障害者施設19人殺害 再発防止を協議
神奈川県相模原市の障害者施設で、入所者19名を殺害し、多数の負傷者を出すという凶行をしてのけた植松聖容疑者への取り調べが続いています
刑事法上の事件処理とは別に、厚生労働省は事件の検証を目的とした会合を設け、現行の法制度(精神保健福祉法)の中で何ができるか、模索する動きが始まっています
相模原市の知的障害者施設で19人が刺殺された事件を検証し、再発防止を話し合う厚生労働省の検討チーム(座長・山本輝之成城大教授)が10日、初めての会合を開いた。塩崎恭久厚労相は「現行制度のもとで何をすれば防げたのか、現行制度に加え新たな政策や制度が必要か、検討していただきたい」と述べた。
殺人容疑で逮捕された元職員の植松聖(さとし)容疑者(26)は犯行の約5カ月前、精神保健指定医の診断に基づき強制的に入院させる措置入院となっていた。
会合には事件後に入院先の病院から聞き取り調査をした医師が参加。精神医療の専門家や障害者団体代表のほか、警察庁など関係省庁の担当者らが、入退院の判断が正しかったかなどについて意見を交わした。
チームは月内に事件の検証結果を発表し、秋頃に再発防止策を取りまとめる。
(産経新聞の記事から引用)
厚生労働省の主催する検討会ですから、官僚の作文みたいな検証結果、再発防止のための指針などなどが公表されるのでしょう
ただ、何よりも重要なのは現場にいる人間の、「こうした未曾有の事件を防ぐ」という意志と危険を察知する感覚でしょう
これは単純な精神論ではなく、日々の業務の中で根幹に据えて置くべき課題です
施設職員は入所者の安全を確保する使命を担っているのですから、犯罪や地震や火災などなどに対処しうる判断力、行動力を身につけなければなりません
事件当時、「津久井やまゆり園」には警備員がいたのですが、仮眠中で対応ができませんでした
こうした施設の場合、警備員を常駐させておくのは珍しく、多くの場合当直の職員が保安業務を兼ねているのが実情です。と同時に、疎かにしてしまっているのが実情です
しかし、深夜の時間帯に1人しかいない警備員が仮眠していたのでは、緊急事態に対処できないのであり、勤務のあり方を見直すべきでしょう。例えば、23時に警備員が出勤し、朝6時まで仮眠なしで勤務させる、とか
そして往々にしてこうした夜間警備に就く人は、定年退職後の高齢者だったりします。高齢者だから駄目、とは言いませんが、深夜に勤務し、施設の内外を巡回するだけの体力を備えた人物でないと困ります。居眠りしているだけのおじいちゃん、では務まりません
さらには措置入院の問題点として、犯罪予告のような言動、妄想を抱えている人物の措置入院解除にはより慎重な判断が求められますし、警察や行政など関係部署への措置入院解除の連絡も必要です
植松容疑者のようなケースでは、措置入院解除後、警察の地域課が「危険な人物」としてマークしていたかどうかが重要になってきます
トラブルメーカーとして地域では知られた存在ながら、誰もその動向を見守っていないという状態では犯罪を防げません
厚生労働省がどこまで踏み込んだ検証を行い、提言をするのか、あまり期待はできないものの公表されるのを待ちましょう
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