多摩川中1殺害事件を考える12 共犯者にそれぞれ判決
昨年2月、川崎市の多摩川河川敷で男子中学生が殺害された事件で、共犯として逮捕されていた2人の判決が出揃いました
共犯者はそれぞれ「カッターナイフで斬りつけていない」などと主張し、犯行に加担した事実はないと争ってきました
川崎市川崎区の多摩川河川敷で昨年2月、中学1年の上村(うえむら)遼太さん=当時(13)=が刺殺された事件で、傷害致死の罪に問われた元職人の少年(19)の裁判員裁判の判決公判が3日、横浜地裁で開かれ、近藤宏子裁判長は、「(リーダー格の少年に)凶器を手渡すことで犯行をエスカレートさせる契機をつくり、果たした役割は大きい」と述べ、求刑通り懲役6年以上10年以下の不定期刑を言い渡した。
近藤裁判長は「いまだ自らの行為に向き合うことすらできてない」と指摘。「犯行は残酷というほかない。頸(けい)部を切り付けただけでなく、コンクリートに頭を打ちつける危険な暴行を加えた」とした。
少年側は「切り付けるなどした客観的証拠はなく、動機もない」と無罪を主張したが、近藤裁判長は「供述は不自然かつ不合理」として有罪と判断した。
事件では少年3人が起訴され、殺人と傷害の罪に問われたリーダー格少年(19)は懲役9年以上13年以下、傷害致死罪に問われた無職の少年(18)は懲役4年以上6年6月以下の判決がそれぞれ確定しており、3人の1審判決が出そろった。
(産経新聞の記事から引用)
主犯格である船橋龍一被告の懲役9年以上13年以下が妥当かどうか、議論があるところですから、この共犯者たちの刑期についても適切なものか見方は分かれるのでしょう
1人の命を奪う犯罪に関わりながら、懲役4年以上6年6月以下の不定期刑はバランスを欠いているように自分は感じます
3人の被告は判決について不満、不服で一杯の状態であり、刑を素直に受け入れる気にはならないのでしょう
特に共犯者2人は量刑に納得できず、控訴する可能性があります
さて、被害者である上村遼太君の母親は公判に出席し、被告である少年たちを見てきたわけですが、責任逃れの言動に失望し、怒りを覚えたことでしょう
上村遼太さんの母親は3日、今回の判決を受け弁護士を通じてコメントを発表していますので引用します
「私は、何があったのか知らなければならないと思って被害者参加し、すべての公判に臨んできました」とした上で、「今回の裁判では、(元職人の少年は)その場にいただけで自分は何もしてないと言っていましたが、裁判所には(少年が)やったことを認めてもらいました。自分のやったことと向き合えない人は更生などできません。3人の裁判が終わっても、遼太に戻ってきてほしいという気持ちしかありません」としている。
一審判決が出たとはいえ、何の救いにもならず虚しい気さえします
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