「日本のアニメ・漫画産業は230兆円規模」と書く中国メディア

中国の新聞などは他所の報道を検証もせず、事実関係も確かめず受け売りするのが珍しくありません
そのため、誤った報道がさも事実であるかのように繰り返し報じられたりします
サーチナの記事では日本のアニメ・漫画産業を230兆円規模、などという荒唐無稽な数字を挙げて紹介しています
日本を支える産業は1に自動車産業、2にデジタルメディア、3にアニメ・漫画産業である、という口上です


自動車産業とともに経済を支える日本アニメ市場 派生ビジネスの展開ぶりがスゴイ
東京都知事選に立候補している小池百合子氏が先日、東京を「アニメランド」にするとの構想を披露したことが話題となった。そして、日本のアニメ文化をこよなく愛する若者が多い中国でも、この情報がリアルタイムで伝わった。
中国メディア・今日頭条は27日、日本のアニメ産業が日本経済に巨大な影響を及ぼしていることを紹介する記事を掲載した。
記事はまず、「日本の2大産業が自動車とデジタルメディアである」としたうえ、これらに次ぐ第3の産業が日本のアニメ・マンガ文化であると説明。その証左として、年間の販売額が230兆円に達していると伝えた。
さらに、日本の「2次元文化」は海外にも広まっており、日本のシンボルにもなっていると紹介。
成熟したマンガ市場は、動画やゲームといった派生品を次々を生み出し、マンガ・アニメ産業チェーンが構築されるとともに、極めて豊富な文化が形成されたのだ、と解説している。
また、派生品は音楽や映画、さらには文学などにまで広がっていることについても言及した。
その一方で、日本のアニメ業界が崩壊の危機を迎えつつあるとも紹介。まず、日本経済の停滞に伴うアニメ会社の資金不足で、アニメの質が保証されなくなるという危機を迎えているとした。
さらに、日本における海賊版対策が厳しい一方で、国外での対策が難しく、特に中国ではネットユーザーにとって多くの日本のアニメやゲームが「無料でありつけるディナー」となっていると論じた。
「年間の販売額が230兆円」という数字は、すでに5年ほど前から中国国内メディアで散々使われてきたもの。2015年末現在の日本のGDP(名目)がほぼ500兆円であることを考えれば、その信ぴょう性は推して知るべしだ。
それはそれとして、記事はとにかくアニメ産業が日本経済を支える重要な柱になっているということを強調したかったのだろう。
なお、日本動画協会が発表した「アニメ産業レポート2015」によれば、2014年におけるアニメ業界市場(アニメ制作会社の売上)が1847億円だったのに対し、アニメ産業市場(ユーザーが支払った金額)が約9倍の1兆6296億円となっており、単に作品だけにとどまらない、キャラクターなどを利用したアニメビジネスが高い「販売力」を持っていることが伺える。


いろいろと突っ込みどころ満載ですが、海賊版だらけの中国にとやかく言われたくありません
制作本数で日本を上回っている中国のアニメ業界はどれほど儲かっているのか、訊いてみたいものです
しかし、中国メディアは取材をしてまで調べようとはしないのでしょう。取材したところで現状を示す数字など把握しようもないのですから
海賊版だらけで儲からないのは中国のアニメ制作会社も同じであり、むしろ日本より収益性は厳しいのかもしれません
さて、これだけでは何とも話題不足なので、「霊剣山 星屑たちの宴」を紹介しておきます
中国及び台湾で人気となった小説・ウェッブ漫画「從前有座霊剣山」を、日本のスタジオディーンと中国のIT企業・テンセントの子会社である深セン市テンセントコンピュータシステムの共同企画としてアニメーション化したものです
全部で12話からなり、今年の1月から深夜の時間帯に放映されました。中国などで放映されたのかどうかは不明です
絵コンテ、作画指揮、演出などなどはすべて日本側で行っていますので、一定のクオリティは維持しているのですが、あまり面白いとは思えません。「神仙世界を舞台にしたゲーム」といった感じです

霊剣山



「神仙世界」を好む中国や台湾などでは、これが面白いのでしょう
わざわざ中国の企業と共同企画としたのは、中国大陸内でのテレビ放映を視野に入れての話なのでしょうから、そちらの商業展開がどうなったのか、情報が欲しいところです

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