられます
結果、「(相手を)殺すしかない」と思い極め、犯行に踏み切ったのでしょう
とは言え、殺害された被害者の側にも保見被告の体面を傷つけたり、差別的な扱いをした事実があり、保見被告だけを悪者として処断するのは誤りです
集落には年下の者(保見被告は集落で一番若い)が年長者に逆らうのを許さない、という因習があったわけであり、保見被告が高齢者ばかり狙って殺害したのには理由があるからです

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