石巻3人殺傷事件を考える9 最高裁で死刑確定
宮城県石巻市で2010年2月10日、共犯の男と石巻市の民家に押し入り、交際相手の女性の姉の南部美沙さん(事件当時20歳)と友人の大森実可子さん(事件当時18歳)を刺殺し、南部さんの知人男性にも大けがをさせ、交際女性を連れ去るという凶悪事件で、最高裁は千葉祐太郎被告(事件当時18歳)の主張を退け死刑判決が確定しました
2014年に仙台高裁が控訴を退けた判決を当ブログでも取り上げました際、「これ以上何を争うつもりなのか」と書きました。現在でもその気持は変わりません
河北新報は千葉被告の心境を以下のように記事にしています
千葉祐太郎被告と面会を重ねてきた親戚の女性が16日、心の内を語った。「取り返しのつかないことをしてしまった」と謝罪や反省の言葉を漏らす被告を振り返りつつ、涙ながらに死刑が確定する判決を受け止めた。
女性は幼少期から被告を知る数少ない肉親の一人。身内が事件を起こしたことへの責任感から、定期的に仙台拘置支所に足を運び、被告と面会してきた。
被告は度々、「遺族の方々にどういったおわびをすればいいか分からない」と吐露。
「生まれ変われたらいいのに…」と口にすることも少なくなかった。
2010年11月の一審判決以降、被告は被害者の命日に合わせて遺族に手紙を送っていたが、受け取ってはもらえなかった。「自分のしたことは重すぎる。当然だ」と言い聞かせるように繰り返した。
被告に微妙な変化が見え始めたのは、14年1月の二審判決後。親からの暴力や事件に至る背景などを原稿用紙にしたためるなどした。書き終えた後、周囲に「自分は未熟だった」と語っていたという。
女性は「最高裁で死刑が確定することを意識していたのでは。自分と向き合い、素直な気持ちを肉親らに伝えたかったのかもしれない」と推測しつつ、「私に見せる表情が彼の本当の素顔かどうかは、いまだに分からない部分がある」と複雑な心情を明かした。
遺族に対しては「周囲の人間がどんなに謝っても許されないことは分かっているが、謝罪させてほしい。本当に、本当に申し訳ありません」と声を振り絞った。
この記事に描かれた千葉被告の心境が事実なのかどうか、判断はできません
しかし、被害者遺族に謝罪したいという気持ちがあるなら、なぜ最高裁まで争ったのか疑問です。判決の細部に不服があったとしても、厳罰を受け入れる姿勢を示すのが「謝罪」ではないかと思うからです
判決への不満をぶちまけ、とことん争う姿勢こそ反省を欠いた態度であり、被害者遺族を傷つける行為です
千葉被告の弁護団は誰1人として、被害者遺族の心情に配慮しないのでしょう
「最高裁は司法の役割を放棄した」。石巻市の3人殺傷事件で、上告が棄却された千葉祐太郎被告(24)の弁護団は16日の最高裁判決後、東京都内で記者会見した。弁護団長の守屋克彦弁護士は「少年法の趣旨が生かされていない」などとして、少年事件の厳罰化に拍車が掛かる恐れに懸念を示した。
元裁判官の守屋弁護士は被告の成育歴など十分な審理が尽くされなかったとして、「裁判員裁判は分かりやすさを重視する制度だが、少年事件は社会記録など少年法の専門的な手続きで進められる」と指摘した。
「三くだり半に近い形での棄却で、最高裁は職責を果たしていない」と主任弁護人の草場裕之弁護士は強い口調で非難。「判決で『深い犯罪性』とあるが、死刑の根拠となるなら説明すべきだ。成育歴も一切考慮されず事実誤認がある」と強調した。
弁護団によると、被告は「最高裁が控訴審の事実認定を踏襲するなら受け入れられない」と話している。弁護団は判決訂正の申し立てを26日までに最高裁に行った上で、再審請求を検討する方針。
(河北新報の記事から引用)
弁護団は再審請求をしてまで、なおも争う姿勢を示しています。いったい何がしたいのか、と呆れるばかりです。ただ法律論争、裁判制度論争をやりたいだけなのかもしれません
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